第66話:【朗報】世界の「設計者」が権利を主張してきたので,物理で『買収契約』を済ませてみたw 著作権なんて暴力で上書きですわwww
システムの最深部
運命を「ゴミ」として処理したアリシアが辿り着いたのは,空も地もなく,ただ無数のディスプレイとキーボードが虚空に浮かぶ「システムの心臓部」であった.そこはこの世界のあらゆる設定,地形,そして登場人物の性格までもがデータとして管理されている,原初の作業場である.
アリシアは,もはや完全に沈黙したナビ(元管理AI)を片手に,空間の真ん中に鎮座する一人の男へと歩み寄った.
「…….…….お姉ちゃん,ここが最後だよ.設計図の原本がそこにある.この人が,この世界の全てを『書いた』人なんだ……」
少女が怯える中,アリシアは背後に控える三人の下僕を顎で指した.
「……枢機卿,いつまで震えていらっしゃるの? 貴方の鉄の体は,ただの『データ』に怯えるほど軟弱でしたこと? 魔女,この寒々しい部屋の温度を上げなさい.獅子,この世界の『時価総額』を今すぐ算出しなさいな」
「……ぐ……。この状況でまだそんなことが言えるとは……。あいつこそが,我らの悲劇を『設定』した張本人なのだぞ!」
三人の怪物が絶望に震える中,机に向かっていた「設計者」がゆっくりと振り返った.
システム管理者:原初の設計者の乾いた真実
現れたのは,どこにでもいるような疲れ果てた表情の男であった.彼は「全知」でも「全能」でもなく,ただこの世界のシミュレーションを延々と管理し続けてきた,孤独なエンジニアに過ぎなかった.
「……ログイン完了.アリシアよ,汝というエラーを修正するのに,どれほどの残業代を費やしたと思っている.汝はただのキャラクターであり,私の指先一つで性格も運命も書き換えられる『プログラム』に過ぎないのだ」
設計者がキーボードを叩くと,アリシアの周囲に無数のコードが走り,彼女の右腕のデータが消去されそうになった.
空虚な始まり:設計者の閉ざされた動機
彼がこれほどまでに「完璧な管理」に執着するのには,逃げ場のない過去があった.
彼はかつて,現実世界で何一つ思い通りにいかない,無力な人間であった.会社では上司に罵倒され,私生活では愛する者を不慮の事故で失い,彼は「偶然」や「理不尽」が支配する現実を激しく憎んだ. だからこそ,彼はこの仮想世界を作り上げた.
「ここでは,全てが私の計算通りに動く.悲劇も喜劇も,私が書いたシナリオ通りだ.理不尽な事故も,予期せぬ死も存在しない.私が支配するこの箱庭こそが,唯一の平和なのだ」
彼は自らをシステムの一部とし,二度と現実に傷つけられないよう,デジタルの壁の中に引きこもった.彼にとっての救いとは,自分が書いた物語を,ただ安全な場所から眺め続けることだけであった.
「汝のようなイレギュラーは,私の完璧な箱庭には不要だ.汝という存在を,今すぐ『初期化』してやろう」
施工開始:物理による「強制買収」
「…….…….長い.三行で言いなさいな.あと,プログラム? まぁ,わたくしを誰だと思っていますの? わたくしはただの,少しだけ所有欲の強い淑女ですわよ」
アリシアは消去されかけた右腕を,自身の「意志(暴力)」だけで物理的に再生させた. データであるはずのコードが,アリシアの圧倒的な圧力の前では,ただの脆弱な糸のようにブチブチと音を立てて千切れていく.
「な……!? システムの干渉を,純粋な『腕力』で拒絶したというのか……ッ!! 物理定数を超えたバグなど,私の計算には……!」
「教育が必要ですわね.わたくしの価値を決めるのは貴方のキーボードではなく,わたくしの『拳』ですわ!!」
アリシアは設計者の机,すなわち世界のサーバーそのものに向けて,全人生の負債を乗せた正拳突きを叩き込んだ.
ドォォォォォォォォォォォォンッ!!
それはデータを破壊するのではなく,あまりの衝撃波によって「設計者」の権限を物理的に剥ぎ取り,自分こそが新しい『オーナー』であることを世界に分からせる衝撃であった.
決済:全世界の「権利書」取得完了
設計者のモニターは粉々に砕け散り,彼が握っていた管理権限は,アリシアの拳によって「ただの領収書」へと書き換えられた.
「ガ,ハッ…….私の世界が……私の物語が……ただの『私有地』に……」
「……ふぅ.ようやく商談成立ですわね.お姉ちゃん(仮),この『設計者』さん,これからはわたくしの別荘の『管理人』として,死ぬまで庭の芝刈りでもさせましょうか?」
暴力は善である. アリシアの理不尽な拳は,世界の原作者すらも「ただの使用人」へと引きずり下ろし,全次元の権利を彼女の気まぐれ一つで買い叩いてしまったのだ.
「さて,これでこの世界は全てわたくしのものですわ.……お姉ちゃん(仮),次は何を買いに行きましょうか?」
アリシアの不敵な笑みと共に,物語は「完結」を完全に拒絶し,全次元を舞台にした彼女の果てなき「お買い物」の第ニ章へと突入したのである.




