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セカンドライフはゆっくりと  作者:
第一章 異世界生活のはじまり
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マコト大地に立つ


 

 草原に光の柱が降り注ぎ一人の少年が姿を現す。白く輝くプラチナブロンドに青い瞳と透明感のある肌、幼さ全開の表情は希望に満ちているが、光りの柱に驚き逃げて行く多くの魔物の数に驚きながらも、どこまでも続く草原と頬を撫でる風、草木の香りを感じながら口を開く。


「ここから僕の新生活がはじまる! 頑張って楽しむぞ! ステータスウィンド!」


 片手を上げて叫ぶ少年の前に半透明なプレートが浮かび上がる。


 マコト 十歳 ハイヒューマン

 神々から愛される転生者 幼き超越者 


 ステータスプレートに乗っている文字に苦笑いを浮かべつつも項目からストレージを選び、指でタップして目的のものを選択する。


「結界、結界、あった。えっと、結界杖の使い方は地面に刺すだけだよね」


 目的の結界杖選び使い方を確認するとストレージから取り出し、目の前に現れた一メートルほどの先のとがった杖の上部には白く輝く宝石のような魔石が輝いている。それを掴むと地面に刺してグイグイと力を入れ、魔石に手を置き魔力を流す。


「おお、力が吸われる感じがする……もう大丈夫かな、結界発動!」


 白い魔石を中心に透明な膜が広がり体を突き抜ける感覚に一瞬驚くも、広がって行くそれを見つめ当初の目的を終え安心感を覚えるマコト。


「第一歩は成功だな。あとは、家の設置にお供の選択だな。家を設置する前に地面を均して固めないとだな」


 膝ほどの高さのある雑草をかき分け地面に手を置き集中して手の平から魔力を流す。十秒ほどそれを続けているとポコリポコリとキノコが現れ、五十センチ程の背丈のあるキノコの軸には手足があるのか片手を上げマコトのまわりに集まる。


「君たちは土の精霊さんですか?」


 マコトの言葉にコクコクと頭を下げる土の精霊たち。頭部は椎茸のような形に赤く丸い模様があり食用ではないだろうなと思いながらも口を開く。


「この辺りの草を一か所に集めて、このぐらいの高さに地面を固めてもらえませんか? ご褒美に魔力を凝縮したこれを差し上げますのでお願いします」


 片手に神経を集中させ魔力を球状に固めるマコト。野球ボールほどの白い魔力の塊りにキノコ型の土の精霊たちはコクコクと頷くと作業を開始する。五匹現れたキノコたちはクロールで泳ぐように地面を進み草を抜き続け、次第に最初に現れたキノコより小さく半分ほどのサイズのキノコも数匹加わり抜いた草を一ヵ所に集める。

