湖畔に踏み出すため
「わああああああああ!ありすぅううううう!!」
「わぁ!?なんですか!?」
「こわかったよぉおおおおおおおおおおお!」
「あ、えと…お、おかえりなさい?」
「ただいま!!!」
少年はありすになでられている結衣の代わりに何があったかを話す。
「なるほど…一部聞いているだけで怖気が走りますが…。そうですか。本当にお疲れさまでした。というかあの時地下に行かなくて正解でしたね。危うくショック死するとこでした。」
なるほどと思う。あれにありすが出会ったら間違いなく気絶では済まないだろう。
「とりあえずお二人ともお疲れでしょうし、いったん寝ましょうか?」
「だねぇ…おやすみぃ…」
「私の膝の上で!?」
結衣はなぜかありすに膝枕されたまま寝てしまった。自由すぎる。
「ど、どうしましょう???」
こまった。聞かれても困る。少年が膝枕をするわけにもいかないしかといって床に転がすわけにもいかない。ありすにそのまま抱えさせておくのもそれはそれでおかしい気がする。
5分くらい悩んだ末やっと結論が思いつく。そうだ。布団を持って来よう。あまりに頭がバグったせいでこの単純な結論にたどり着くために阿保みたいに時間がかかった。というかなぜ結衣は常に机で寝ているのか。布団くらい敷けばいいものを。
そんな愚痴は一旦心の奥底にしまい、急いで二階から布団をもってきてありすの前に敷いてやる。で、どうしよう。女子をそんなほいほい少年が移動させていいものか。悩む。あとから怒られたりしたらまずい。
「怒られたら私が言いますから構いませんよ…ここで寝た方が悪いです。」
ありすがそういうならとせーので抱えて布団に寝かせる。あとは布団をかぶせて自分たちも眠るだけだ。
朝。というものはないが、とにかく眠りから覚めればまたいつもの時間が始まる。歯を磨き顔を洗い、朝ご飯を食べ校長室に向かう。今度はありすも一緒に討伐に向かうのだ。だが校長もいる。今回は心配もないだろう。
「「「失礼します」」」
「おや、今回は皆さまちゃんといらっしゃいますね。」
「はい。前回はすいませんでした…」
「いえいえ。そもそもこちらがお願いしている立場なのですからお気になさらず。それにしても皆さん生活が規則的ですね。大体同じ時間にここにいらっしゃいますし。」
「そうですかねぇ?」
「えぇ。ここにいらっしゃる皆さんもう太陽が動かなくなってかなり立ちますから時間間隔が完全に抜けてそれはそれは大変なことになってらっしゃいますよ。」
「ほえぇ…」
「さて。今回は皆様一緒でよろしいんですよね?」
「はい。蜘蛛以外なら!!」
「わかりました。では行きましょうか?」
「はい!もうみんなで準備してきました!!」
「おやおや、準備が非常によろしいですね。それでは行きましょうか。」
全員で校長室を出て、そのまま校門に向かう。やっぱり通勤中の社会人にしか見えない校長と三人の制服の高校生。はたから見たらギリ校長が不審者だ。
そんな些末な事象は置いておくとして皆であの大きな湖の住所を指定する。今度は歩かなくて済むように。皆の視界は光に包まれ、目を開ければ自然あふれる湖が目の前に広がる。だがその景色は長くは続かないのは百も承知だ。目を開け一歩を踏み出した瞬間。ゆったりとあたりは薄い霧に包まれる。
三人は校長の安心感があろうと体をこわばらせる。逃げられない恐怖というものはいつでも付きまとってくるものなのだ。もうこの戦場からはあの怪物を倒さない限り、逃げることはできない。だが歴戦の校長と、ありすもいる。これなら少なくともすぐさま負けるなどということにはならないだろう。少年も前回より強くなっている。
油断はすべきではないが緊張しすぎるものでもない。
三人は湖畔に向けてゆっくりと歩を進めるのだった。
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