いんたーばる
目が覚めるとまだサディーだったことに気づいた私は、そこで変身が解除できないことに気が付いた。
正確に言うとサディーではなくなるから解除はできているのかもしれない。問題は秀一に戻れないということだ。
なんだこれは!?
そう、変身を解除するには、構成されている魔力回路をばらせばいいのだということはヒーナに教わったため、戦闘、非戦闘に関わらず変身、変身解除することが可能になっていたのに。
解除したら別の外見のサディーになっていた。
長いストレートの銀髪、抜けるように白い肌はサディーのときよりもさらにきめ細かい。金色の瞳、手の爪が伸び縮みする。そして何より猫耳と尻尾……。
『なんだこれはああああああああ!?』
頭の中で絶叫がはもる。
ん?なんかもう一人いる気がする。
『どうなってるのさ、これは!?ボクの体がないよ!?』
あー……なんとなく思い出した。確かビャッコを食べた記憶が……思い出したら気持ち悪くなった。
『ひど!?悪魔!!人間!!うあーん!!』
頭の中でビャッコが喚いている。
「あ、目覚めたんだねサディーちゃん!!……て誰?」
手のひらサイズまでしぼんだバルが私に困惑する。
面倒だ。
それが今日の日を指す言葉だった。
「はーい、わかりましたー。伝えますねー。ダーリーン、学校休校だってー」
祥子に学校に連絡してもらったところ、どうやら昨日の戦闘被害と、校長の行方不明から、しばらく休校となるらしい。結果オーライである。
あの後、バルは未来を説得して、祥子を呼んできてくれたらしい。回収されて起きたのがさっきということになる。
「で、お兄ちゃんいつまで女の子やってるの?というか男の娘?」
未来はそこが気になるらしい。
「わからない。困ってるんだ」
私は正直に言う。そう困っているのだ。頭の中でビャッコが恨み言やら泣き言やら泣き声やらでとにかくうるさいのだ。
ヒーナがご飯粒を食べながら私に言った。
「魔王バトル終わったら、分離できるようにすればいいんじゃないかしら?」
魔界で布達して魔法医を集めて分離すればいいとのことだった。
「つまり、勝ち残らないといけないということか……」
正直、心が折れている私は魔王バトルとかどうでもよくなるところだった。もうファングが優勝でいいじゃん。とか思っているくらいに意気消沈していたのだ。
ひーローに嫉妬して怪物化して、それでも負ける。駄目すぎる。
「ダーリン、落ち込まないで?ダーリンの弱いところも愛してるよ?」
おまけに祥子に慰められる……敗北感に追い討ちがかかる。
「まあ、しばらくすれば?俺も魔力もどるはずだしさ。その時リベンジしようぜ?」
バルが能天気なことを言い出す。
「事情が事情だし?いいわ、私も協力してあげる。……何ができるかわかんないけど」
未来も理解を示し、ヒーナもウンウンうなづいている。
『早く他の候補倒しに行ってよ!ヤダー、ここから出せー!』
約1名非協力的なメンバーがいるものの、どうやら再起せざるを得ないようだ。
面倒だなー。
これが私の感想だった。