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怪奇の夜明け  作者: 望月響
旅の始まりはいつも家の前から。
4/50

異界への一歩

 少なくとも日本は異界に飲み込まれてしまったようだ。どの有名SNSにも投稿はなく、直近の投稿の数は平均を大幅に下回っている。たぶんここの関係者の人間しか投稿できていないのだろう。不思議なことに現実世界のシステムは今のところ機能しているようだ。少なくとも電力がなければサーバーは落ちているだろうし、そもそも朝起きたときに電気はつけられなかったはずだ。だが困った。システムは“今のところ“動いているに過ぎない可能性がある。日がたって発電所の機能が止まればそれこそ困ったことになるかもしれない。状況確認のためにも、ここは動くしかないか。

 

少年は長考を終える。ほぼ同じタイミングで二人とも目が合う。互いに自分たちの考えたことを話し、相談する。校長の仕事を手伝うのか。ここに残るのか。手伝うならいつから行くのか、どうやって手伝うのか。

 

「どうやって手伝うかといっても校長先生に聞かないとわかりませんし…」

「まぁ。ありすも君もぼーっと待ってるだけなのは嫌っぽいし?とりあえず聞くだけ聞きに行ってみない?」

 

ありすがうなずいたのを見て少年もうなずく。


校長室につき、ノックをする。

 

「はい。どうぞ」

「「「失礼します。」」」

「おや。あなた方も手伝ってくれるのですか?」

「いいえ。まだ決めてはいませんが具体的に何をするのかお話を聞いてから決めようかと思ってまいりました。」


 校長は意外そうな顔をする。血気盛んな人たちは放送が終わった途端に飛び込んできてやりたいといったらしい。

 

「ちゃんと相談してから来たのはあなた方が初めてですね。いいでしょう。お掛けになってください。説明しましょう」

 

校長が説明したことを要約すると、外を回っておかしな場所があったら校長に報告すること。中には入らないこと。何か異常なものがいたら能力を用いてでも逃げること。ということらしい。

 

「まぁ、異常なものなどいないとは思いますがこの状況では油断はできません。一応の注意というやつですね。」

「なるほど。ありがとうございました。少し相談してからまた来ますね。」

「はい。ゆっくりと考えてください。」


校長室を出たところで顔を突き合わせ相談を始める。


「どうします?やりますか?」

「戦闘とかしろって言われてるわけでもないしいいんじゃないかなぁ・・・?」

「私は行きたいと思います。」

「ん~ありすが行くなら私も。君はどうする?」

 

二人と目が合う。こうなったら行くしかない。少し悩んでからうなずく。

 

「よし。決まりですね」


もう一度校長室をノックし入室する。

 

「決まりましたかね?」

「はい。私たちも行こうと思います。」

「そうですか。仕事を手伝ってくれるのは大変ありがたいです。ですが危険に巻き込まれたときに死なれては私も監督責任が問われるというもの。こちらをお持ちください。」

 

渡されたのは2センチ四方ほどの四角い塊だ。

 

「それは、まぁ…本を持つ人が使える護身用具みたいなものです。別に大したものではありませんがもしかしたら困ったときには役に立つかもしれません。緊急事態があればその本にかざしてください。その時に必要なものに代わるはずです。」

「なるほど…?ありがとうございます。それで…私たちはどこを調べればいいんですかね?」

「ふむ。そうですね…今は、この異界からどこへでも出られるようにしているので何とも言えませんが…皆様の家の近くをお願いしてもよろしいですか?」

「了解しました!ちなみにどうやって目的の場所に?」

「そうでした。いつもは、入った場所にしか行けないようにしてあるんでした。さっきも説明し忘れたんですよね…。目的の場所に行くには校門で住所を告げてください。それで目的の場所に出ることができます。」

「なるほど…了解です!それでは、失礼します!」

「あぁ。最後に一つだけ。犯罪だけはやめてください。窃盗とか。銀行の金庫への侵入とか。皆様に渡したそれは探知機も兼ねていますからやったらわかりますからね。」

「もちろん。そんなことはしないと約束します!そして今度こそ失礼します!」

「いい返事です。くれぐれもお気をつけて。」

 「「「はい!」」」


 三人は校長室を出て不安と興奮が入り混じった顔で荷物を置いてきた教室に戻る。

 

「こんな物語みたいなことがあるんですね!」

「ありすはいつも楽しそうだよねぇ...」

「そういう結衣も人のこと言えないくらい顔に出てるよ?」

「えぇ…まじぃ?ちょっと恥ずかしい…。でもまぁ楽しみなのはほんとだよ。」

 

ちょっと不思議な遠足のような気持ちで準備をする。準備といっても、リュックの中身を出して箱をしまうくらいのものだ。モバイルバッテリーとその他もろもろは入れたままに。お菓子は少々。そんなこんなで準備は成った。

「準備はいいですか?私はOKです!」

「わたしもおけ~。」


自分も大丈夫だと伝えればこれで全員の準備は完了だ。階段を降り校門の前に立つ。


「じゃあ。いきましょうか!」

「ん。いこ~!」

「って…まずはどこから行きましょうか」

「そりゃぁ…どうしよっか。じゃあ、新人君のとこからにする?」

「ん。いい案ですね。あなたのことを知るいい機会になりそうです!」

 

自分もこの人たちに溶け込むいい機会かもしれないと同意する。

 

「よし!決まりです!いきましょ~」

「ほんっと…元気だよねぇ…ありすは…」

 

そう言う結衣に頷きながら、少年は住所を二人に教え、皆で校門に告げる。そして一歩を踏み出した。

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