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え、でリズムを刻む

作者: 月夜佳

私は、サラリーマンをしている。

社内では、目立たず、しかし侮られないよう仕事をこなしている。

あまり表情を変えず、淡々と仕事をしている。


プレゼンの時、えー、と言って話し出し、文節ごとにえー、が入る同僚がいた。えー、え、えっ、この種類でリズムを取り話を進めていく。正直にいうと、はじめにえー、を聞いただけで不快で、話を聞く気がなくなる。

強い断定をしてしまっているが、話が長い人にこのクセが多いので、逃げたくなるのである。


ある日、トップメッセージが社内掲示板に流れて来た。

会議の際に本店で発言されたものを、AIが書き起こして、総務課が掲載したらしい。上司は、読んでおくようにな、と宣った。

ああ、読みますかね。社長のお言葉ですね。と掲載箇所のリンクから飛んでみた。

時候の挨拶からはじまるビジネスマンの定型のお言葉が掲載されている。

やるな、AI。書き起こし任せられるなあ。


えー、がはじまった。

AIなので容赦なく、えー、えー、えー、と書き起こしている。

皆様、えーお集まりいただきまして、えー、ありがとうございます。え、業績もえ、このたびえー、右肩上がりとえ、なりまして、えー、これもえー、皆様のえ努力のえー、賜物であります。

ここまで読んだら、限界だった。

ウケる。笑いの発作が抑えられない。

画面から顔を背けて、やり過ごす。

近頃、海外に住み始めました→近頃、貝が胃に住み始めました。の変換ミスを目にした時以来のウケである。


大爆笑しては、いつもの淡々が台無しだ。

これ以上、社長のお言葉を読むことが出来なくなってしまった。

総務課ー、人間が書き起こしてくれよ。

読んだテイで、パソコンを閉じる。


1ヶ月後、えー、抜きの社長のお言葉が総務課の人間によって、掲載された。

やっと拝読出来ました。社長。

リズムは大事ですよね。社長もAIの書き起こしを読んでくれた事を願っております。自覚してください。




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― 新着の感想 ―
AIの書き起こしですが滑舌悪い人の書き起こしもなぜそうなる感あります。えーとかあーを連発するより修正が辛いです。
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