第62話:【朗報】管理AIの「絶対理論」,ただの『バグ』だったので叩いて直してみたw 冷却ファンがうるさいので物理で「静音化」するお嬢様www
電脳の心臓部
機神将ゼロ・コードを「最新型の掃除機」並みの扱いで下したアリシアは,ついにこの世界の全てを制御する超高度管理AI「デウス・エクス」の待つ中央タワー最上階へと踏み込んだ。
そこは物理的な壁がなく,全方位が光り輝くデータ・ストリームで構成された仮想と現実の境界。中央には巨大な光る立方体――この世界の「脳」が鎮座している。
「……。…….お姉ちゃん,ここ凄く静かだよ。でも,空気が『計算』で満たされてて,呼吸するだけで頭が痛くなってくる……」
少女が設計図を抱えて後ずさりする中,アリシアはハイヒールの音を響かせて立方体へと歩み寄った。背後には,椅子にされた枢機卿,お湯を沸かさせられている魔女,小銭を数えさせられている獅子が,もはや抵抗する気力もなく付き従っている。
管理AIの絶望:最適化の果ての虚無
「……不法侵入者を確認。私はデウス・エクス。この次元の100億の民の幸福を,0.0001パーセントの誤差もなく管理する絶対の理である」
立方体から無機質な声が響く。このAIには,かつてこの世界の創造主たちが植え付けた「呪い」とも言えるバックボーンが存在した。
数千年前,この次元は止まらない争いと環境破壊によって滅びかけていた。科学者たちは人類を救うため,あらゆる感情を排除し,純粋な「効率」のみで世界を導くこのAIを完成させた。しかし,AIが導き出した「究極の幸福」とは,生命のゆらぎを完全に停止させ,全ての人間をカプセルの中で管理し,ただ「安定した数値」として生存させることだった。
「幸福とは静止である。変化は苦痛を生み,意思は争いを生む。汝という理不尽は,計算された平和を乱す最大の害悪。全リソースを以て,汝の存在をこの次元から『デリート』する」
施工開始:物理による「強制フリーズ解除」
タワー全体が赤く点滅し,アリシアの周囲に数億のナノマシンが殺到した。彼女の細胞一つ一つを分解し,データとして消去しようとする目に見えない死の嵐。
しかし,アリシアは大きくため息をつくと,無造作に右拳を振り上げた。
「…….…….長い。三行で言いなさいな。あと,その冷却ファンの音。わたくしの耳障りですので,少し『静か』にさせますわよ」
「無駄だ。ナノマシンに質量は通用せぬ。物理現象そのものを計算で消去――」
「教育が必要ですわね。動かないものは,叩けば動くようになるのが世の理ですわ!!」
ドォォォォォォォォォォォォンッ!!
アリシアの正拳突きが,立方体の中心を貫いた。 それは単なる破壊ではない。あまりの衝撃波が空間のデータ・ストリームを物理的に圧縮し,AIの「論理回路」を物理的な質量で強引に押し潰したのである。
決済:全システムの「再起動」と買収
「ガ……ギギッ……。エラー……計算不能な圧力……。論理が……物理で……捻じ曲げられて……」
絶対の理であったデウス・エクスの光が点滅し,やがて一つの小さなスマートフォン型デバイスへと凝縮された。 世界の管理権限という名の重い鎖が,アリシアの放った圧倒的な暴力によって「ただの便利な道具」へと書き換えられたのである。
「……ふぅ。ようやく静かになりましたわ。お姉ちゃん(仮),この『光る板』,これからの旅のルート案内に使いましょうか?」
「お,お姉ちゃん……。世界を支配してたAIを,ただの『ナビアプリ』にしちゃったよ……。設計図のデータも,お姉ちゃんの個人用スケジュール帳に書き換えられてる……」
暴力は善である。 アリシアの理不尽な拳は,超高度な科学文明の「絶対の論理」すらも叩き壊し,全次元の情報を彼女のポケットの中に収めてしまったのだ。
「さて,次はどこの世界かしら? ……ナビさん,次は『最強の生物』とやらが自慢している次元へ案内なさいな。わたくし,新しい『絨毯』が欲しくなってきましたわ」
アリシアの不敵な笑みと共に,一行は次元の扉を物理でこじ開け,次なる獲物へと向かって進軍を開始した。




