6.お試しと追憶
読んでもらえている、とPV数にそわそわしています
(なろうさんの素敵なシステムで即時反映で見れる)
ブクマいただいた奇特な方に感謝です。
読んでもらえることが思った以上にモチベーションアップに繋がるんですね!
リリーシス視点に戻って夜会の続きです。
お忘れの方は2.夜会にて、と3.夜会にて2で復習をおすすめします。
リリーシスは決めた。
好みの男でなくとも、経験は大事だ。
『初めてでもあるまいし、愛人お試しの初めてにこだわる必要はないわ。
数打ちゃ当たる戦法よ。
千本ノックとは言わないけど打たなきゃ始まらない。
合わなければ今日だけの関係でいいじゃないの』
…と、怖気づきそうな自分を鼓舞し
「そこまで言うなら私とお試しされますか?」
と赤面に向き直る。
「い…今からか?」
「嫌ですか?先ほどお話ししていた方はどこかへ行ってしまったし、
今から相手を見繕うのは…面倒なので」
直接的な言い方になってしまったが、どうせ愛人候補だ。
取り繕う必要はないだろう。
「よ、よしこちらも覚悟の上だ(?)行こう」
こういった夜会には相性を確かめる休憩室がある。
受付で互いの合意が確かめられれば借りられて、鍵がかかるし部屋は手狭だが防音もばっちりである。
広いベッドに間接照明だけの薄暗い室内は、気持ちの高まった者同士には充分だ。
室内に入ると、ドアを閉め鍵を閉める時間すら惜しいほど性急に男はリリーシスを搔き抱いた。
子育てに忙しく、そういえば夫とは抱擁すらしていなかった事が思い出された。
抱擁くらいいつでもできるだろうから子育てに忙しいは完全に言い訳なのだが…。
こんなに、欲情であっても、熱く強く抱きしめられるのはいつぶりだろう。
夫は冷たいわけではない。
言葉少なに、私に微笑むこともある。
でも私はもう、子の母親であり家族であって、夫の最愛ではないのだろう。
この男の情熱的な抱擁でそれに気付かされてしまい、
より過去の自分が虚しくなってしまった。
別にセックスだけがしたいわけではないのだ。
もちろん性欲はある。
でも、そういうことではない。
ただ温もりを。
愛されている確証が欲しかった。
言葉が少なくても、情熱的な言葉がなくてもそれさえあれば
『自分は愛されているのだ』
と思えた。
でも今はそんな自信もない。
男はそっとリリーシスをベッドへ運ぶと、
その巨体にそぐわぬ繊細な手つきで、壊れ物を扱うように優しく横たえる。
柔らかいベッドがのしかかる男の重みで深く沈んだが、リリーシスには一切の重みを感じさせないという男の気遣いが感じられた。
そして先ほどの欲を感じさせる抱擁が、噓のような優しい触れるだけのキスをした。
『ああ、かつての彼もそうだった』
当時、彼の言葉や態度の端々に女慣れしていないのが察せられた。
手を繋ぐ時も、大きな、剣ダコでごつごつとした手に力が入ることなく、私の方がぎゅっと握った。
彼はほんの少し指を曲げて手を丸めただけで、私が力を抜けばするりと手は離れていただろう。
初めてキスをしたとき、
ガロンの指先は震えていたし、顔は真っ赤で体には緊張からか、硬直と表現していい程力が入っていた。
その無骨な彼が、羽のように優しいキスを体を強張らせするものだから
自分も初めてで緊張していたのに、ふっと吹き出して笑ってしまった。
ああそうか。
誰でもいいのではなかった。
私のこの気持ちは、ただの性欲や肉欲ではなかった。
ただ愛する人に愛し愛されたかったのだと。
愛されているという確信が持てない中、聖母のように一方的に愛し続けることに疲れてしまったのだと。
だから愛人などという存在に逃げようとしてしまった。
そんなもので満たされるはずないのに。
男の優しいキスと胸に残る追憶に頭が回るより先に、リリーシスの目から大粒の涙がとめどなく流れた。
もし続きが見たいなって思ってくださったら、私のモチベの為に甘めの評価とかいただけたら筆が進みます。
→これまでの流れ、ちょっと整理しておきますね!
▼本編(妻視点)の順番
1. はじまり
2. 夜会にて
3. 夜会にて2
6.(←今読んでくれてるのがここ)
▼ガロン視点の裏側(本編の間に何があったのか)
4. ある男の話(ガロン視点)
https://ncode.syosetu.com/N2102KT/4/
5. ある男の話2(ガロン視点)
https://ncode.syosetu.com/N2102KT/5/
4と5は、夫・ガロン視点 ガロンはガロンでがんばって(?)います。
気になる方は、ぜひ読んでみてください。




