第1話:説明会
ニュージーク魔法王国・セントラル街・ギルド管理協会にて
「皆さんご存じの通り、この国では『ギルド』というこの国を支える重要な組織が存在します!」
若い女性が狭い教室のような部屋で、2人の男に向けて何かの説明を行っている。彼女の後ろの黒板には“ギルド設立に伴う説明会”と書いてある。
「ふあーあ」
話を聞いていた一人の男が大きなあくびをした。
「アレンさん!聞いてますか?!」
若い女性が男をにらむ。
「聞いてますよー。けど暇なんだよ。俺に座学は向いてないね。」
へらへらした様子で手のひらを上に向けてあきれたようなポーズをとる。
「あんたが魔法科学校の時にギルド設立のための説明会を受けなくていいと先延ばしにしたくせに、いきなりギルドを作りたいって言いだしたから!私がこうやって休日出勤して説明会開いてんでしょうがぁ?!」
その様子を見た若い女性が鬼のような形相で怒鳴る。
「うぐっ!ま、まあマリちゃんも給料もらえるしいいんじゃない?」
アレンという男は冷や汗をたらしながらもふざけた様子でいる。
「あとでシバいてやるからな。…さて~次の項目は――-」
マリは再び笑顔に戻り説明をはじめた。
「相変わらず怖えー。」
小声でアレンが呟いた。
そして隣にいた男も小声でアレンに話しかける。
「この女性と知り合いなんですか?」
「まあね。てかオッサン、この一時間で初めてしゃべったな。」
アレンが答える。
「ま、まぁ、引っ込み思案なところがありまして…」
「引っ込み思案て。あんたこれからギルド作るんだろ?」
「ええ、一応。」
「そんなんでやっていけんのかよ。」
「ひ、人と話すのが少し苦手なだけですので…大丈夫かなぁと…へへ。」
「そこが一番鬼門だろ、これから仲間集めんだから。」
「う…」
男が下を向くとアレンがため息をつく。そして再び話始めた。
「オッサン、名前は?」
「え…あ!えっと、サムエヌといいます。サムエヌ・クロッパー。りょ、料理人してます…」
「できんじゃん自己紹介。俺はアレン。アレン・ペルセウス。えーと、職業は…。あーこれから決まるんだわ。ギルド作るんだし。」
「ア、アレンさん、よろしくです。ところで、どんなギルド作るんです?」
「あ?ああ、“世界最強の男”になるための旅団を作る!」
「ひえー、世界最強ですか!それまた厳しい道を行くんですね…」
サムエヌが驚く。
「俺の目指す夢なんだ、厳しくなきゃ道中面白くねえよ。」
アレンは当たり前だと言わんばかりに笑いながらそう言った。
「そうだ、オッサンはなんd…」
「ずいぶん、楽しそうな話をしてますねぇ~」
アレンも聞き返そうとしたとき、大きな声が遮った。
笑顔ではあるものの凄みを帯びたマリが二人を見ていた。
「話を聞かねぇんなら、二人まとめて不可にしてもいいんだよ?」
「ひょ!き、き、聞きますからどうかお許しを!!!」
「オッサン、ビビりすぎだろ!ははは!」
アレンはおどおどするサムエヌを見て大爆笑をしていた。
「不可にしてもいいんだよ???」
マリの凄みが増す。
「はい、聞きます。」
アレンの大笑いが止み、姿勢がよくなった。
そこから二人は真面目に話を聞き、無事ギルド設立可となった。
そして説明会後…
「アレンさん、お疲れさまでした。」
「おー。確かに疲れた。オッサン、料理人だっけ?」
「は、はい一応。」
「そっか、じゃああんま関わることは無さそうだな。」
「そうですね…」
少し間が開いた後、アレンが言う。
「じゃあ、俺に負けねぇくらい有名になったら飯おごってくれよ」
「え?」
サムエヌはきょとんとし顔でアレンを見る。
「え?じゃなくて、オッサン料理人だろ?じゃあいつか有名になったら飯作ってくれよって話!」
そのあと三秒ほどうつむいた後、サムエヌが
「わ、わかりました!私もアレンさんに負けないくらい有名になって見せます!」
と、大きな声で宣言した。
「はは!そう来なくっちゃな。」
アレンは高らかに笑った。
二人はその後少し談笑し、別れのあいさつを交わして、その場を後にした。
その後アレンはギルド管理協会の出口を目指し歩き始めた。
「まあ、俺もまだ無名だけどな。」
そうつぶやき、出口に向かい歩いて行った。
どうも、快晴2です。初めて書く小説ですが、あまりに長くなりそうなので連載にしました。あとがき書くことないので、キャラ紹介でもしようかなと思います。
アレン・ペルセウス
・18歳、男 ・176cm ・好物:ピザ
・豆知識:頭悪いわけではない。口はそこそこ悪い。
サムエヌ・クロッパー
・42歳、男 ・165cm ・好物:果物全般
・豆知識:スイーツ系の料理が得意。
マリ・アンセノン
・23歳、女 ・166cm ・好物:酒
・豆知識:ギルド管理協会の事務員三年目。
一応言っておくと、アレンが主人公です。