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怪奇の夜明け  作者: 望月響
旅の始まりはいつも家の前から。
15/51

帰還と新たな探索

目を覚ます。何も変わらない朝だ。朝食まで取った後で校長室に向かう。


「「「失礼します」」」

 

三人とも寝起きなせいでちょっぴり元気がないのはご愛敬だ。どうぞの一言に引っ張られ三人とも入室する。

 

「おはようございます。今度も何かありましたか?」

 

ありすがあったことをまとめて話し、ヘルメス・トリスメギストスの毒塵と箱を二個使用したことも報告する。

 

「ふむ?ヘルメス・トリスメギストスの毒塵が効いたと?」


校長が怪訝そうな顔を見せる

 

「もしかしてだめでしたか…?」

 

三人ともあの犬のようなものに使用しろと渡されているものを全く別の者に使ったのだ。怒られても仕方がないと覚悟をする。

 

「よく生きて帰ってくれました。その上その者をいったん退かせるとは。いい報告を得られました。その上半魚人のようなものも幾らか倒したと?」

「はい。半魚人の方はかなりの量を撃破したかと思います。」

「なるほどなるほど。あなた方、本当に高校生ですか?何か特殊な役職に就かれていたとかありませんよね?」

「う~ん。たぶん?」

「私はありませんね。」

 

少年も首を横に振る。そんな特殊な役職に就いていた記憶など全くない。

 

「本当だとしたらあなた方はすごい逸材ですね。あなた方が対峙したというその巨大な化け物は異界の者の中でも上位の存在が生んだ子供のようなものです。普通の人であれば見ただけで正気を失うような。そんな存在です。そんなものと対峙して、戦って、その上退かせるとは。本当に素晴らしい。偉業というべきものです。そこで…」

 

といいながら校長は不思議な箱を取り出す。何か宝箱のような、大切なものをしまう感じの箱だ。

 

「あなた方の中で攻撃を本で出来ないのは君だけでしたね。」

 

少年が首を縦に振ると、校長は箱を開ける。その中に入っていたのは金色に光り輝く、今までの箱より少し大きいくらいの箱だ。だが自分たちが毎回渡されていたのは銀色の箱だ。今回のは…また別なのだろうか。

 

「今回はあなたにこの箱を渡しましょう。この箱は今までの箱と違って本にかざして武器にした後もう一度本にかざせばこの箱の状態に戻すことができます。あれですね。使いまわしができるというやつです。貴方が一番箱の消費量が多いですしこのままお手伝いいただくのにもこのまま使い続けられると非常にコストがかかるのでね。」

 

なるほど。非常に合理的な理由だ。だが活躍を認められているようでうれしい。

 

「それは非常に貴重なものでいくつかしかありません。武器にしか変わらないようにはなっているはずですが、投網のように使い捨てることは好ましくないということは覚えていてください。」

 

このようなものを自分のようなものに渡していいのだろうかという疑問がよぎらなくもないが、ありがたく受け取る。

 

「あ、さっきありすが話した通り私も使っちゃったんですけど…」

「あぁそうでした。失礼。貴方には申し訳ないけどこっちのいつもの方をお渡ししますね。」

「ぜんぜんおけです~私ほとんど使わないんで」

「ありがとうございます。さて。実は今回は本題が別にございまして、あなた方にお願いしたいことがあります。私と異界の解決に同行してほしいのです。」

「え、と…それはいったいどういう…」

「言葉の通りです。異界の解決はその異界を作り出している張本人をこの現実から退散させることで行います。ですが、今回はイレギュラー。できるだけスピーディーに解決することが必要です。そこで、あなた方。非常に優秀なお手伝いの方々に随伴していただきたい。」

 

なるほど。その考えに関しては理解できる。だが…

 

「先生。別についていくのは構わないんですけど、ほかの人じゃダメなんですか?」


そう。別に少年たちである理由はなさそうだ。

 

「あぁ…非常に言いにくいのですが…一人だけで調査に赴いた者や、最初に来たやる気満々の方々は…ほとんど帰ってきていないのです。」

「えっ!?それまじですか!?」

「えぇ。帰ってきたのはあなた方と一部のほとんど正気を失った人たちだけです。」

「っ…!それは…確かにそうなってしまうかもしれません…」

 

ありすの言葉ももっともだ。この世界に来てから巻き込まれたたくさんの異常、現実世界なら馬鹿馬鹿しいほどの怪異、正気を手放したくなるようなおぞましい怪物。それらに出会ったうえでこれを否定などできるはずもない。

 

「ですから、あなた方に頼むしかないのです。どうでしょうか。手伝ってくださいますか?」

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