次の地は何処へ
校長室から出た三人は小走りで自分たちの根城にかけもどる。
「その本何?攻撃できる本なんてあったかな?」
それに関しては完全におまいうだろ。なんて思うが少年は黙っておく。
「題名は…『Alice's Adventures in Wonderland』」
「『不思議の国のアリス』?そんな戦闘シーンとかあったかな…」
確かに不思議の国のアリスは普通のおとぎ話だ。題名にアドベンチャーなんて付くくらいには単純に楽しい話だったはず。校長の話は不思議でしかない。
「でも…。考えるのあとにしなぁい?もう疲れたよパトラッシュ…w」
「私は犬じゃありません!」
「そっかぁ。まぁいいや。おやすみぃ…。」
疲れていたとはいえ寝るのが早すぎる。射的とあやとりが得意な超有名小学生並みだ。
「寝ちゃいました…どうします?あなたは布団取りに行きますか?」
そうだ。校長に布団などはあるのだろうかと聞くのを完全に失念していた。
「床で寝るのは痛いですもんね。一緒に取りに行きましょう!備品のところにあったはずです!」
アリスに連れられ二階に降りてきてみれば、奥にはひっそりと倉庫があった。そこには布団がいくつかと、座布団などの備品がしまわれてある。入口の扉には「非常時のため自由使用を許可」と張り紙が見えた。
「よいしょ!いきましょう!」
布団を持った少年とありすは階段を上り、そのまま教室に布団を敷き深い眠りに落ちるのだった。
また今日も日が登るや沈むという現象は起きず、そろそろ体内時計もぶっ壊れた。自律神経もそろそろやばいがこんな限界状況では何にも文句は言えない。布団でぐっすり眠れるだけ行幸というものだろう。体も痛くないし、体の疲れもほぼとれている。歯を磨いて顔を洗って…ご飯を食べたら準備は完了だ。
「さ、最後は私のところだね。どうせなんかいるんだろうけどさ」
「えぇ…ここまで来たらもう何も驚きません。せめて蜘蛛ではありませんように…」
「あぁ…うん。それはそう。」
一人戦力外が出るのは勘弁だ。
「じゃあいこっか。」
「はい!そうですね!」
「おぉ…急に元気になったな。」
「ちょっと元気出しました!いきましょ~!」
ちょっと引き気味の結衣から教えてもらった住所を宣言しそのまま一歩を踏み出す。
光に包まれ次に目を開けたときに見えたのはまた、まったく知らない地形だった。やはりなれないし不思議な感覚もあんまり抜けない。
「ここは…」
結衣の家の近くは、お世辞にも都会的な場所とは言えなかった。決してど田舎というわけではないのだが…なんというかさびれた場所感が抜けない。とりあえず何かありそうな駅に案内してもらう。駅舎はそこそこきれいなものの、駅を出てみれば大体の建物は低層だし、駅と併設されている建物の二階にあるご当地ショップ的なのにもたくさん人がいたというわけでもなさそうだ。ゲームセンターは併設されているものの4,5個クレーンゲームやおなじみくるくる回るお菓子を落とす奴があるくらいでほかに何にもない。一階には結構でかめのスーパーが併設されている。こっちには結構人がいたのかもしれない。かなり広い。
スーパーから一歩出て外を歩いてみれば、別に何にもないとはいえない。有名コンビニチェーンも居酒屋もある。だがそこを離れればほぼ開いていない商店街、車がまばらにしか通らなそうな道路と繁栄しているとも言い難い。
「う~ん。君たち二人が都会すぎるせいで改めてみると結構何もないね此処…」
結衣は自嘲的な笑いをこぼす。
「なんというか…なんというかですね。」
少年はありすの意見に同意する。なんというかコメントに困るのだ。
駅舎の二階に上がり改札外のテラスから周辺を見渡せば、少し先のところに海が見える。
「あ、ここ海が見えるんですね!」
「あ~えとね…あれ海じゃない…」
「え、そうなんですか?あんなにでっかいのに?」
「うん。あれはね~湖だねぇ…」
「ほんとですか?ならでっかいですね…びっくりするほどに」
「まぁそうだろねぇ~…私も信じらんなかったもん。」
本当に大きな湖だ。
「ねぇ、いってみませんか?」
ありかもしれない。こういうのは湖に何かいるフラグなんだろうが、どうせ巻き込まれるなら早い方がいい。
「ん、おけ~!」
三人は大きな湖へと歩を進める。だが、大きなものというのは総じて近く見える。三人はそこそこの距離を歩かされる羽目になるのだった。