 マコトはそれを見ながらあっという間に終わるだろうと思いながらも、ステータスウィンドを開きお供を選ぼうと召喚項目をタップし口をあんぐりと開ける。


「何で一ページ目が母さんなんだよ……」


 あんぐりと開けた口から出た言葉通りに、画面には神聖なオーラを纏い美しい女性の絵には創造神ルミナスと表示されている。




 創造神ルミナス LRレジェンドレア

 この星の誕生から終わりまでを見つめる女神。すべてを創造し、すべてを終わらせる力を持つ。

 「お母さんを召喚すればいいと思うの。だってお母さんは神だもの」

 必要魔力量 100MP




「百の魔力量で召喚できるかもしれないけど、天使長から泣きつかれる案件だよね……」


 泣きながら作業が滞っている天使長を思い出し苦笑いを浮かべ次のページへスワイプする。が、次のページにも神の姿があり顔を引き攣らせるマコト。




 魔法神サクリーン LR

 この星に魔法をもたらした存在。魔法を極め、魔法を愛し、魔法に愛された魔法馬鹿。

 「私に不可能はない。マコトよ、すぐに呼び出すがいい」

  必要魔力量 100MP


 闘神ナックル LR

 戦闘と愛と呼ぶ変態。どんな武器も使いこなす天武の才を持ち、一人でマンの敵を撃ち滅ぼした実績もあるが中身が残念な神。

 「マコトにピッタリの半ズボンを作ったの! ハァハァハァハァ」

 必要魔力量 5MP


 鍛冶の神ファイス LR

 ドワーフに知識を与えている神。鉄と向き合い鉄の声を聴く鍛冶職人。伝説級の武器や武具を天界で作り続けている。

 「ワシは忙しいから呼ぶな」

 必要魔力量 100000 MP




「そうそうたる顔ぶれが召喚できそうだけど……でも、これじゃダメだよな。僕は自分の力で開拓して楽しい生活を手に入れると誓ったんだ! よし、やるぞっ!」


 やる気を新たに召喚項目から視線を変えキノコたちが草むしりをする中に入りマコトも草むしりを開始する。キノコたちは上半身? を地面から半分ほど出しクロールするように草を毟りそのスピードは圧巻で、小さなキノコは落ちた草を一ヵ所に集める。

 なかには綺麗な花を咲かせている草もあり、それが目に留まったマコトは手に取り「収納」と力る言葉を口にすると手にしていた花はスッと消え勝手にステータスウィンドが開き収納した花が現れる。


 スズナリの花

 平野部に多く咲く一年草 魔力を多く含むことで魔物に進化することがある。花は錬金素材、葉や茎は茹でて食べられる。


「へぇ~食べられる草もあるのか。折角だから他の草も収納しておくかな」


 山積みになっている抜かれた草へと足を向け手を翳し収納していると、辺りに草はなくなり剥き出しの地面になった一角でキノコたちは大小集まり手を上げてクルクルと回ってダンスのような動きをし、思わず目を奪われるマコト。


「あははは、可愛いダンスだね」


 キノコたちの愛嬌のあるダンスに喜んでいると剥き出しの地面が盛り上がりマコトのお願いしていた要望を叶えるように固まっているのか綺麗な真四角へと盛り上がった土が変化す。


「おお、ただの踊りじゃなく魔法? 凄いな」


 草の収納を終えたマコトは踊り終えたキノコたちの元へと向かい基礎を確認し、石並みに硬く圧縮された土に驚きながらもすぐにお礼を口にする。


「みんなありがとう! これなら家を置いても大丈夫そうだ!」


 マコトの言葉にキノコたちはその場で小さく跳ねながら両手を上げ、手に魔力を集中させ白い魔力の塊りを作り出すと一斉にマコトの元へと向かうキノコたち。


「わわわ、順番! 順番に並んで!」


 キノコたちに取り囲まれながらも魔力の塊りを一匹ずつ渡し、渡されたキノコはそれを受け取ると軸の部分に触れさせ体内に収めフルフルと体を震わせる。

 大きなキノコにはあまり変化がなかったが小さなキノコはニョキニョキとその場で大きさが増し、大きなキノコと遜色のないサイズへと急成長しマコトは驚きの声を上げる。


「一気に大きくなった!? 精霊は環境や魔力の影響を受けて育つと教わったけど見た目も少し変わったね」


 キノコの傘の部分には赤い斑点があったが、マコトが贈った魔力球が白かった影響なのだろうか白い斑点が増えている。


「よし! これから家を出すからみんなは少し離れてて」


 キノコたちに声を掛けるとマコトの後ろへと駆け出し、ステータスウィンドを開きアイテム欄から用意していた家をタップする。半透明な家が現れ片手で翳しながら置き場所を真剣な瞳で見つめ調整し、空間に固定して最後に設置をタップすると二階建ての家が登場し満足気に見つめるマコト。キノコたちは突然現れた家に驚きよりも楽しさが勝ったのか先ほどのように両手を上げて踊り出している。


 外壁は木材を使いシンプルな作りの家だが煙突やバルコニーなどもあり、天界で建築の神と話し合いマコトが作り上げた拘りの詰まった一軒家である。


「ふぅ、最初はどうなるかと思ったけど上手く行ったかな。なかに入って確認もしないとかな」


 玄関に向かい足を進めるマコトはこれからの生活に期待しながら玄関の扉を開けるのであった。







 もしよければブックマークに評価やいいねも、宜しくお願いします。

 

 誤字報告ありがとうございます。本当に助かります。


 お読み頂きありがとうございます。


 

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