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GateFragments  作者: 悠蛹
第2巻 Calamity Gate―厄災の門―

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Calamity Gate 第1章前編【双子の姉妹】

 高層建築が並ぶ都市――

 厄災は脅威と恩恵を与えた。

 もたらされたエネルギーは水色の光を放ち、夜の街を照らす。


***


 大厄災――

 ひとつの区を呑み込む巨大な門が発生。

 発生源付近にいた人間は門に巻き込まれ生死不明。

 付近の区画内、大量の人間が変異し、多くの厄災孤児が残された。


 この"大厄災"により保護された子どもの中に、双子の姉妹―アリシアとシアリスがいた。

 姉妹の父親は変異により死亡。母親は門に呑み込まれ生死不明となった。

 厄災の影響で薄い紫色だった姉妹の髪は、桃色と水色に変化した。


◇◇◇


 保護後、機関の検査によってアリシアは門への耐性が判明した。

 門への接近による影響(理性を失う、肉体が変化する)を受けにくいと判定され、組織候補生となる。


 機関では、血縁者同士が互いへ依存し、組織内のコミュニティを放棄する事態を避けるため、兄弟姉妹を持つ孤児は引き離される。

 

***


「今日からお前たちはバディだ」

 教官がアリシアの前に連れてきたのは、赤い髪の少女。手を後ろで組み、控えめにアリシアを見つめる。


 教官は二人のこどもに淡々と説明する。

「アリシアは実働部隊として変異体との戦闘や負傷者の救助を担当」

「"シル"、君は彼女のバディとして情報支援や装備の調整を行ってもらう」

「バディは互いに協力し支え合う、組織の規範を遵守し、互いの精神的支柱となるのだ」


 教官は膝をついて二人の肩に手を置き表情を引き締める。

「君たちのような目に遭ったこどもをこれ以上増やさないために…」


 アリシアとシルは、教官の最後の言葉の意味だけはなんとなく理解し、こくりと頷いた。


●●●


 シアリスは検査後、機関の地下にある研究区画へと案内される。

 区画内の一室には、子供たちが集められていた。


 大人たちの中で、一人が話し出す。

「みなさんこんにちは。私は、クエイン」


 科学者のような男は白衣を身に纏い、袖や襟からは細い体躯が覗く。

「君たちは検査によって"適性"があると判断された。」

「私の研究を通して、ともに人類の進化を目指そうではありませんか」


 クエインと名乗った男は子供たちを見渡す。

 シアリスは初めて向けられるその視線の中に、男が子供たちを人間として見ていないような感覚を覚えた。


 子供たちには番号が割り振られ、いくつかのグループに分かれて行動することになった。


 シアリスのグループは、簡易的なベッドが並ぶ部屋へ案内された。

 研究員がひとりひとりに錠剤の入った袋を渡す。


「君たちはこれから毎日、この薬を飲んで就寝する」

「それでは、おやすみ」


 子供たちは戸惑いながらも、言われるがままに薬を飲み、ベッドへ潜り込む。


 しばらくして、ベッドに入ったシアリスは身体の奥に熱を感じる。対照に、手足は冷たく震えだす。


〈あたまがいたい…〉


 痛み。不安と緊張の波に、布団を引き寄せ目を固く閉じ、妹の顔を思い浮かべた。



 朝――

 研究員に促され、起きられなかった一人を残して、シアリスたちは部屋を出る。


 子供たちは一人ずつ、中央に寝台が配置された部屋へ案内された。

 部屋は半透明な幕で仕切られた簡易的なもので、ぼんやりと隣の部屋の様子が見える。


 シアリスは寝台へ横になるよう指示された。

 研究員たちが寝台に備え付けられたベルトを、シアリスの腕や胴体に回し固定する。


「なに?これ…」

 シアリスが怖がり聞く。

「大丈夫。これは安全のためだからね」

 点滴に使用する器具を運んできた研究員が抑揚なく答える。

 バッグには青い液体が揺れている。


「いやだよー!」

「こわい…!」

「お母さん!!」


 仕切られた向こう側から、点滴を怖がる子供たちの泣き声が聞こえてくる。

 研究員は慣れた様子で、特に反応することはなく点滴の用意を進める。


 注射開始――

 青い輸液が管を通る。

 

〈…!〉

 激しい痛み。

 身体が裂けるような激痛。内部が溶け、細胞が壊れては再生しているように感じる。

 シアリスは拘束された寝台の上で暴れる。


 部屋に響き渡る叫び声は、彼女自身のものなのか、他の子供たちのものなのかも分からない。


 研究員たちは、静かに部屋の装置と子供を観察し、記録を取っている。


***


 子供の数は半数以下になっていた。

 生き残った子供はみな朦朧とし、体中から体液を垂らし呻いている。

 シアリスは首を動かす。彼女の隣、幕越しに見える寝台の上には人間の形ではない塊が、生きているように胎動していた。

 研究員が塊を片付ける。


「アリシア…」

 シアリスの意識は、そのまま闇に溶けていった。

読んでくださってありがとうございます!


シアリス…


キャラへの愛着って、積み重ねだと思うんです。

けれど、テンポも大事。

難しいです。

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