功を急けば喰らわれん
読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!
行こうとは言ったもののまずは敵を知りたい。窓を見つめていた少女と初めて向き合ってみれば、まず感想として出てきたのは“割とちっちゃい“だ。結衣やありす、凜、自分も含め身長がさして高いわけではないが、それと比較しても小さい。小学生か、最大限譲歩して中学生くらいというのが妥当だろう。
「で、さ。手伝うのはいいけどこの中にいるやつってどんな奴なわけ?」
「中にいるのは“星の精“。透明な化け物。」
「透明なんですの?ではどうやって倒すのかしら?」
「あなた。あなたの能力があれば見えるよ。」
少女はすっと指を立てゆっくりと凜を指す。
「わたくし?」
「そう。わたししってる。みんなの力を上げられる。それがあれば見えるよ。」
「…はぁ。何で本のこと知ってるのかは意味不明だけど、倒さないとありすのところ連れて行ってくれないんでしょ?」
「うん。それが条件。」
「やっぱそうだよねぇ…」
敵の正体はわかったが攻撃法は不明だ。食らってはならない攻撃があるのか聞いてみる。
「捕まるような攻撃は絶対にだめ。取り込まれたら体の全部を一瞬でとかされちゃう。」
「やっばぁ…今まででぶっちぎりでやばいじゃん。」
「知ってることならなんでも答えるよ。他は大丈夫?」
「う~ん。多分?」
「そんな適当でよろしいのですか?」
「もうあんまり準備できることもないしね。行くよ。」
「せっかちですわね…」
三人の精神と集中力は既に極限まで引き上げられている。部屋の前に立ち、本を手に取る。
『新しい月のランプがその光を土地じゅうにそそぎ、寝室や居間が光でいっぱいになると老いも若きもみんな喜びました。』
『北風は言いました。「困ったな。では杖をやろう。」』
最後に少年が本に金の箱をかざし大太刀をその手に握れば準備は完了だ。
「いってらっしゃい。」
「裏切ったら許さないから。」
「ちゃんと守るよ。」
「行きますわよ!」
ドアを勢いよく開け放つ。
その瞬間に大量の触手が先頭に立つ少年に向けて一気に伸ばされる。しかし、目にもとまらぬ速さであるはずのその触手はいとも簡単にとなりの結衣に叩き落とされる。
叩き落としによって一瞬空間ができたのを見計らい少年は地面にたたきつけられているイソギンチャクのような、なんだが気持ちの悪い半透明のゲル状物体に向けて斬りかかる。
しかし、ある程度の速度と威力をもって斬りかかったはずが、少し切れ込みが入ったか?程度の威力でしかない。攻撃後の硬直を見計らったかの如きタイミングで鉤爪付きの触手が飛んでくる。
身体強化がなければ躱せないタイミングだがそこは『月』の力。一瞬体勢を立て直せる瞬間があれば、回避できる。だが、ダメージがなさすぎる。刀でこれなら結衣の打撃などさほどのダメージにもなっていないだろう。
「ちぃっ!!」
やはり何の手ごたえも感じていないのか結衣がくやしそうな舌打ちをしている。
幾本もの触手を搔い潜り、敵本体に突っ込んでみる。近づけばその気持ちの悪い本体がよく見えてしまう。ちょうど蟲の繭のような形に、ストローのような口に大量の歯が生えたようなものが無数に生えている。顔はない、もちろん目もない。
“不気味”と評するのがもっとも適切だろう。不可視の敵が見えようとも攻略法は見いだせず、地味に攻撃を与え続けているがどれも何か効果を与えるほどには至っていない。
もちろんヘルメス・トリスメギストスの毒塵はないし本の効果は今使われているので打ち止めだ。もはやこのまま地獄の消耗戦を続けるしかない。身体能力の強化にはどうやら、スタミナ回復が早くなる効果もあるらしく、息切れなどはしないのが唯一の救いか。
「あ~~~っ!!!」
早くありすを助けたいが故の焦りなのだろうか。結衣が身体能力を生かし一気に突っ込み杖を振りかぶる。
「早くありすを返せ!!!」
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