第23話:【悲報】金貨1万枚貯まりそうだけど急に虚しくなった件。からの【祝】実家の闇が深すぎて暴力再開を決意したwww
【大聖堂:絶対防御(笑)の崩壊】
腐敗した教会の総本山。その最奥で、肥え太った枢機卿たちが血の気の引いた顔で震えていた。 彼らが全幅の信頼を置いていた、伝説の勇者ですら傷一つつけられないはずの「神聖結界」は、今や見る影もない。アリシアの放ったただの一撃――物理法則を真っ向から否定する正拳突きによって、大気ごと粉砕され、キラキラとした光の塵へと変えられていた。
「ひ、ひぃぃ……神の罰が下るぞ! この悪魔め!」
アリシアは、喚き散らす枢機卿たちの頭を一人ずつ丁寧に床へと「埋設」した。 もはや、彼らの言葉を理解する必要はない。ただ、そこにある不快な音源を物理的に消去するだけ。それが彼女の流儀だった。
【理性の帰還:暴力の終わり?】
祭壇の裏には、これまでの比ではない量の金貨が山積みになっていた。 これだけで金貨一万枚は軽く超えるだろう。母との「おままごと」で約束した、国を買えるほどの金額。
だが、その輝きを前にして、アリシアの動きが止まった。 脳内を支配していた「思考停止」の霧が、不意に晴れていく。泥と血にまみれた自分の手。転がっている無惨な肉塊。失った爵位、名誉、そして誇り。
(……わたくし、何をしていたのかしら?)
急激に戻ってきた理性と知性が、彼女の行いを残酷に分析し始める。 ただの八つ当たりではないか。母の冗談を免罪符にして、野蛮に拳を振るっていただけではないか。 目的を達成した瞬間に訪れたのは、達成感ではなく、底知れぬ虚無感だった。
「……やめますわ。もう、暴力なんて」
アリシアは、握りしめていた拳を力なく解いた。 そんな彼女を見て、銀の箱を抱えた少女が恐る恐る尋ねる。
「……ねえ、お姉ちゃん。これから、どうしたらいいの?」
アリシアは答えられなかった。 暴力を捨てた自分に、何が残っているのか。帰る場所も、迎えてくれる人も、もうどこにもいないというのに。
【因縁の再会:木櫃という名の呪い】
少女は、沈黙するアリシアを元気づけようと、祭壇の隅に置かれた古びた木箱を指差した。
「ほら、お姉ちゃん! あそこに宝箱があるよ! ボスを倒したんだから、見てみようよ!」
アリシアの視線が、その**木櫃**に向けられた瞬間。 彼女の背筋に、凍り付くような衝撃が走った。
(……あれは、まさか)
脳裏に、かつて自分を地獄へと突き落としたあの日の光景が蘇る。
『――王国の最高機密である【木櫃】を、貴様の無能ゆえに敵に奪われた罪は万死に値するッ!』
あの時、何が入っているのかも知らされず、ただ「守れなかった」という事実だけで全てを奪われた。 目の前にあるのは、あの時奪われたとされる物と、瓜二つの箱。
【真実の暴露:救いようのない祖国】
アリシアは震える手で、その木櫃の蓋をこじ開けた。 中に入っていたのは、眩い財宝でも、聖なる遺物でもなかった。
そこにあったのは、どす黒い植物の葉と、不気味な臭いを放つ白い粉の詰まった大量の袋。 そして、その袋には、はっきりと刻印されていた。
――アリシアの故郷、エングラム王国の王家の紋章が。
「……アハ。アハハハハハッ!!!」
アリシアの口から、乾いた笑いが漏れ出した。 すべてが繋がった。 あの時、木櫃は「奪われた」のではない。「裏取引」に使われたのだ。 王家は、腐敗した教会と結託して禁忌の麻薬を密売していた。そしてその証拠を運ぶ際、もし失敗しても責任を押し付けられるよう、魔力のない「無能な娘」を護衛に選んだのだ。
「……お姉ちゃん、どうしたの? また怖い顔になってるよ……?」
アリシアは、麻薬の袋を無造作に握り潰した。 戻りかけた理性と知性は、今や、真っ赤に燃え上がる復讐心へと上書きされていた。
「……決まりましたわ。買うべき国が」
アリシアは立ち上がり、血に濡れたドレスを整えた。 もはや、金貨一万枚はただの数字ではない。あの腐り果てた実家――エングラム王国を、根こそぎ「買収(破壊)」するための軍資金だ。
「暴力は、やはり『善』でしたわ。……いえ、これからは『救済』と呼びましょうか」
アリシアは屈託のない、それでいて底知れぬ殺意を秘めた笑顔で、故郷の方角を見据えた。
「さあ、帰省の準備ですわ。エングラム王国……貴方たちを、私の拳で全額キャッシュ(物理)で買い取って差し上げますわ!!」




