走れメロ…違
サディは走っていた。いや、ダッシュというのも生ぬるいくらいの全速力、強化されたサディの足は100mを5秒で駆け抜ける。はっきり言って速い!しかしそれでもまだ足りないくらいなのだ。
「サディちゃんパンツ見えてるよー!」
バルがのん気なことを言っているが
「あほか!それどころじゃないだろう!?」
サディのコスチュームはミニスカートだった。それもかなりの超ミニ。脚はハイニーソックスで露出自体はさほどでもないのだが、かなりきわどい。パンツのバックにはバルの絵がプリントされている。
「魔法少女に恥じらいは必要だと思う!」
ちなみにバルは飛んでいるため実はそこまであせっていなかった。その気になればマッハ3くらい出るらしい。出すと一瞬でずたぼろになるんだけれど…。
なぜこんなにも全力疾走なのか……時間は少しさかのぼる。
雨が降ってきたところでサディは泊めてもらうことができる知人の家を訪ねていた。
片桐祥子
秀一のことが大好きで、よく言うことを聞いてくれる秀一自身も自慢の調教済み彼女である。
ピンポーン
「はーい、どちらさまー?」
祥子が無用心にドアを開けるとそこにはサディとバルが立っていた。
ずぶ濡れの二人を見て不振がることもなく、2秒ほど止まったあと
「えとー、タオルだすねー」
と、二人にタオルを渡すのだった。
祥子は所謂『天然さん』だった。おまけにナンバー1キャバ嬢でお金持ちである。
サディは祥子なら適当に丸め込めると思い、祥子のマンションを訪ねたのであった。
「はい、ジュース入れとくねー」
ニコニコ笑顔でジュースまで出してくれる祥子。
「なあ、巻き込んでいいのか?」
悪魔のバルが見ても祥子は良い人だった。仕方ないとはいえ魔王バトルに関わらせて危険な目にあわせるのはどうなのか?ということなのだったが……。
「ん、危険な目に遭ったら遭ったで楽しいだろう?」
…サディは度Sすぎだった。
「祥子、ちょっといい?」
サディが祥子を呼び止める。
「貴女、私の知り合いだっけー?名前まだ言ってないような?」
「驚かないでほしいんだけど、私は秀一なんだ。ちょっとわけがあってこんな格好をしてるんだけど、君の力を貸してくれないかい?」
じっと見つめるサディー、吸い込まれるように顔を寄せる祥子……。
チュー
濃密でとろけるような二人だけの時間。
たっぷり10秒は抱き合ってチュッチュしてから、二人は離れたのだった。
「あ、本当だー、ダーリンどうしたのー?」
「え……この人、チューで識別してんの!?」
納得できないバルがショッキングなものを見た顔で突っ込む。
「実は……」
サディが話すと祥子はあっさり協力することを約束したのだった。