第41話:【朗報】最後の鍵は「空の上」にあるらしいw 重力が邪魔で飛べないので、物理で『引きずり降ろして』みたお嬢様www
絶壁の麓:見上げる不条理
氷の国を快適なサウナへと作り替えたアリシアたちは、設計図が示す最後の目的地、世界の中心に位置する「空中庭園」の真下へと辿り着いた。 そこは地上から数万メートル上空、分厚い雲のさらに先に浮かぶ島であり、翼なき者が辿り着くことは絶対に不可能とされている。
「……。……。お姉ちゃん、あそこが『第四の鍵』がある場所だよ。でも、設計図には『風の加護を得た勇者のみが、七色に輝く伝説の鳥に乗って辿り着ける』って書いてある。私たち、空なんて飛べないよ……」
少女が絶望的な高さを見上げて呟く。しかし、アリシアは首の骨をボキボキと鳴らしながら、その「浮遊する不条理」を睨みつけた。
「加護? 伝説の鳥? まぁ、そんなまどろっこしい交通手段が必要なんですの? 最近の若者(空の島)は、地面から離れていれば安全だとでも思っているのかしら。それは大きな間違いですわ」
アリシアは考えるのをやめていた。彼女にとって「高い場所にあるもの」とは、単に「まだこちらが手を伸ばしていないもの」に過ぎなかった。
守護者の嘲笑:天空の支配者
その時、雲の中から巨大な翼を持つ第四の守護者「天空卿」が舞い降りてきた。彼は地上にいるアリシアたちを見下ろし、冷ややかな笑みを浮かべた。
「無能な令嬢よ。これまでの蛮行は聞き及んでいるが、この空においては貴様の拳など無力。重力という絶対の理に縛られた地を這う虫に、我が領域を侵すことはできぬ。望みがあるならば、数千年の修行を経て風の理を悟るが良い。くははは、せいぜい首が折れるまで見上げているのだな!」
天空卿の言葉は、物理法則に基づいた至極全うな「正論」であった。空を飛べない人間に、空の島を落とす術など存在しないのだ。
しかし、アリシアは深く息を吸い込んだ。
「……。……。長い。三行で言いなさいな。あと、重力。めんどくさい。これ、わたくしが『解除』して差し上げますわ」
施工開始:重力への「説得(物理)」
アリシアは、腰を深く落として地面を睨んだ。
「お、お姉ちゃん、何をするつもり!? まさか、跳ぶの?」
「いいえ。跳ぶのは疲れそうですわ。もっと効率的に、あちらに『降りて』きていただきますの」
アリシアは、右拳を天に向けて構えると、全身の筋肉をかつてない密度で圧縮した。彼女の周囲の空気が、その圧倒的な圧力によって火花を散らし始める。
「最近の若者は、高いところにいるだけで偉くなったと勘違いしすぎですわ。……少し、わたくしの手の届くところまで『お辞儀』をなさいな!!」
ドォォォォォォォォォォォォンッ!!
アリシアが放ったのは、空を殴る「正拳突き」であった。 だが、それは単なる打撃ではない。あまりの衝撃波と圧力によって、上空の空気が一瞬にして「真空のトンネル」を作り出し、その負圧によって成層圏の雲が、そして浮かんでいたはずの巨大な空中庭園が、まるで吸い寄せられるように地上へと引きずり下ろされた。
決済:全自動上陸システム
「な、な……バカな!? 島が……落ちる!? 引力を、物理で、捻じ曲げたというのか……ッ!!」
天空卿が絶叫する中、数キロメートル四方の空中庭園が、アリシアの目の前の平地へと「ドッシャァァァンッ!!」と豪快に不時着(墜落)した。 衝撃で周囲の山々が平らになり、かつてない砂煙が舞い上がる。
「……ふぅ。ほら、これで階段を使わずに上陸できますわ。なんて親切な設計(更地)かしら」
アリシアは、墜落して気絶した天空卿の背中を踏み越え、瓦礫の中から「第四の鍵」をむしり取った。
「お姉ちゃん……。重力どころか、世界の高度設定そのものが物理でバグっちゃったよ。設計図の『全てのロック』が、あまりの衝撃に諦めて解除されたみたい……」
少女の持つ設計図が、四つの鍵を得て太陽のような光を放ち始めた。 暴力は善。 アリシアの拳は、ついには天界の理さえも地上へと叩き落とし、全ての「鍵」をコンプリートしてしまったのである。




