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2人の魔法使い+1

え、何これ?

 部活も終わり、家に帰ろうとしていたころ。怪物が現れたと聞いて私、佐渡未来が現場に到着したとき、すでに校長先生は殺されていた。

 加害者と思しき相手は兄の部屋にいたテロリスト!

 今度はバールのようなものを持っている。

 幸いにしてお兄ちゃんは今日授業をやっていったらしいから、生きてはいたものの何も教えてはくれなかったし、そもそもこいつが何の目的でこんなひどいことをしたのかがわからない。


「テロリスト、アンタ何てことしてるのよ!!」


 私が怒りのあまり、自分の危険も省みず怒鳴ったところテロリストはゆっくりとこちらを見て…目があった瞬間とまどっているように見えた。

 ヤバイかな?これって私消されちゃうかな?でもこんな奴に負けたくない。負けるってなんだろう?

 頭の中を色々な言葉が埋め尽くしていく。

 ニャン

 そんなとき、カバンの中から泣き声がした。

 え?

 開けると、昨日からうちにいるニャンコが飛び出した。そのまま私の肩に駆け上がり、ニャンコが喋った。

「狭かったーーー!!」

 昨日一晩ゴロゴロさせてニャンニャン言わせてモフモフしておいた仲である。よくなついてるけど何時の間にカバンに入ったのやら。……うん、でも懐いてても普通喋らないよね。私が考えていると。

「驚かないで聞いて?あいつは魔界の犯罪者なんだ、貴方の力を貸してくれない?」

 ニャンコが真面目な声音で協力要請してきた。何のことかわからないけど、テロリストの殺人犯よりニャンコの方が信用できるに決まってる!

「うん、でもどうすればいいの?あいつなんかバールみたいなの持ってるんだよ。飛び出しちゃったけど襲われたら死んじゃうかも……」

「大丈夫、ボクと契約してくれれば君に戦う力をあげるから!」

 うわー、アニメみたい。こういうことって現実にあるんだー。

 そんなことを思っていたら、テロリストの目つきが変わった。バールのようなものを私に……いや、ニャンコめがけて投げようとしている!?

 とっさにニャンコをかばってうずくまる私。

「その猫捨ててくれない?」

 テロリストが喋った。同い年の女の子の声にしては妙に迫力がある。怖い。

「捨てたら殺す気でしょ!!」

「うん、殺す」

 こいつ頭おかしい。

「未来ちゃん、落ち着いて契約してね?ボクの魔法で強くしてあげるから」

「え?」

 ニャンコから魔方陣が飛び出して私の目の前で回転、発光する。

「契約書……?ええ!?魔法使いになれるの??」

 このピンチを切り抜ける力……私は手に取ることに決めた。

「テロリスト、覚悟しなさい!アンタを捕まえて警察に突き出してやるんだから!!マジカルメイクアップ!!」

 変身の言葉と同時に全身を白い光が覆っていき、猫耳と尻尾が生え……え!?天使の羽がモチーフの戦闘スーツを身にまとう私。胸元は大きく開いていて猫耳、尻尾と相まってものすごく恥ずかしくなる。

「うわ、ひでえ趣味」

 テロリストがドン引きし、それでいて心底哀れむような表情で私を見て言った。

 夕方の風が冷たい。

「全部アンタのせいなんだからね!ファイアボール!!」

 八つ当たりで火炎球の魔法を投げつける私。手に生まれた炎を丸めてドッジボールサイズにしておもいきり投げつける。

 あさっての方向に飛んでいくファイアボール。

 あ……

『わあああああ、理科室でガス爆発だああああ!!消せ、消火器だ!!』

 校舎の中に残っていた先生や生徒が大騒ぎしている。…やっちゃった。

「アンタのせいなんだからね!!」

「ふざけろ!!」

 テロリストが真面目に突っ込んできた。こうなったらこいつを何が何でも倒さないと私までテロリストじゃない!

「大技でしとめてやるんだから!フレイムデストラクション!!」

 私の両手に生まれた光球は手を離れてテロリストの周りを高速回転しながら炎を撒き散らしていく!螺旋の炎で焼きつぶす大技がこのフレイムデストラクション……らしいが。

 あら?あらら??

 一個はまともにテロリストをぐるぐる回っている。しかしもう一個が……

ガシャン……ズドゴオオオン!!

 またしても校舎の中に入ってしまい大爆発を起こす。

『キャアアアアア、増田先生が燃えている!!誰か、絆創膏もってきてーーーー!!』

『あっちいいいいい!』

 相当な大爆発だったが、中にいた体育教師の増田先生に当たったおかげで被害はさほどでもないみたい。先生ごめんなさい。

「増田さん耐久度おかしいだろ……後で調べとこうか」

 テロリストが独り言を呟いて校舎を見ている。これ最後のチャンスだわ!

「もう許さないんだから!!次の一撃は私の最強の魔法よ!くらいなさい」

「いや、これ以上学校壊したら駄目だろ」

 するどい突っ込み、こいつさえいなければああああ!!

「うるさいうるさいうるさい!!テロリストなんか消えちゃえ!アトミックメギドフレイム!!」

 頭の中を巡る複雑な印をトレースしていく私。私の手が印を結ぶ度に魔力が増幅していくのを感じる。あ、これなんだか気持ち良いかも。気分がフワフワ高揚してくる。まるでお酒を飲んだときみたい。……みんな死んじゃえ♪

 核融合が目の前で起きている。これを押しつぶしてテロリストにぶつければ、指向性の核の炎がテロリストを焼いて影も残らないはず。私ってばやればできる子だー♪

「させるか!!アイシクルチェーン!」

 突然現れた黒い影、が私の目の前のリアクターマジックを瞬間冷凍する。ものすごい魔力のコントロールだ。

 ……は!?私今何しようとしてたの??目の前には黒いコスチュームのかっこいい人がいて、私とテロリストの両方をにらんでいる。

「お前ら魔王候補だな!魔王候補は許さない!!」

 魔王候補って何のことだろう?とにかく怒ってるみたいだけど、なんかもう眠い。

 あ、MPがからっぽだ。

「なんか厄介なのが出てきちゃったねー。せっかくこの子の魔法で街ごと消滅させてあげようと思ったのにさ」

 え、ニャンコはいい子じゃなかったの?

「とりあえずどっちも倒すから」

 テロリストはそう言うとバールのようなものを次々に取り出しては地面に刺していく。どこにあれが入ってるんだろう?

「全部俺が倒してやる」

 黒いかっこいい人も拳をボキボキ鳴らしてやる気満々みたいだ。動けない私の横にニャンコが来た。

「体借りるね」

 え?次の瞬間私の意識は眠りについた。


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