第22話:【朗報】要塞の正門を「挨拶代わり」に蹴り飛ばしてみたw 飛んでくる大砲をテニス感覚で打ち返すお嬢様www
【隣町:要塞都市の歓迎】
隣町に到着したアリシアを待っていたのは、町というより「巨大な鉄の箱」と呼ぶべき、武器商人バザルの要塞であった。 壁面には無数の大砲が並び、重装甲のゴーレムが哨戒している。戦火を煽って私腹を肥やすバザルにとって、ここは世界で最も安全な聖域のはずだった。
「……あ。お姉ちゃん、あそこ『立入禁止』って書いてあるよ?」
銀の箱を抱えた少女が看板を指差す。だが、アリシアは止まらない。 真紅と純白のドレスを風になびかせ、泥に汚れたヒールで一歩一歩、死の射程へと踏み込んでいく。
「立入禁止? 構いませんわ。扉というものは、殴り開けるために存在しているのですから」
【迎撃:鉄の雨とテニス】
「侵入者だ! 撃てッ!!」
要塞の壁面上から号令が下り、数十門の大砲が一斉に火を噴いた。 空を覆い尽くすほどの砲弾が、アリシアという一点を目指して殺到する。通常の人間であれば、跡形もなく消し飛ぶであろう鉄の嵐。
だが、アリシアは考えるのをやめていた。 彼女は、ナックル代わりに指に巻き付けた宝石を煌めかせると、最速の軌道を描いて右手を振り抜いた。
――パァァァァンッ!!
「……あら、少し打球が低かったですわね」
飛来した巨大な砲弾を、アリシアは素手で「ビンタ」して打ち返した。 物理法則を無視した反射速度。弾き飛ばされた砲弾は、射出した大砲そのものを直撃し、壁の上で派手な爆炎を上げた。 その後も、彼女は飛んでくる砲弾を次々と平手打ち、裏拳、回し蹴りで「返球」し、バザルの誇る最新兵器を自らの砲弾で次々と沈めていく。
「お、お姉ちゃん……それ、テニスじゃないよ……」 「いいえ、淑女のスポーツですわ。相手が差し出してきたものは、丁寧にお返しするのが礼儀ですのよ」
【蹂躙:勧善懲悪の「副作用」】
正門に辿り着いたアリシアは、厚さ一メートルの鋼鉄の扉を**「ノック(という名の前蹴り)」**一発で、蝶番ごと要塞の奥深くまで吹き飛ばした。 中では、バザルに雇われていた傭兵たちが腰を抜かしていた。
「ひ、ひぃっ! モンスターだ! 逃げろ!!」
アリシアは逃げ惑う傭兵たちには目もくれず、真っ直ぐに金貨の匂いがする最上階へ向かう。 その過程で、彼女は「なんとなく邪魔だったから」という理由で、武器庫の柱を折り、奴隷たちが閉じ込められていた檻の鍵を指で引き千切った。
「あ、ありがとうございます! 助かりました!」 「戦場に送られる寸前だったんです、お嬢様は神の使いだ!」
背後から聞こえる感謝の絶叫。 だが、アリシアの耳には届かない。彼女にとっての関心事は、この要塞の主がどれだけ「叩けば金が出るか」という一点のみであった。
【最上階:鉄鋼王の終焉】
最上階。重厚な防弾ガラスの向こうで、バザルが震える手でスイッチを押そうとしていた。 自爆装置か、あるいは最終兵器の起動か。だが、その指が動くよりも早く、アリシアがガラスを**「呼吸」するように粉砕して**室内に侵入した。
「ま、待て! 私が死ねば、この国の武器供給は……!」
「……三行で。あと、金庫。どこ」
アリシアはバザルの言葉を遮り、彼の襟首を掴んで床に叩きつけた。 そして、部屋の隅にある巨大な金庫を見据える。
「……あ。お姉ちゃん、あそこの金庫、凄く丈夫そうだよ? お金、出せるかな?」
「ふふ、大丈夫ですわ。誠意をもって語りかければ、物は自ずと口(蓋)を開くものですもの」
アリシアは右拳を引き絞る。 彼女の背後に、母との「おままごと」の幻影と、これまでに救われた人々(という名の巻き添え)の祈りが一瞬だけ重なった。
ドォォォォォォォォンッ!!
要塞全体を揺るがす衝撃。 金庫の扉は紙細工のように弾け飛び、中から滝のような金貨があふれ出した。
「金貨、三千……いえ、四千枚! お姉ちゃん、目標の半分まで来たよ!!」
少女の歓喜の声に、アリシアは満足げに頷く。 足元で気絶している「鉄鋼王」を新しい椅子に任命し、彼女は窓の外に広がる夕焼けを眺めた。
「暴力は、善……。本当に、世界が平和(静か)になっていきますわね」
極悪令嬢による「強制的な世界平和」は、もはや止まることを知らなかった。




