真実有らざる世界の存在証明
大変お久しぶりですね。
読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです
突然王に送り出される勇者のようなことを言われてしまった。その衝撃は二週間ほど前に、この世界に飛び込んできてしまった時と同様、いや、それ以上の衝撃を以って少年の脳みその処理能力を奪い取る。
「あら、皆さま突然固まってしまわれて…如何されましたか?」
「いやいやいや。どうも何も…話が急で…」
「…でも…違和感はありました。私が初めて夜並木高校に来た時に校長先生が言ったんです。」
『この本はこの異界でのみ効果を発動します。現実でできることは「登校」だけであるということをお忘れなく』
「って。でも、君が異変に気が付いてこっちの世界に来た時…」
少年を指さしてありすはいった。
「そうだ。そうだよ。君がこっちに来た日…けがが治ったって…!」
「そうです。全世界が校長先生の異界で包まれたなら…。そして全世界に広がった異界に抵抗するために多くの神々が目覚めたのだとしたら。」
「全部のつじつまが合う。」
「だったら…やらなければならないですよね。」
「そう…だね。」
結衣と二人で頷きあって手に持った本をすっと差し込む。
二つの本がしっかりと差し込まれると、本がゆっくりと輝きを持ち始める。
「お二人とも、手を前に出していただけますか?」
そう聲に言われて手を差し出せば、手の中に光に包まれた一冊の本が現れた。
ゆっくりと光が収まってみれば、それは金色の装飾に縁どられた『Der Gevatter Tod(死神の名付け親)』と『The Boy and the North Wind(北風のくれたテーブルかけ)』だった。
「ありがとうございます。彼が奪い取った本はこれですべてですね。お二人にお渡ししたのは彼を打ち倒すための本です。」
「えっと、なんか金ぴかになった以外変わってないよ?」
「ええ。基本にほとんど違いはありません。ですが、彼が自身に危害を加えられないようにしていた多くの物をなくしました。此れであなたたちでも彼に立ち向かうことができるでしょう。」
「むぅ、もう誰も信用できない…から。信じれるのは自分たちだけ、だよね。」
「はい。正しいことを正しいと想う私たち自身を信じましょう。」
二人と目が合う。
少年は、ただ一つ頷いた。彼らはそれだけで良かった。
「行きましょうか。」
「うん、いこ。ありがとね。教えてくれてさ。」
「そう言えば貴女は誰だったんです?」
空から聞こえてくる声に問う。
「そうですね…。と、この口調も疲れてしまいました。そう、ひとついうなら。この世界を元に戻して。神に従属されるのも好かないの。」
「それ!まさか!」
「またね。次はおわったあと。」
書庫は光に包まれる。そして視界は奪われ…。
気づけばまた書店街に倒れていた。
「いたたた…。まったく、最近は床に転がされることが多いなぁ。」
「まぁまぁ、いつも机で寝てるんですしあんまり変わらないでしょ?結衣は」
「ありすがひどい言い草なんだけど!?」
そう言われても日頃の行いと言わざるを得ない。
何だか不満げな結衣と共に『登校』を祈ろうとして、手が止まる。
そう。帰る場所は今まで通りの高校ではない。それは敵の本拠地。
「大丈夫ですよ。未だ気付いたことはバレていません。」
「でも…。」
「休まないと、動けるものも動けませんし…。最後の休息をとりましょう。」
「わかった。」
正真正銘、あの高校を安全地帯にできる最後の機会だろう。
『登校』を祈れば無事高校にはついた。どうやら本のあり方を歪めたわけではないらしい。
気は休まらないながらも、ゆっくりと眠りにつく。
ふと、夢を見た。
蝋燭ばかりの部屋にいる一人の不気味な男の夢だった。
その男は、少年に何かを話かけているようだが、異国の言葉のようで聞き取れない。
だが、一番奥に輝く、太い大火を灯した蝋燭を指さして何かを言っているようだ。
言葉は通じないが、それは何か励ましの言葉のように聞こえた。
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