歪み切った世界を救うため
読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!
『決して終わることのない夢を見せてあげましょう。この世界とはすべて同じ。あべこべの世界など幻想。支配される絶望と快楽を貴方達にも享受させて差し上げましょう。ほら、考える事を辞める等簡単な事でしょう?』
ありすが笑っている。目には光無く。アンバランスに口角だけが奇妙に歪んでいるといった方がいい。二人はじわじわと後ずさりする。
「ありす!!どうしちゃったの!ねぇ!!」
離れた位置から必死で問いかける結衣の声など届かぬようにありすの表情はかわらない。
そして、いささかの時間をかけて本は光りだす。
だが、いつものまぶしい本の光ではない。だが、校長の本のように神聖なる光でもない。すべてを塗りつぶすような。どす黒い闇である。
突如。ありすの本から濡れた黒いビニール袋のようにぬらぬらと不気味な色をする粘性の液体があふれ出す。
「ちょっちょっちょ!いやいや何あれ!?ありすどうしちゃったの!?ってかまずいよね!?にげよ!?」
当然少年は応じる。だが逃げる?どこに?ありすは本を持っている。高校に逃げたとて追われる以外の選択肢はないだろう。
「だけど校長先生ならきっと何とかしてくれるから!ほら行くよ!」
全力だ。出せるだけの力をすべて込め、本からあふれ出す液体に巻き込まれないよう距離を取る。そして、ありすの高校への到達を一瞬でも遅らせるために角を曲がり、視界を切った一瞬を狙って『登校』を祈る。
視界が開けた瞬間に再度走り出し、そのまま校長室に突っ込む。ノックなど礼儀を守っていては死んでしまう。
「は~~~~~っ!はぁはぁはぁ…来て…ないよね…。」
「おやおやおやおや???どうしました?突然飛び込んできて。」
「ありすが襲ってくるよ!構えて!」
「はい…??」
焦りすぎで説明が余りに足りなすぎる。少年が本に箱をかざしながら手短にあったことをまとめれば校長は落ち着き払って二人の肩をたたく。
「お二人とも。お話は分かりました。ですが、今はいったん落ち着いてください。」
「どう落ち着けと!?!?ありすが何か変になっちゃって、変な本を持って襲ってきそうだって話しましたよね!?」
「はい。ですから落ち着いてください。そうでないと話せません。今緑茶でも入れますから、いったん落ち着いてください。」
「は、はい…」
校長の説得に押されてとりあえず椅子に座るが少年も結衣も全く落ち着いていない。そわそわしまくっている。
「こちら緑茶です。どうぞ。」
校長が差し出してくれたのは洋風の校長室に似合わない湯呑二つだった。だが中の緑茶は、一口飲めば素人でもわかるほどに上等なものだった。程よくぬるい温度も合わさり心が落ち着いてくる。結衣のそわそわもいささか収まったようだ。
「ちょっとだけ落ち着いたよ。ありがと校長先生。で、なんでありすが襲ってこないってわかるの?」
「さっき君はありすさんの本の名前が変わっていたと話しましたね?」
少年は首を縦に振る。結衣も首をぶんぶん縦に振っている
「入学の際にも皆様に話した通り、あなた方の本は学生証のようなものです。皆様の現実世界での学生証でも同じだと思いますが、例えば落書きをしたり、全然違うことが書いてあったら学割なんかもうけられませんよね?それと同じで本がゆがんでしまうとこの世界にも来られなくなるのです。」
「なるほど…でもそれはそれで早く助けてあげなきゃ!」
「おそらく、ありすさんは今何らかの神に支配されている状況だと考えられます。そして異変が起こったのはちょうど皆さんが、前回の冒険に出た後と考えるとあの町に敵の首魁がいるとみて間違いありません。」
「わかった。いってきます…!」
話終わるのも待たず結衣は飛び出していく。少年もあわてて後を追い校門まで走る。ありすを取り戻すために。今度こそあの街で異界を探し出さなければ。
本を握りしめた二人はもう一度一歩を踏み出す。
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