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第14話:【悲報】命懸けでボス倒した報酬が「紙切れ」と「幼女」だった件w 宝箱の「ガワ」を売る計画に変更www

【報酬の期待:至福の時間】


オーガの巨体が沈黙し、静寂が戻った最深部。 アリシアは荒い呼吸を整えながら、血に濡れた顔を拭った。全身の骨が悲鳴を上げ、皮の剥けた拳はもはや感覚を失っている。だが、そんな激痛さえも、これから手にするであろう「対価」への期待が塗り潰していく。


(……これほど苦労しましたの。さぞかし、国の一つや二つ買えるほどの財宝が眠っているのでしょうね)


彼女の視線の先には、ボスの背後に鎮座する二つの宝箱があった。 一つは小ぶりな銀の箱、そしてもう一つは、彼女の背丈ほどもある、豪奢な装飾が施された巨大な黄金の宝箱。


アリシアは、勝利の余韻に浸りながら、まずは小さな銀の箱へと歩み寄った。


【収穫其の一:謎の紙切れ】


カチリ、と小気味よい音を立てて蓋が開く。 アリシアの瞳が、金貨の輝きを求めて細められた――が、そこに収められていたのは、金貨でも宝石でもなかった。


「……は?」


中に入っていたのは、古びた、よく分からない**「紙切れ」**が一枚だけ。 何らかの地図なのか、あるいは古の契約書なのか。魔力を持たぬアリシアには、それがただのゴミ同然にしか見えない。


「……。……まぁ、いいですわ。本命はあちらですもの」


彼女は紙切れを無造作に懐へ突っ込み、本命である巨大な宝箱へと向き直った。


【収穫其の二:眠れる少女】


期待に胸を膨らませ、アリシアは黄金の蓋に手をかける。 ずしりと重い手応え。これだけの重量があるのなら、中身は金塊か、あるいは伝説級の武具に違いない。 アリシアは、渾身の力を込めてその蓋を跳ね上げた。


「さぁ、私を潤しなさい……っ!!」


光が差し込み、中身が露わになる。 だが、そこに詰め込まれていたのは、眩い財宝ではなかった。


「…………あら?」


箱の中に横たわっていたのは、七歳くらいの少女であった。 透き通るような肌に、長く美しい髪。彼女はまるで時が止まったかのように、静かに、安らかに眠りに就いている。


アリシアは、数秒間、沈黙した。 そして、ゆっくりと蓋を閉めた。


「……がっかりですわ」


深いため息が、最深部に虚しく響く。 命を懸けてオーガの首を噛み千切り、泥を啜って辿り着いた結果が、「意味不明な紙切れ」と「言葉も発さぬガキ」である。これでは、失った軍服の代金や、宿で盗まれた銅貨の穴埋めにもなりはしない。


【極悪の算段:転売の理】


アリシアは、絶望的な収穫の少なさに頭を抱えかけた。 だが、そこで彼女の冷徹な審美眼が、ある一点に止まった。


(……待ちなさい。この宝箱……相当な年季が入っていますわね)


彼女は、少女が眠る黄金の宝箱の縁を、愛おしそうに撫でた。 緻密な彫金、今では失われた古代の意匠、そして高品質な魔力耐性合金。


(中身はゴミ同然ですが、この「箱」そのものは歴史的価値が極めて高いはず。これを分解して売るか、あるいはアンティークとして富豪に売りつければ、それなりの金額になるのではなくて?)


本来、伝説の勇者であれば「箱の中の少女」に宿る運命を感じ取る場面であろう。 だが、今の彼女は「暴力は善」という真理に目覚めた、どん底の元令嬢。 アリシアは、眠っている少女を「邪魔な中身」として脇に退けるべきか、あるいは「箱の付属品」として一緒に売るべきか、きわめて実利的な計算を始めようとしていた。


「……まずは、この重たいガワをどうやって持ち帰るかですわね」

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