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8/13

8.触れる

読んでいただけて感謝!

「…貴方は、誰?」



リリーシスは体を起こすと、男の顔を、仮面の奥を、透かして見ようとするかの様に凝視した。


男が素顔であれば、明らかに顔色を変えたのが分かったであろうが、

全てを仮面に遮られ、その表情は伺い知れなかった。



「す、す、すまなかった…!!!!!」


ベッド間際に立つ男はそのまま、流れるように迷いないジャンピング土下座をした。


リリーシスは今世で初、土下座を見た。


額を床に擦り付け、むしろめり込むかの如くべったりと蛙のように潰れている。


それはそれは立派な土下座であったのだが、それはさておき…。




「とにかく、顔を上げてください。これでは話もできません」


リリーシスの涙は驚きで引っ込んだようで、

名残で潤んだ大きな瞳が男を逃さぬと射止める。



「こちらに来て仮面を外してください」


冷静さを取り戻したリリーシスは、真実が少しづつ形を成し始めるのを感じながらも男を促す。


男は観念したのだろう。

ゆらりと力なく立ち上がり、

リリーシスの手の伸ばしやすいところに仮面のついた顔を差し出す。


微かに震える指先に、キラキラと薄明りを反射する仮面が触れる。


パンドラの箱を開けてしまうかのような心持ちだが、リリーシスももう箱の中を見ないまま、有耶無耶にする事など、出来るはずもなかった。


そっと仮面に触れ、外す…。

仮面の下にはリリーシスがよく見知った顔があった。

リリーシスはその存在のひとつひとつを確かめるように、目や頬や口を撫でるように、触れる。


瞳の色も髪の色も声も違う。

でも姿形はその全てが、夫のガロンだった。

短くてすみません。

このまま続けると長くなりすぎるかと思いまして…次に続きます。

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