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GateFragments  作者: 悠蛹
第3巻 記雨―忘却の果て―

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26/26

記雨 序章【赤い落星】

注意!

第三巻『記雨』は、これまでの巻を読んだ後を強くお勧めします。



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悠蛹(@snghrk2414)

『座標をロストしました』

 ――リソースエネルギー残量【一〇%】

『注意してください。雨水に厄災と似たエネルギーを感知しました』

 ――衝撃吸収装甲破損

『大気中にも同様のエネルギーを微量確認』

 ――自動姿勢制御機能オフライン

『衝撃に備えてください』


 中空に現れた空洞から、青い保護膜に包まれた少女が、地上へと落下する。


「――いったあああ!」

 濡れた地面にぶつけた腰を押さえながら、赤い髪と瞳を持つ少女――シルがよろよろと立ち上がる。


 シルの周囲に舞っていた黒い粒子が、淡い水色の光を放ちながら小さな立方体となって浮かぶ。


「キュー、二人の反応は?」

『確認できません。探知機能に障害が発生しています。おそらく、この世界に降る雨が原因と予測されます』

 シルは隣に浮かぶ小さな箱と会話しながら、肌についた泥を拭う。

「はぁ……まぁ、そう上手くはいかないよね」


「こうして、門の先に別の世界があると分かっただけでも、大きな収穫っと」

 身体を伸ばしながら、シルは周囲の景色を眺める。


 ――降りしきる雨

 天上に伸びる裂け目が世界を覆い、涙のように雨水が落ちる。

 空気が白み、地表と空の境界が曖昧になっている。

 人の生活する気配はなく、廃墟がぽつぽつと残る。

 建物の様式に一貫性はなく、近代的な構造物や貴族が住むような屋敷が遠くに見える。

 白い石畳。

 放置された庭園。

 崩れた水道橋。


 ――ゆっくりと近づく、濡れた影。


「なに? あれ……」


『――生体反応あり』

 キューの報告。

 雨の中、濡れたような黒い影がゆらりと姿を現した。

 その異形の手には、小ぶりな槌と鏨が握られている。

「あれって……変異体かな?」

『変異体と酷似したエネルギー反応を確認。同質の存在であると推測されます』

「……似たような存在ってことね」


 シルがそう呟き、身構えた瞬間――背後から雨音に紛れ、もう一体の影が忍び寄っていた。

「嘘っ?!」


 キィィィィィィィィ……ン!


 耳を刺すような高音。

 刹那――振り向いたシルと、変異体のような生物の間に、一人の人間が割り込む。

 音は女性の腰布に差し込まれた鞘から鳴っていた。


 ゆらりとした長い裾から伸びる、柄を握る左手――足元までゆったりと覆う衣服の切れ目から覗く右脚は、深い緑色の光沢を放つ、金属製の義肢だった。


 親指で切られた鯉口――その隙間から漏れる眩い光が、青い光から白光を湛え、霞む空気を裂く。

「なに……あれ」

 閃光が走り、耳を劈くような鋭い音を放つ斬撃が、目の前の異形の芯を捉え――断つ。

 流れるような動作で、女性は鞘を持つ右腕を切り替えて傘を開き、機械の右脚は重い音を立てて地面へ固定される。


 ――直後、核を破壊された化け物は高圧の蒸気となり、強烈な高音と共に爆発を起こす。


 女性が構えた傘が、ガチガチと鋼鉄が組まれるような音を鳴らしながら引き締まる。爆風を、四肢の一部を機械化された女性と、その背後に尻餅をつくシルから守るように弾く。

 固定された右脚が、錨のように地面に突き刺さり、衝撃を地面へ受け流す。


 一瞬の静寂の後、吹き飛ばされた大量の雨粒が地面に叩きつけられ、もとのホワイトノイズのような雨音へ戻った。


「っな……!」


 薄い紫色の髪。目元には薄く雨粒のようなメイクが施されている。

 彼女の纏う装束は、濃淡の異なる紫色の布が複数重ねられ、合わせられた衣を腰布で引き締めている。

 抜かれていた刀身が収められる。鞘の凹凸が浮き上がり、隙間から外側へ向け排熱が行われるとともに、カチリと音を鳴らす。


『鞘の中は、我々のいた世界とは異なる複雑な機械的構造をしているようです。抜刀の際に高圧で加熱され、その熱で対象のエネルギー核を粉砕していると思われます。身に纏う繊維も、高い撥水効果と耐熱性を有しています』


 呆然とするシルへと差し出された機械の左腕。生身の右腕では、降り注ぐ雨を避けるための傘がシルへ差し掛けられている。


「……立てる?」

 優しくも、雨音に決してかき消されない力強さを持つ声。


「あ……ありがとう」

 差し出された義手を握り、引き上げられる。


「私の名前はルクシア。あなたは?」

 立ち上がったシルの目に映った女性――ルクシアの姿には、今も探し続けている親友の面影が重なっていた。

うおおおおおお!!!!

シルぅぅううう!!!!


…ふう。


初めまして!

また、Angelblood、CalamityGate、願いの器を読んでくださった方!ありがとうございます!愛してます!


第三巻、はじまりました!

もうね、言いたいこと、分かりますよね。はい。

物語の力を、信じてください。



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


ルクシア

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