第17話:【朗報】目標は「金貨1万枚」に決定w 服が必要な理由、お嬢様流に雑に解説してみたwww
【回想:おままごとの「お値段」】
遠い昔、陽光が差し込む庭園で、アリシアは母とおままごとに興じていた。 幼いアリシアは、おもちゃの紙幣を両手いっぱいに差し出し、無邪気に笑った。
「お母様! わたくし、このお国を買いたいですわ!」
母は困ったように、しかし愛おしそうに微笑んで、冗談めかして答えた。
「あらあら、アリシア。お国はとっても高いのよ。せめて金貨1万枚はないと、買えませんわね」
「まあ! では、わたくし、たくさん貯めますわ!」
【現実:宿屋の一室にて】
「……1万枚ですわ。1万枚あれば、私は国を買える」
アリシアは金貨800枚が詰まった袋を眺めながら、決意を新たにした。 「考えるのをやめた」彼女の脳内では、母の冗談が絶対的な真理(クエスト目標)へと変換されていた。 幸い、宿屋の主人はアリシアの「善行(暴力)」に深く感銘を受け(震え上がり)、食住を無償で提供してくれている。 残る課題は、衣食住の最後の一つ――「衣」であった。
「ねえ、お姉ちゃん」
後ろで銀の箱を抱えた少女が、不思議そうに首を傾げた。
「お国を買うためにお金を貯めるんでしょ? なんでわざわざ高いお洋服を買うの? このままでも、お姉ちゃん十分強そうだよ?」
アリシアは、泥と返り血で固まった自分の軍服を見下ろした。 そして、かつて淑女の嗜みとして家庭教師に叩き込まれた膨大な知識を、今の自分に都合よく、極めて「雑」に引き出した。
「いい、よく聞きなさい。服というのは……そう、**『先制攻撃』**ですわ」
「せんせいこうげき?」
「ええ。淑女の知識によれば、装いとは相手への挨拶……つまり、拳を振るう前に『私は貴方より格上ですわよ』と分からせるための儀式ですの。立派な服を着ていれば、相手は勝手にひるみます。殴る手間が省ける、あるいは殴った時の快感が増す。これが服の真理ですわ」
アリシアの解説は、もはやマナーの範疇を完全に逸脱し、軍事的な威圧の理論へと昇華されていた。 エチケット? 格式? そんなものはどうでもいい。
「ボロボロの格好で殴るより、キラキラした格好で殴った方が、相手も『高貴な暴力』を受けたと納得するはずですわ。これもお母様が言った『善』の一環ですのよ」
「……そ、そうなんだ……」
少女は、アリシアの強引すぎる理論に圧倒され、ただ頷くことしかできなかった。 アリシアは立ち上がり、血まみれの拳を握り直す。
「さあ、街で一番高い仕立て屋へ向かいますわよ。もし在庫がないなんて言ったら、店ごと私のコレクション(私物)にして差し上げますわ」




