魔王登場、炸裂!怒りのインフェルノブラスター
サディーとバルがグリムを倒している頃、秋葉原には一人の白人青年が買い物をしていた。
年齢は20台半ば、メガネ、そばかす、背は高いがひょろりとしていて笑顔が似合うビートルズを愛していそうな好青年に見える。
「OH、ナイス!べりーぐっどよ!!」
片言気味にトレーディングカード屋でレアカードをゲットし
「ジャパニーズHENTAIぷりーず!!」
エロゲーコーナーでハッスルし
「びゅーてぃほー」
フィギュアを大量にゲットしてから次の同人ショップへ行こうとしていた彼は、突如として現れた怪人に襲撃された。
「お前、契約者だろ?僕と戦えよ」
怪人は全身を赤いローブに包み、ローブから出した右手はとげとげしい鱗に覆われた頑強そうな篭手、顔はフードで隠れて見えないが目が赤く光っている。
「OH!こすぷれ?れいやーサンデスカ?」
ところが白人青年はコスプレと勘違いしたのか、ひたすら食い下がる。
「ソレ何てきゃらデスカ?ワタシにもデキル?」
イラっときたのだろう、ローブの魔人は、紫に輝く魔方陣から、いかにも強力そうな刀を取り出す。
「しらばっくれるならそれでいいけど、ここで死んでもらうから」
それだけ言うと魔人は4人に分身し、4方向から白人青年に向かって切りかかった。
剣が刺さり、腕が飛び、体が正中線から両断され白人青年が飛び散る。
「ふん、雑魚か」
そう言ってまた一人に戻る魔人。
「NOOOOOOOOO!!ジーザーッス!!ガッデエエエエエエエエエム!!」
直後に聞こえる白人青年の声。
ばらばらになったはずの彼は五体満足で、己の戦利品が今の攻撃で砕け散ったことに絶叫していた。
「ワタシのブルーアイズホワイトドラゴンが……、1/12スケールランカちゃんフィギュアが…、HENTAIげーむが!!オマエ、ゆるしません!!」
直後に赤いローブの魔人をつかみ、滅茶苦茶な力で空に向かって投げる白人青年。
魔人は身長は180センチそこそこだが、ローブに隠れていた体格はかなりのがっしりで、本来であればとても空に向かって投げることは不可能なサイズである。
しかしあまりの速度のためにローブが空気との摩擦熱で燃え、中から赤い鱗の鎧に身を包んだ虫人間が現れていた。虫人間は、一瞬驚きこそしたが自らの羽でホバリングし、空中から連続して光弾を放ち始める。
ビルが倒壊し、無数の買い物客が絶叫を上げる中、目標地点にいた白人青年は変身をしていた。
黒い鎧、銀色の長髪はマントのように広がり、顔を覆う金属製の兜は皮膚と一体化しつつも不気味さを漂わせない。万人に聞けば必ずや剛の者、覇者、魔王、そんな言葉で表されるだろうその印象そのままの真実、魔王へと変身していた。
「これがトレカの怒り、ジェノサイドレーザー!!」かわすことは愚か、視認もままならぬ閃光が虫人間の手を切り裂く。
「よく僕に傷を負わせたな!!ぐげ!?」
瞬時に切り落とされた腕を再生した虫人間だったが、次の技に脚を持っていかれる。下ではフィギュアの恨み!と叫んでいる。
さらにHENNTAIゲームの怒りで羽をやられて落下し始めた虫人間は、恐怖することになる。魔王の周りには先ほどまでの攻撃の数千倍の魔力が集まっていた。
「そしてこれが同士達の怒りと悲しみだ、地獄で詫びろ!インフェルノブラスター!!」
技が発動すると同時に魔王の胸の鎧から砲身がせり出し、極大の魔力をそのまま放出する。
ジェット水圧で鉄を切れるように、高圧の魔力はすべてを蹴散らす!!
空に上る紫色の地獄の業火は、虫人間を消し飛ばしたのだった。
「無粋な魔族め……どこから紛れこみヤガッタンデショウ?」
一瞬で元の白人青年に戻った魔王は、そろそろ可愛い魔法少女に会えますねー、と気分転換して去って行くのだった。
余談だが秋葉原の町の損害は、ビル20棟、死亡752名、負傷者2000名という大惨事であった。政府は原因不明のこの大規模災害を都市ガスの爆発事故と処理した。
最後ノリで秋葉原壊滅しました。他意はないです。不快に思う方がいましたら申し訳ありません。