燃え盛る蝋燭と供に
読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!
「ん~っ!はぁ…よし…感覚が戻って来たかも?」
「それはよかったですわね。」
たかが数分の出来事だったが、一瞬自分が自分で無くなったかのような微妙な感覚に襲われてなんとも感覚が狂う。
「わたくしの本の効果はあなた方の身体のリミッターをひと時のみ外すことと思ってくださいまし。あまり長く使うと体が壊れるかもしれなくてよ?」
「はいはい。わかってますよ~と。」
正直、あの力に慣れてしまうと普通の戦闘ができなくなる気がしてならない。だが、まぁそんなことを気にしていられるほど自分らに余裕があるわけでもないことは自分たちが一番よくわかっている。とりあえずはこの階を探索しきり、次の階へと歩みを向けた。
6階。最上階が迫ってきたと感じるが、それと景色が代わり映えするかどうかは別問題らしい。周辺の景色にはさしたる変化はなく、それどころか店すらも代わり映えしない。
「もうなんか全部見たことあるね…。」
「ええ。ほぼすべて先ほどの階で見ましたわね。」
『第一家庭電器』も『小沼電機』も先ほどから見覚えのある店だ。いくらかこの製品が物珍しいといってもさすがに幾度か見ていればだんだん飽きてくる。しかものんびり見ようにもまばらにゾンビが歩いていてそれどころではない。
少年たちにとってゾンビが敵として障害になるか否かというとちょっと考え物だが、障害にはならなくとも突如出てくる敵に警戒をしていなければ不用意に傷を受けることになる。
「あれ…これ…マッチ…?」
「どうかされましたか?結衣。」
「いや、ここにはさすがに似つかわしくないなぁって思ってさ。いくら古い建物とはいえ、さすがに中でマッチとかあかんでしょ。」
結衣の言うとおりだ。1984年次の消防法施行令なんて知る由もないが、いくら何でも建物の中でマッチは危なすぎる。
「危ないから全部へし折っとくか。」
「お待ちになってくださいまし!」
「んぇ?急にどしたん?」
「いえ…えっと…そのマッチ、わたくしにいただけませんか?」
「ん~?いいけど…え、なに凜ちゃん喫煙者?未成年喫煙はいただけないよぉ?」
「違いますわ!でも…ちょっと深い理由がありますの!」
「う~ん。まぁいっか。はいどうぞ。」
「ありがとうございます…これがあるならきっと…」
「なんか言った?」
「いえ。なんでもございませんわ。行きましょう。前でゾンビを殲滅してくれてるあの人がお待ちですわよ」
「わすれてた。ほんとにあの子は一人で何でもしちゃうねぇ…」
二人が話している間に少年は階のあちらこちらにいたゾンビの殲滅を済ませ、納刀までしている。ある程度の探索も済ませたが、どこを探せど何かいたわけもなくありすの情報の欠片すらも見つからない。もはやここにいるかどうかすらも怪しい勢いである。
「こまったな…ほんとにいるのかな。」
「でも、原因らしい異界はここだけだったのでしょう?」
「う~ん。そうなんだよ。でもこんなに全く情報がないなんて思わないじゃん。」
「わたくしたちには進むしかありませんわ。」
「そうだねぇ…退路もないしねぇ…」
階段に足をかける。その瞬間。背中にぞっとするものが走ったような気がした。慌てて柄に手をかけ振り向くが…。
「ん?どしたの?なんかいた?」
「どうかされましたの?」
何もいない。二人の疑問に緩く首を横に振り自分も少し疲れているのだと無理やり納得する。無理やり納得させたとはいえ一抹の不安を心の底に抱えたままゆっくりと階段を上っていく。後2階。上がればきっとありすがいるはずだ。自分の後ろには自分を頼りにしてくれている二人もいる。自分がここでちょっとの不安ごときで止まるわけにはいかないのだ。
人の命は燃える蝋燭の如く。きっとじわじわと減っていくものらしい。ではその命を一瞬のように燃やせるとしたら何に例えられるのだろうか。自分の『死神の名付け親』の物語を思い出しながら階段を上がっていった。
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