ただ一瞬の安らぎと永遠の追跡者
読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!
霧がゆっくりと晴れていく。あたりの景色は地下の時とは違いほとんど変わらない。だが、半魚人が削った岩などは何事もなかったように鎮座している。
「これで終わった…んですよね…?」
「ん~たぶん?前回もこんな感じだったよ?」
「はい。皆様お疲れさまでした。この異界もこれにて解決です。」
緊張で張りつめていた緊張の糸が切れ、少年は深く息を吐く。これ以上何かあったら動けず倒れるだろう。それは二人も同じのようだ。結衣はいつもよりぐで~っとしているし、ありすもあんまりぴしっとしていない。
「では帰りましょう。本日は本当にお疲れさまでした。」
校長の一言に合わせてみな自身の本を取り出し学校へと帰る。視界は光に包まれ、目を開ければ学校だ。
三人は言葉を発することもなく、教室にのそりのそりと帰還する。おもむろに靴を脱ぎ棄て布団にもぐれば動く気力など残ろうはずもない。少年も結衣もありすも、眠りに引き込まれていく。抗う気もないし、抗おうとしてもできなかろう。
朝はやはり来ない。だが大体、皆そろって目を覚ます。いや、結衣だけはいつもありすに揺らされて起こされているのだが…。皆で準備を始める。別に今日はどこに行こうというあてはない。だがここ数日のルーティンが彼らをそう動かすのだ。
「おきてくださいよ結衣さ~ん…」
「んぇぇ?あと五分~…」
「そういっていつも起きるの20分とか掛かるんですからぁ~!」
これももはやいつもの光景だ。少年は淡々と身支度を済ませる。本と箱をポケットに。その他の物はたいてい使わないから置いていく。アリスにたたき起こされた結衣も起こしていたありすも準備に取り掛かっている。いくら異界でも、ここは、ここ単品で異界なのだ。ほかの怪物がいるということもない。ありすの鏡の世界のようなものだ。それこそ、次元を飛び越えられるアニメみたいな敵が出てこない限りは。
歯を磨き、顔を洗う。皆で昨日はいり損ねたシャワーも入る。動き回った後そのまま寝たせいでなんというか気持ち悪い。これではパフォーマンスも落ちるというもの。皆でさっとシャワーを浴び、髪も乾かしたら教室に戻り朝ご飯だ。
『北風のくれたテーブルかけ』は少年たちの士気の維持に本当に大きな役割を果たしている。士気を高めるために必要なのは安心できる味方とおいしい食事だとはよく言ったものだ。
食べていると突然背中に鳥肌が立つ。ぞわっと表現するしかない。そんな嫌な予感を感じたのだ。振り向いてみるが当然何もない。だが、ありすや結衣も感じたらしい。表情が少し硬い。食事に戻ろうとした瞬間。
ぴちょん。ぴちょん。何かが滴る音がする。
教室の“角”から。ひどいにおいがする。そして、煙が噴き出した。
逃げられない霧など問題ではない。霧を突っ切ればいいのだから。大量の蜘蛛など問題ない。切り裂けばいいのだから。
では、何処にでも追ってくる“何か”はどうすればいいのだろう。
「なんで!?捕まえたはずなのに!」
そうだ。結衣が投網でこれを確かに捕獲したはずだ。では違う個体か。答えは否。少年の刺した左目はすでに回復しているが傷跡が生傷となって見えている。“捕獲”はこの“何か”に対して全く効果がない。前回はただ傷を受けたから回復するために追ってこなかっただけなのだ。切り札たる、ヘルメス・トリスメギストスの毒塵はもうない。これが追ってきている状況で校長室へ?否。不可能だろう。先回りされてジ・エンドだ。
さればこそ。選択などあろうはずもない。三人に与えられた選択肢はこの時点でたった一つなのだ。これからを生きるために。本はある。箱もある。生きるための戦いの準備は。
出来ている。
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