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怪奇の夜明け  作者: 望月響
不思議な旅は終わり無く
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解放の国のアリス

読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!

「えっと状況はわかりませんけどお手伝いしに来ました!」


少年たちはぎょっとする。どう考えても敵みたいなやつが後ろからやってきてしまった。

 

「ありす!?ちょ!邪魔しに来たの!?」

 

攻撃の手を休めず結衣は問いかける。

 

「いえ…えっと…二人が戦ってたので…邪魔でした?」

「いや、そういうことじゃないんだけど…とりま私たちの援護に来たってことでいいの?」

「ええ。それ以外にありますか…?」

 

どうやら、理由はわからないがありすは洗脳から解放されたようだ。

ありすは片手に本をもう一度握りなおす。この話を知らなくとも口は勝手に物語を口ずさむ。それはきっとありすの物語なのだから

 

『とある少女は夢の中で神様の声を聴きました。神様は「彼らを救うのだ」とだけ告げて消えてしまいます。それでも、ただの少女だった彼女は一人立ち上がりました。絶望に包まれた世界を救うため、彼女の言葉を信じた52人の仲間とともに』

 

あたりは眩い光に包まれる。その光は太陽の上らなくなったこの異界ばかりの世界で太陽のように眩く輝いた。暖かく、邪神を寄せ付けないその光は邪神の動きをぴたりと止めた。

光が収まれば化け物はまた一歩を踏み出す。だが、その動きはぴたりと止まってしまう。それは、攻撃をしていた少年たちも同様だった。

 

ザッ。と音がする。


懐かしい音だった。だがそれは以前のように地面で鳴った音ではない。一斉に靴のかかとを合わせたそれだ。音につられて、少年たちの背筋も自然と伸びる。

 

「皆さん。やりましょう。」

 

命令をするのはK(キング)でもQ(クイーン)でもない。ありす。その人だ。

ありすの一言とともに少年たちも含め一斉に邪神に向け突撃を敢行する。

あと少し。あと少し時間を稼げれば少女がきっと何とかしてくれると信じて。


少女は呪文を唱え続ける。彼ら3人が束になったとてあれに勝つ未来はないだろう。消耗戦になった時点で負けだ。あと少し。支配から解放してもらったのだ。そして彼らを導くと約束した。

異形である少女はどこへいようと腫れもの扱いだ。どんな術者に召喚されようとも、化け物があまり歓迎されるわけもない。だが、彼等は少女を恐れずそして頼ってくれている。約束を破る道理など何処に在ろうか。あと少し。必死で唱える。


少年たちは変わらず足止めに努める。数の暴力でなんとかこの化け物をここにとどめられてはいるものの、このままでは持たない。身体強化がもう一度かかることもなく、なかなかにつらい状況になってきてしまった。何より、身体強化が切れたせいでスタミナ不足も深刻だ。全力で刀を振り、攻撃を回避する。もはや全力で走り続けているにも等しいこれをすでに2分ほど続けている。

 

何度殴れども、もうダメージは入らない。あとどれだけ稼げばこのものを退散させられるのか。その瞬間。刀が弾かれる。

まずい。思考を戦い以外に寄せすぎた。固い骨があるようなところを斬ろうとしてしまったらしい。

フルスイングの攻撃が弾かれたことによって体勢が大きく崩れる。化け物は幾人の敵と戦っていようとも、無数の目がある。なれば、その大きな隙を見逃すはずもなかった。

少年の上から化け物の象の如き足が振り下ろされる。回避などもはや間に合うはずもなかった。しばらく続いた自身の旅もこれまで。だが、ありすと結衣が無事にこの異界から抜け出せればそれでいいだろう。

ピタッと化け物の動きが止まる。それは少年に振り下ろされようとしていた足も同様だった。そしてその瞬間。戦っていた少年たちの足元に光が走り始める。

 

「離れて!」

 

後ろから少女の声が響いた。ありすは本を閉じ、結衣は攻撃をやめ、少年はどうにか体勢を立て直し後方へと退く。

 

幾筋もの光は地面を走り続ける。何本も、何本も。そしていつしかその光は文様になっていく。

あるものは文字のように。あるものは円のように。その文様一つ一つが描かれるたびに化け物は激しく暴れる。まるで何かに抵抗するようだ。

 

『魔法陣』。地面に描かれたその文様は、そう形容するのが正しいのかもしれない。十数秒かけて描き出された文様はやがて完成を迎えたかのように鈍く光を放つ。

 

「退散の呪文は成った。あなたの在るべき場所へと還りなさい。」

読んでくださりありがとうございました!

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