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似た者同士

 「あまり体を動かさなくて良い」 とわたしは言った。

 「閨房術の書物のなかでは、いろいろな技術が紹介されているが、あれは結局のところ、性的な満足をたやすく得るための手段に過ぎないのだ。今のわたしは、必ずしも多くそれを望まない。構わないか?」


 呂氏は応えた。わたし達は、すでに過去に何度もさんざんお互いを舐め合った後だった。男の冷笑が、腹の奥を通じて伝った。


 呂氏は、わたしの身体の上に覆い被さって、手を取りながら、ゆっくりと話でもするように、足を動かした。


 本当ならば、わたし達は言葉で交話をするべきなのだ。それだけで、わたし達は分かり合い、互いを認め、横に並んで側を行くことさえできたのだろう。今のわたし達の姿勢は、関係性の象徴なのだ。向かい合ってはいても、相手の背後の蔭にある事実を見ようとはしない。わたし達は、繰り返されてきた経験から事実に対して臆病なのだ。事実はそれを拒絶しようとも、事実として存在し続ける。事実を認めるのが、遅くなるだけ苦しむことになるのは分かっているのに、怖気づいてしまうのだ。


 安史の乱以後、朝廷での胡人に対する風当たりが厳しくなったのは、当然のことだ。わたしの父が、公人としての地位を守るために、胡人の母とわたしを見棄てたのは、理解できる。それでも、わたしの感情は、父を釈していなかったのだ。哀れな人生の結末を迎えるべきだと、心のどこかで思っていた。そうでなければ、わたしは世界を嫌いにならなければならないからだ。


 おそらく呂氏の境遇は、少なからず似たようなものなのだ。誰かというよりも、自分をこのような境遇に追いやった世間というものに、言いようのない憎しみを感じているのだが、一方でそれを認めたくない。自分でも気が付かないうちに、嫌な感情を隠そうとする習慣ができて、人生を正しくない方向へと歩んでしまう。わたし達は、中途半端に道徳的で、感傷的な人間なのだ。そのような性格の人物に許される態度とは、傍観と皮肉だけだ。


 わたし達は、嫌味な似た者同士の存在だった。それゆえに慰め合い、惹かれ合ったのだろう。しかし、そのような未熟な人間が、関係性を真っ直ぐに進めることなどできはしない。


 わたしが気が付くと、何度も身体を震わせていた。じっとりとした汗が、衣服に染み込んで、冷たく感じられるほどに、交情は長く続いていた。それでも、わたしは相手を深く求めることは、決して言わなかった。

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