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怪奇の夜明け  作者: 望月響
不思議な旅は終わり無く
31/51

時の亡霊、影を踏む

読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!

本当にどうしたものか。店内に置かれていた一冊の真新しい雑誌。を見れば発行年は1984年。


 「はっ!?え、なに!?この建物本当に過去のやつなわけ!?」

 

もはや疑う余地のまったくない状況になってしまった。この異界は間違いなく過去の建物を再現している。だが全く情報のないこの状況でこれ以上進むのは危険だ。

 

「まじでぇ~?え、これどうすんの?無理じゃない?これ以上進めないよ…」

 

結衣が珍しく、弱気だ。仕方なく、一階まで戻るため階段のあるとこまで戻るが…

 

「うそ…」

 

ふさがれている。いや、正しくない。初めからなかったかのように壁になっている。上への階段は残されているが、引き返す道はない。一歩前へ。行くしかないのだ。

 

「…うん。ありすのためだもん。弱気になってちゃだめだよね…」

 

結衣も覚悟を決めなおしている。ならば。二人はさらに上へ。

上がったのは3階。

 

「ここは…えっと、家電量販店かな?」

 

屋号は先ほど見た『第一家庭電器』ともう一つ。

 

「『サトー無線』?あれ?さっき下に『サトームセン』なかったっけ?」

 

表記ゆれか、屋号が変わる前に掲げた看板なのか。真偽は不明だが両店舗とも同じビルにテナントがいくつもあるようだし、当時はかなりの力を誇っていたのではなかろうか。

これまでの店舗より格段に広い店内にはFAXやでかいパソコン。今では当たり前の太陽電池式を売り文句にしている電卓。LDプレイヤーも売っているようだ。

 

「LD…?CDの誤植かな?しかもプレイヤーだけで20万近く?御冗談を…」

 

結衣はぴんと来ていないようだが、LDはどちらかというとDVDの前身だ。サイズはレコードのようで、決して小さいとは言えなかったがそれでもしばらくは多くの人に愛された。特にここで売られているLDプレイヤーは日本の会社が制作し世界でも使用されたでおなじみのLDプレイヤーだ。近くのテレビに映し出される再生映像は、きっと当時は衝撃の画質だったのだろう。

 

少し周辺を歩いてみればたくさんの固定電話機も売られている。今では必須装備のごとくたくさん並べられているスマホケースや、低価格のイヤホンなどはない。スマホどころか携帯電話の開発すらいささか後の話だ。

 

「ほんとに過去なんだねぇ…」

 

結衣はしみじみとため息をついている。もはや普通の人では詳しく知ることもない過去の電子機器事情が目の前にあるというギャップは如何ともしがたい。

 

「ん~…でもまぁここにはありすもいないみたいだね。上いこっか。」

 

それに関しては激しく同意だ。まだここは3階。地図が正しければ7階まではまだまだあるし、何よりありすが心配で仕方ない。この物珍しい世界は見ていて飽きないが友人を放置してまで見て回るものでもない。

 

すべての売り場を一応一回りし、そのまま登って来た側の階段の反対側にある上り階段を上がる。

 4階は今まで以上に電子機器で埋め尽くされていた。特に階段を上がって背中側にあった『関東Byteショップ』はこの当時の流行らしいマイコン文化の一手を担っていたらしく先ほどの二店舗ほどではないが、なかなかの面積を一店舗で誇っている。

 

細かい部品がパーツごとに売っており、逆に完成されたPCも多いようだ。

既に完成されたマイコンの中でも多く名前を見かけるのは『日本電気グループ(今でいうNEC)』や『富士通』。今でも多く名前を見かける二社である。

自身でパーツを組み上げるマイコンは今でいう自作PCのようなものなのだろうか。今も昔も自分で物を作りたいという意欲は変わりないのかもしれない。


「いやぁ…みんな物好きなんだねぇ…」


今のサブカル文化あふれる街とは全く違う風景。結衣もだんだん楽しくなってきたみたいだ。ありすやありすを洗脳?(支配?)しているはずの敵の情報を集めようとみて回る二人だが、さしたる情報が現れない。


「ほんとにここにいるのかな…?」


少年はこちらを見ながら肩をすくめる結衣の後ろに人影があることに気が付く。結衣はため息をついたり周りの商品を手に取ったりしていて気づいていない。

少年は金の箱と本を手に取り、刀へと変える。そのまま本のみを仕舞い、まったく警戒をしていない結衣をのけて人影のほうへと。


「ちょっと?どうしたの?」


そんな声を気にせずじわじわとにじり寄る。

その角のちょうど先に何かがいるのだ。

読んでくださりありがとうございました!

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