次へと繋ぐ道
読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!
霧は次第に晴れ、視界はまともになって行く。
「おわっ…た…?」
「わかりません…。ですけど…真っ二つにしても死なないなんてことありますか…?」
「だ…だよね!よし!帰ろう!」
何故アニメの世界のキャラはああもフラグになる事を言いたがるのか、ずーっと理解できなかった。だが今その状況になって理解する。
そうであると信じたいのだ。「やったか?」や「これでもう終わる」なんでその典型例だろう。ここまでやってあの恐ろしい敵が未だ襲ってくるなど信じたくないのだ。
視界が完全に晴れればそこには“何か”の死体はなく、ただあべこべの世界が在った。
「あ〜そーだった。ここ鏡の世界じゃん」
「そうでした…完全に忘れてました…」
ありすがパタンと本を閉じれば、あたりは元の世界に戻る。あの“何か”が高校の主であったということもなく、未だ高校はここにあり結局日の動きも変わっていない。
「あれで最後…ってわけでもないよねぇ…」
「だったらよかったんですけどね…」
「みなさん!無事でしたか…!!」
慌てて教室の入り口に目を向ければそこには息を切らした校長が立っていた。
「あれ?校長先生。どしたの?そんなに息を切らして」
「ティンダロスの猟犬の鳴き声が校舎の中から聞こえて…焦ってすっ飛んできました…」
「ティンダロス?えっと…あのよくわからない犬みたいなやつのことですよね…?」
「そうです…あれは鋭角さえあれば次元も時間も超えて襲ってきます…あれの意思を消し去るためには『ヘルメス・トリスメギストスの毒塵』かあれの回復を超える攻撃での完全撃破が必要です…!」
「えっと…この子が真っ二つにしたらいなくなっちゃったんだけど、それは撃破?」
「…本当ですか!?いやいや…みなさんすごいと思っていましたが、ここまでくると恐ろしいですね。その通りです。」
息を整えた校長がウルトラ早口で説明してくれた事を纏めれば、「ティンダロスの猟犬」というのは一瞬でもそのものの姿を見たものを死ぬまで追い続ける存在で、その追跡を諦めさせない限りいつまでも追ってくるらしい。
その上、猟犬自体は非常に高い自己治癒能力を持っていて、先ほど言ったように一撃の下に斬り伏せるか、『ヘルメス・トリスメギストスの毒塵』のような特殊なものを使わなければ絶対に倒せないそうだ。
「やはりあなた方は素晴らしい才能をお持ちだ。」
「校長先生もありがとうございます。心配してきてくださったんですよね」
「えぇ…貴女方まで居なくなってしまっては、私が頼んだ人たちが皆私のせいで死んでしまうことになります…」
「いやぁ…今回ばかりは危なかったよ本当に…」
ぽっかりと脇腹に穴を開けたまま、結衣はぽりぽりと頭をかいている。
少年は慌てて本を開いて詠唱を終え、結衣の傷に触れる。完全に忘れていた人の動きだ。
「あ、ありがとぉ〜いつ頼もうかと…あはは」
「皆様本当にお疲れ様でした。これで皆様の調査は終了です。」
校長の突然の言葉に皆はきょとんとする。
「どういうことですか?」
ありすの一言に同意するが如く結衣も少年も校長に目線を向ける。
「私が頼んだのは皆様の家の近くの調査だけです。そこに何かあれば報告するという仕事で、あなた方は驚くべきことに全ての場所で異界を発見、そしてその異界の主を全て討伐しました。異界は消滅し、あなた方の仕事もおしまい。ということです。」
3分の2の主を倒したのは貴方でしょうと言う突っ込みをなんとか飲み込んだ3人はなるほどと顔を見合わせるが、皆気持ちは同じだった。代表してありすが口を開く。
「確かに仕事は一つ終わりましたが、未だ私たちに日常は戻ってきていません。よければ未だ仕事を手伝わせてはくれませんか?」
校長はひどく意外そうな顔をする。
「本当に宜しいのですか?皆様こんなに恐ろしい目に遭ってまで未だ私に協力して外に出てくれると…?」
「そのとーりっ!どうせここに居てもやる事ないしねぇ…何より早く帰りたい」
「そうです!3つだけですらそこそこ時間がかかるのに校長先生が1人で全部やったら私たちが帰るには何年かかるんですか!」
「確かにそうですが…本当に宜しいのですか?これからは更なる危険も見込まれますが…」
「ティンダロスの…猟犬だっけ?あれがここまで追ってきた時点でここも完璧に安全ってわけでもないんでしょ?なら私たちが自分から危険に飛び込んでもあんま変わんないでしょ?」
「…みなさん。本当にありがとうございます。では、皆様に引き続き調査をお願いしたいと思います。ですが本日は休んでくださいね。お疲れでしょうし。」
少年は頷く。朝起きて、準備して朝食中に戦闘に入ったとはいえ、戦闘の間は常に気を張り詰めている。普通に疲れた。
「それではみなさん。お休みになられたらいつもの校長室にお越しください。お待ちしています。」
そう言って、深く頭を下げて校長は教室を出て行く。皆合わせて深めのため息をつけば気が抜ける。
「いやぁ〜今回も解決だねぇ〜」
「ですね。じゃあ…お昼にしませんか?お腹空きました」
「え”っ!?もうそんな時間!?」
かかっている時計を見れば12時過ぎを指している。
「まじかぁ…じゃぁ…」
そう言って結衣は本を取り出した。
皆の胸の中には新たな冒険への期待が詰まっている。本は希望を讃えて時の変わらない教室の中で一際輝いているように見えた。
次への一歩を求めて。
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