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十、『傾城の恋』

 わたしは、筆を執らなくなった。何かの感情が途切れてしまったようだ。いま思えば、結末をつけられない気持ちがあったのかも知れない。


 わたしは、毎日をぼんやり過ごすことが多くなった。訳もなく長安の城内を歩き回った。目的は何もない。


 節度使の反乱は、やはり噂話だったようだ。兵士の様子に、取り立てた変化はなかった。街は少しずつ新年の浮かれ気分に馴れ、落ち着きを取り戻しはじめた。


 わたしは、そのなかにあっても変わることはなかった。わたしは、わたし自身を過去と自分の世界とに置いてきてしまった。責められるべきは、わたしなのだ。世間を冷笑することで、わたしはその事実から逃げてきたのだ。わたしは、どの時間、どの場所にも、属することの出来ない孤独な人間へと、自らを育てていた。


 わたしは事実を確かめることで日々を過ごした。数日すると、もうあの男には会うことはできない、とわたしは思っていた。

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