必殺技はマスコットに
「おい、変身したがこれ私じゃ無理じゃないか?」
「え……魔法使えない??」
悪魔は頭に???←をたくさんくっつけながら考えこみ始めた。
「さっきからヒールとかいう回復魔法を使おうとしているんだが、頭の中でブーって音がする」
RPGならコマンドが灰色な感じがする。
「レベルたりないかな?ヒールって10レベルで覚える魔法なんだけど……ちょっとステータスに意識を集中してみて?」
悪魔の言うとおり意識を集中してみると私の頭の中で自分のステータスがわかった。
魔法少女サディー
LV82
HP9840
MP0
STR890
VIT900
DEX760
AGI778
INT800
MID855
LUK2
使用可能スキル
内臓破裂パンチ(内臓を確実に損傷させます)
肋骨粉砕キック(肋骨に該当する部位を粉々にします)
脳髄押し出し(脳髄を目、耳、鼻経由で噴出するほど圧迫します)
背骨折り(脊髄、脊索等の該当部位を損傷させます)
……魔法陣の効果で頭の中で説明してくれるのだが、どうやら普通の人間は成長しきって50もいけば上等らしい。
ちなみにヒールは覚えないタイプの完全前衛型で極めて特殊な魔法少女らしい。
というかスキルであって魔法は一切備わっていないようだ。
「うん、これ魔法少女って言わないよね?」
私が一人呟くと、悪魔はさっきまで苦しんでいたのが嘘のように回復し、私に詰め寄った。
「30歳まで童貞だと魔法使えるようになるって法則があるのになんでお前魔法使えないんだよ!?魔法の国ではマジでひでえサドで、その上カスすぎてドブ川みたいな奴だから確実にすごい魔法使いになるって前評判信じてきたのに!!彼女いない暦イコール年齢とも書かれてたんだぞ!?それなのにMP0ってどういうことだ!?」
あー、もう!?←これが多くてうるさい奴だなー。
「彼女は作ったことはないけどメス奴隷なら10人以上作ってきたからなー。そのせいじゃない?」
「メス奴隷って…全年齢対象の話の主人公のくせに……恥をしれ!!」
ちなみにこんな会話をしながらも頭の中で変身解除方法を探しているのだが、全く見つからなくて少し困っていた。
「あのさ、これどうやれば戻るの?」
「えー?戻り方教えなくてもよくね?せっかく若返れたんだしもっと楽しめば?」
あからさまに使えないお前なんかに用はないんだよ、といった空気をかもし出しながら悪魔は耳を小指でほじっている。廊下に耳くそ落とすなよ。
イラっとしたその時、内臓破裂パンチのスキルが発動!
地味に悪魔にめり込んだボディブローが何かしらを潰した。
「ぎゃああああああああああああああ!!」
再び床でのたうち回る悪魔を捕まえてもう一回質問してみた。
「うううううう……いてえええええ、いてええよおおおお……もう解除できるはずだよ……これ以上殴らないで!!」
お?どうやら戦闘が終わると解除可能になるらしい。
この悪魔、私に戦闘を挑んでいたのか…。
「えい」
とどめに踵落としを決めると
ぶじゅるる!
と、汚い音を出して悪魔は今度こそ沈黙したのだった。
マスコットに必殺技一発目をお見舞いする主人公ってどうなんでしょうね…。