第18話:【朗報】欲しい服がないので、とりあえず気に入らない服屋を全滅させてみた件w 「買い物」の定義、破壊に書き換わるwww
【街の散策:理想と現実の乖離】
アリシアは黄金の箱から得た軍資金を手に、意気揚々と街へ繰り出した。 目指すは、母の冗談を真実にするための「先制攻撃用ドレス」の調達である。 だが、この小国の治安は、彼女の期待を裏切るに十分なほど腐りきっていた。
大通りに並ぶのは、色褪せた布切れを吊るしただけの露店や、盗品を並べるだけの薄汚い店ばかりであった。アリシアがかつて王宮で袖を通したような、真珠をあしらった絹のドレスなど、どこを探しても見当たらない。
「……あ、あのね、お姉ちゃん。この街、あんまり綺麗なお洋服は売ってないと思うよ?」
後ろをついてくる少女が、不安そうにアリシアの顔色を伺う。 だが、アリシアの瞳には、一切の迷いはなかった。
「無いのであれば、見つかるまで探し続ける。それだけですわ。そして、私の貴重な時間を無駄にした対価は、その身で払っていただきますわ」
アリシアは考えるのをやめていた。 彼女にとって「買い物を楽しむ」というプロセスはすでに消失し、「気に入った服を出すか、店が消えるか」という極めて単純な二進数の暴力へと進化を遂げていたのである。
【一軒目:布切れの店】
最初に入ったのは、自称「高級仕立て屋」の看板を掲げる店であった。 中から出てきたのは、脂ぎった顔をした強欲そうな店主。彼は血まみれの軍服を纏ったアリシアを見て、鼻で笑った。
「おいおい、泥人形が何の用だ? ウチの服は金貨一万枚でも足りねえぞ。シッシッ!」
アリシアは無言であった。 次の瞬間、彼女の鉄拳が店主の顎を捉え、彼は天井を突き破って二階へと消えていった。
「一万枚出せと言ったのは貴方ですわね? ならば、その価値に見合う商品がない罪は重いですわ」
アリシアは店内の棚を無造作に薙ぎ払い、商品であるボロ布ごと店舗を粉砕した。一軒目の「仕立て屋」は、わずか数十秒で更地と化したのである。
【巡礼という名の蹂躙】
その後も、アリシアの歩みは止まらなかった。
「……この色、気に入りませんわ」 ドォォォォォン!!(店が崩壊する音)
「……店員の愛想が、先ほどの魔獣以下ですわね」 ガシャァァァァァン!!(ショーウィンドウが粉砕される音)
「……ドレスを試着する前に、私の拳の感触を試して差し上げますわ」 ズガァァァァァン!!(店主が壁に突き刺さる音)
アリシアが通り過ぎた後の通りには、もはや「服屋」という概念そのものが存在しなかった。残されたのは、瓦礫の山と、恐怖に震えながら空を仰ぐ元店主たちの群れだけであった。
【路地裏:暴力による市場調査】
五軒目の店舗を物理的に「閉店」させた後、アリシアは血に汚れた拳をドレス(の残骸)で拭った。
「お姉ちゃん……もう、この街に服屋さんは一軒も残ってないよ……」
少女の声は震えていた。もはやこれは買い物ではない。都市開発という名の破壊活動であった。 だが、アリシアは満足げに頷く。
「ええ、効率的ですわ。ダメなものを排除していけば、最後に残ったものが『最高の一着』になりますもの。これも一種の選別、いわば『暴力による市場調査』ですわ」
アリシアの論理は、もはや神の視点に近い傲慢さに達していた。 彼女にとって、世界は「自分にひれ伏すもの」と「殴られて壊れるもの」の二種類しか存在しない。
「さあ、次はあの丘の上にある、一番大きな屋敷へ向かいますわよ。あそこの主なら、きっと私の眼鏡にかなうドレスを持っているはずですわ」
アリシアの指差す先には、この街を支配する領主の館がそびえ立っていた。 それはもはや買い物ではない。 「極悪令嬢」による、国家規模の強奪の幕開けであった。




