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第8話:【朗報】モンスターハウス爆破に成功!→【悲報】残党がガチギレして追いかけてきた件。もう無理逃げるε≡≡ヘ( ´Д`)ノ

アリシアは、呼吸を整え、手にした革袋――急ごしらえの「天然爆弾」を振りかぶった。 狙うは広間の中央、最も魔獣が密集している地点。


「……ごきげんよう、化け物ども」


彼女は躊躇なくそれを投擲した。 革袋は美しい放物線を描き、魔獣の群れの中心に着弾する。衝撃で袋が破裂し、内部の強酸と爆発性胞子、そして鉱物粉末が混ざり合った。


ドォォォォンッ!!


次の瞬間、魔力による炎とは異なる、禍々しい化学反応の爆発が巻き起こった。 強酸が周囲の魔獣の肉を溶かし、飛散した胞子が連鎖的に炸裂する。断末魔の悲鳴すら上げる間もなく、広間の中枢にいた数十体の魔獣が、原形を留めぬ肉塊と化した。


奇襲は成功した。だが、アリシアの表情が晴れることはない。 爆煙が晴れると同時に、生き残った――全体の七、八割にも及ぶ――魔獣たちが、一斉にその赤く光る眼をこちらに向けたからである。 仲間を殺された怒りで、大気がビリビリと震えている。


「……やはり、これだけでは足りませんのね」


アリシアは踵を返し、来た道を全速力で駆け出した。 直後、数百の魔獣の群れが、雪崩のように彼女を追跡し始める。地響きのような足音が、背後から迫りくる。


だが、この逃走も計算のうちであった。 アリシアは泥にまみれた体を低くし、記憶していたルートを正確に辿る。 彼女が通り過ぎた直後、追撃に夢中な先頭集団が、壁面に群生していた「食人植物」の群生地へと突っ込んだ。


ギャアアアアッ!!


今度は魔獣たちの悲鳴が響き渡る。 獲物の体温と振動に反応した食人植物が、一斉にその蔦や捕食袋を伸ばし、魔獣たちに襲いかかったのだ。強酸の粘液が硬い鱗を溶かし、鋭い棘が肉に食い込む。 後続の魔獣たちも、止まることができずに次々と植物の餌食となっていった。


天然のワナは見事に機能した。追手の数は目に見えて減っていく。 これでどうにか、あの門までの関門はクリアした――かに思えた。


「……ッ、しつこいですわね!」


アリシアは背後を振り返り、舌打ちした。 植物の群生地を強引に突破し、まだ数体の魔獣が、執拗に彼女を追いかけてきていたのである。 全身が溶解しかけ、体液を撒き散らしながらも、その殺意は衰えていない。


アリシアの手元には、もう爆弾はない。 周囲に利用できるワナも、もう残っていない。 魔力ゼロの彼女が、この手負いの獣たちに対抗する術は、完全に尽きていた。


(……戦えませんわ。ならば!)


彼女はなりふり構わず、さらに加速した。 ぬかるんだ地面に足を取られ、無様に転倒する。泥水が口に入り、かつて絹を纏っていた肌が石で擦りむける。 それでも彼女は這いつくばるようにして起き上がり、獣のように四つん這いになってでも、がむしゃらに逃げた。


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