第24話:【祝】実家の闇が深すぎたので、とりあえず「国ごと」買い叩くことにしたw 全責任を「物理」でお返しする準備、完了ですわwww
【大聖堂:禁忌の正体と、冷徹な再起動】
アリシアは、祭壇の裏で粉々に砕いた木櫃の残骸を、冷徹な瞳で見下ろしていた。 袋から溢れ出した白い粉――王国が「最高機密」と称して隠し、教会の地下で裏取引されていた麻薬。その袋に刻まれた「エングラム王家」の紋章が、今この瞬間にすべての謎を解き明かしていた。
(……ああ。そういうことでしたのね)
数分前に戻っていたはずの理性と知性は、いまや氷のように冷たく、鋭利な刃物となって研ぎ澄まされていた。 彼女の脳裏には、数年前、絶望の淵に立たされたあの日の光景が鮮明に蘇る。
【回想:仕組まれた陥落】
戦場は死臭と絶望に満ちていた。 アリシアが指揮した防衛作戦は、見るも無残に瓦解した。だが、それは彼女の無能のせいではなかった。兵力も食料も、本国からの魔力支援さえも、最初からこの砦を見捨てるかのように欠如していたのだ。
砦が陥落した際、特使は冷酷にこう言い放った。 「王国の最高機密である 木櫃 を、貴様の無能ゆえに敵に奪われた罪は万死に値する」
あの時、アリシアは何も知らされていなかった。 ただ「奪われた」という事実だけを罪として押し付けられ、爵位も、王位継承権も、母との思い出が残る故郷への帰還さえも、すべてを奪われた。
だが、今ならわかる。 あの木櫃の中身は、王家が教会と結託して密売していた「麻薬」だったのだ。 取引の失敗、あるいは横流しの露見。そのすべての「汚れ」を、魔力を持たぬ「無能な娘」に押し付けて処理した――。
それが、王都の連中が描いた、醜悪な筋書きの正体であった。
【現在:思考停止という名の決意】
「……アハ。アハハハハハハッ!!」
アリシアの笑い声が、静寂の大聖堂に木霊した。 あまりに馬鹿馬鹿しい。 「高貴な義務」だの「騎士の誇り」だのと自分を縛っていたものは、最初からゴミ溜めの中で踊らされていたに過ぎなかったのだ。
アリシアは考えるのをやめた。 正義も、倫理も、法律も、もうどうでもいい。 残されたのは、母の言葉――「本当に守りたいとき、暴力は善になる」という教えのみ。
「お、お姉ちゃん……? 金貨、全部持っていくの?」
少女が怯えながら問いかける。アリシアは、祭壇に積まれた莫大な金貨一万枚を、剥き出しの殺意と共に睨み据えた。
「ええ。買収の準備ですわ」
アリシアはドレスの返り血を払い、かつて自分を追放した特使の文書(泥まみれの記憶)を、心の中で踏みつけた。
「無能だから奪われた? いいえ、奪われたのではありませんわ。私が――すべてを『買い叩き』に行くのです」
【出発:極悪の凱旋】
アリシアは、麻薬の袋を無造作に踏み潰すと、銀の箱を抱えた少女の手を引いた。 もはや、そこに迷いはない。 彼女が目指すのは、ただ一つの目的地。
「エングラム王国。私の人生を道具にし、汚らわしい粉で私腹を肥やしていた、あの『実家』。……私の拳で、一万枚分の絶望と共に、根こそぎ買い取って差し上げますわ!!」
アリシアの瞳は、これまでにないほど澄み渡り、同時に底知れぬ暗黒を湛えていた。 極悪令嬢による、国家規模の復讐劇――。 その第一歩として、彼女はまず、かつて自分が泥を啜った「国境の砦」へと、最短距離で突き進むことを決めた。
「さあ、参りますわよ。……『最近の若者(元部下)』たちに、本物の教育を施してあげなければなりませんものね」




