第44話:【朗報】「幻の食材」の毒,ただの「不純物」だったので拳で叩き出してみたw 消毒(物理)こそが最高のスパイスですわwww
不衛生なキッチン
アリシアたちが乗る豪華客船は,紫色の不気味な霧に包まれた孤島へと辿り着いた.そこは「腐敗の島」と呼ばれ,一吸いで肺が溶ける猛毒の霧が充満し,その中心には一口食べれば不老長寿を得るとされる幻の巨魚「テン空マグロ」が生息している.
「…….…….お姉ちゃん,ここに入っちゃダメだよ! 設計図の警告ランプが真っ赤になってる.この霧に触れただけで,普通の人間は一瞬でドロドロに溶けちゃうって……」
少女が鼻と口を必死に押さえながら,ガタガタと震える手で設計図を指し示す.しかし,アリシアは船首に立ち,その有害な景色を不機嫌そうに眺めるだけであった.
「…….…….不衛生ですわね.最近の若者(大自然)は,客人を招く前に掃除(換気)一つできないのかしら.これではせっかくの食材が台無しになってしまいますわ」
アリシアは考えるのをやめていた.彼女にとって猛毒とは,単なる「汚れ」あるいは「効率の悪い味付け」に過ぎなかった.
守護者の顕現:猛毒の王
霧の奥から,数千の触手を持つ巨大なヘドロ状の怪物「デッド・スライム」が這い出してきた.それは島全体の毒を統括する守護者であり,その体躯からは触れるもの全てを腐食させる酸が溢れ出している.
「……無知なる娘よ.我が毒は概念をも腐らせる因果の腐敗.汝がどれほどの膂力を誇ろうと,触れた瞬間にその腕は骨まで溶け落ち,魂は永遠の苦悶に――」
「長い.三行で言いなさいな.あと,貴方,少しばかり『脂っこい』ですわね.わたくしの好みではありませんわ」
「な……!? 脂だと!? これは至高の毒素であり――」
「教育が必要ですわね」
施工開始:原子レベルの「除菌(物理)」
アリシアは右拳を深く引き絞った.彼女の周囲の空気が,その圧倒的な圧力によって瞬時に真空へと変質する.
「最近の若者は,毒などという姑息な手段に頼りすぎていますわ.本当の美味しさとは,余計な不純物を削ぎ落とした『純粋な暴力』の先にありますのよ!!」
ドォォォォォォォォォォォォンッ!!
アリシアの放った正拳突きは,大気を「壁」として押し出し,島を覆う毒霧ごとデッド・スライムを直撃した. 本来,物理攻撃では捉えられない液体状の怪物であったが,アリシアの拳が生み出した超高圧の衝撃波は,その細胞一つ一つを物理的に粉砕し,同時に発生した摩擦熱によって毒素を原子レベルで焼き尽くした.
「ギ,ギャアァァァァァッ!! 毒が……私の存在そのものが,『洗浄』されていく……ッ!!」
空間全体が激しく振動し,紫色の霧は一瞬で無色透明な清浄な空気へと書き換えられた.後に残ったのは,毒を抜き取られ,綺麗に磨き上げられた巨大な「幻の食材」だけであった.
実食:暴力による最高の仕込み
「……あ.お姉ちゃん,島全体の毒が拳の風圧で宇宙まで飛んで行っちゃったよ.おまけに,お魚も衝撃波でちょうど良い『たたき』の状態になってる……」
少女が呆然としながら,毒が抜けて白く輝く魚の身を見上げる.アリシアは満足げに拳を振り払うと,ドレスの裾を整えた.
「ふふ,ようやく清潔な食卓になりましたわね.暴力は善――やはり,消毒も物理で解決するのが一番効率的ですわ」
アリシアは,最高級の魚肉をひと口サイズに(手刀で)切り分けると,それを少女の口へと運び,自分も優雅に舌鼓を打った. 毒という名の不条理さえも物理で叩き出した極悪令嬢の美食の旅は,世界の生態系を一方的に「浄化」しながら,さらなる奥地へと続いていく.




