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第64話:【朗報】「宇宙の真理」が難解だったので物理で要約してみた件w 難しく考えるから赤字になるんですのよ?

世界の裏側

物語の完結を物理的に阻止したアリシアが次に踏み込んだのは,全ての次元の記録が収められているという「真理の書庫」であった.そこは重力も時間も存在せず,無数の書物が銀河のように渦巻く,世界の設計図そのものが保管された場所である.


アリシアは,記録係となったフィナリスを「踏み台」にして,空間に浮かぶ本を無造作に手に取った.


「…….…….お姉ちゃん,大変だよ! ここにあるのは本じゃない,この世界の『設定』そのものだ! ページを破るだけで,一つの文明の歴史が書き換わっちゃうよ!」


少女が震える声で警告する中,アリシアはパラパラとページをめくり,不機嫌そうにそれを投げ捨てた.


「…….…….文字が多すぎますわ.それに,この『人生の意義』だの『存在の証明』だのといった項目.無駄な改行が多くて,インクの無駄遣いですわね」


背後では,椅子にされた枢機卿,ティーウォーマーにされた魔女,帳簿係にされた獅子が,世界の根源を前にしてあまりの情報の重圧に魂を削り取られそうになっていた.


守護者:真理の編纂者「エトス」の沈黙

書庫の奥底から,数千の筆を背負った巨大な知性の集合体――「真理の編纂者エトス」が姿を現した.彼は神ですら手を出せない「世界の絶対法則」を管理する検閲官である.


「……理解不能なノイズを確認.アリシアよ,汝は知るべきではない領域に足を踏み入れた.生命とは,この膨大な知識を維持するための単なる消耗品に過ぎない.汝の矮小な意志など,この永遠の真理の前では一滴の泥に等しい」


エトスが巨大な筆を振るうと,アリシアの周囲に「死」や「忘却」といった概念的な文字列が物理的な質量を持って降り注いだ.


乾いた過去:編纂者が見た絶望

エトスがこれほどまでに冷酷に知識を管理するのには,逃げ場のない過去があった.


彼はかつて,あらゆる知識を人々に分け与えようとした「知恵の伝道者」であった.しかし,彼が与えた知識は,人々を豊かにするどころか,より効率的な殺戮や,より高度な欺瞞を生み出すための道具として使われたのである. 愛した弟子は知識を売って国を滅ぼし,信じた友は真理を歪めて独裁者となった.


「知ることは苦しみを生むだけだ.ならば,真理は誰の手にも触れさせず,ただ冷たい記録として封印することこそが,世界に対する唯一の慈悲である」


彼は自らの感情を全て本に書き込み,心をも文字の羅列へと置き換えた.彼にとっての平穏とは,誰も何も考えず,ただ定められた「設定」通りに動く,静かな書庫の中だけだったのである.


施工開始:物理による「設定変更」

「…….…….長い.三行で言いなさいな.あと,消耗品? まぁ,わたくしを誰だと思っていますの? わたくしはただの,少しだけ審美眼の鋭いバイヤーですわよ」


アリシアは迫り来る「忘却」の文字を,右拳一つで粉砕した. 概念であるはずの文字列が,アリシアの圧倒的な質量圧の前では,ただの乾燥した木片のように砕け散る.


「な……!? 真理の概念を,純粋な『腕力』で打ち消したというのか……ッ!!」


「教育が必要ですわね.真理が重いのではありませんわ.貴方の書き方が,あまりにも『くどい』だけですわ!!」


アリシアは書庫の床――すなわち世界の根底そのものに向けて,全人生の負債を乗せた正拳突きを叩き込んだ.


ドォォォォォォォォォォォォンッ!!


それは世界の理を破壊するのではなく,あまりの圧力によって「設定」を強制的に一行へと凝縮させる衝撃であった.


決済:宇宙の「レシピ本」化完了

エトスの巨大な体はバラバラに分解され,書庫に溢れていた難解な知識は,アリシアの拳によって一冊の「薄いパンフレット」へと圧縮された.


「ガ,ハッ…….私の数万年の記録が……ただの『お買い物リスト』に……書き換えられていく……」


「……ふぅ.ようやく読みやすくなりましたわ.お姉ちゃん(仮),このパンフレットに書いてある『美味しい紅茶の淹れ方』,さっそく試してみましょうか?」


暴力は善である. アリシアの理不尽な拳は,宇宙の深遠な真理すらも「ただの生活の知恵」へと引きずり下ろし,全次元の情報を彼女の気まぐれ一つで操作できる「家庭の医学」程度の価値にまで買い叩いてしまったのだ.


「さて,次はどこの世界かしら? ……ナビさん,次は『最強の運命』が支配しているという次元へ案内なさいな.わたくし,運命を『縄跳びの紐』にでもして遊びたくなってきましたわ」


アリシアの不敵な笑みと共に,一行は次元の扉を物理でこじ開け,運命という名の理不尽を分からせるための旅を続けた.

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