戦闘、闘争、逃走!
突然、横から飛んできた黒い塊に蹴り飛ばされた私は、自分の部屋の壁と廊下を体で粉砕したあと、床に転がった。
「……殺す」
そう呟いた瞬間、本日2回目の変身を果たしていた。どう考えても致命傷と思しきダメージを負ったはずだったが、変身するとHPが全快する仕様らしい。どうでもいいが、自分でやっておいてなんだが変身行程の省略というのはいかがなものだろうか?
色々と突っ込むところの多いご都合主義に意見はあるのだが、とりあえず今は私にとび蹴りをお見舞いしてくれた奴に仕返しをするのが先だ。
「まずは一人目!」
壁の破片が散らばる床を一蹴りして部屋に跳び戻ると、狼男?のような黒い生き物が悪魔を丸かじりしようとしていた。
私は問答無用で肋骨粉砕キックをしかける!
黒い狼男は報復の飛び蹴りが当たる寸でのところで私に気づき、ベランダまで大きく跳び退った。
チッ!
飛び蹴りはわき腹を僅かにかすっただけの不発に終わった。
「貴様、死んでいなかったのか。……うおおおお!?」
無駄にかっこつけてこっちを見る狼男は、いきなり膝を折る。
どうやらかすっただけでも肋骨が折れたらしい。地味だが使える!
「効いてるぞ、やっちゃえよ!!」
その隙に狼男の手から逃れた悪魔は私の足に隠れるように後ろに回りこむ。
ゲシ
そんな音を立てつつ踏み潰される悪魔。この感触なかなかいいな。
ゲシゲシゲシ
ひとしきり踏みにじったところで、ダメージを負っている狼男に内臓破裂パンチをお見舞いする。
ドム!
硬質なゴムを殴る感触、一瞬こちらの手首が不安になったが変身による肉体の強化はそんな不安をものともせず、狼男の内臓を潰す感触が伝わってくる。
とどめにもう一撃くれてやろうと思ったところでゼロ距離からの狼男のドロップキック!直撃する前に腕を交差して防御したものの、足がフローリングを破り埋もれてしまう。
反動でベランダの外に逃れた狼男はそのまま走って逃走していった。
こうして突然の襲撃者は去っていったのだった……が。
「何これ?」
砕け散った壁、廊下とつながった私の部屋、床には穴が……そこにいるのは見知らぬ魔法少女。
階段を上がってきた妹の未来に目撃されまくっていた。
その場の空気が凍りつく。
「とう!」
説明を面倒に思った私は魔法少女の格好のままベランダから颯爽と逃げ去ったのだった。
……手には悪魔を握り締めて。
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