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▼第二章 『初めてのトキメキ♪ 初めての人斬り♪〈その2〉』

 運動に備え、高校指定のあずき色にブルーのストライプが入ったジャージ姿(なんて色だ!)となった私は、初めての殺陣に挑戦する前から、無駄に息を切らして第二体育館一口へと駆けこんだ。

 部の活動場所を間違えるという‥‥‥すごい下らない理由で部活開始時間に遅れてしまった。


 すでに喧噪渦巻く第二体育館は、観客席など無いごく普通の体育館だ。

 バスケットボールの試合を同時に二つ行える広さプラス、奥に集会用のステージがある。

 今そこでは中央に仕切りを兼ねた安全用ネットが引かれ、すでにバレー部とバドミントン部が、新入部員候補の一年生の体験入部を行っていた。

 中学からの経験者もいる部活は、体験入部の段階から活気がある。


 私は一瞬、来た場所を間違えたかと危惧したが、それは杞憂だった。

 〈殺陣部〉と思しき木刀を持った面々が、体育館奥のステージ上にたむろっていたからだ。

 よく考えたら、二つもあるとはえ体育館の限られた空間は、部活動同士で奪い合いになっており、〈殺陣部〉というマイナーな部活がコートを使うことは出来ず、ステージに追いやられたのかもしれない。


 そしてそのステージ上にいた10数人程の面々の中の一人の女子が、目ざとく体育館の入口で立ち止まっていた私を見つけ、恐ろしい勢いで瞬く間に駆け寄ってきた。

 ジャージのサイドに入ったストライプの色がイエローだったことから、私は彼女が二年生であると分かった。

 身長は私と同じくらいかやや低い、細くて可愛らしい顔立ちで、そしてポニテだった。

 ジャージの胸の名前欄に書かれた字から、その先輩女子は月島というお方らしい。


「‥‥‥‥‥‥あ、あなた! タテブ‥‥‥〈殺陣部〉に体験入部の……ひと!?」


 彼女は私の前に立ち止まると、私と同等以上に緊張しているのか、ものすごくたどたどしくつっけんどんな声色で私に尋ねた。

 緊張していた私は咄嗟に声がでず、ひたすらコクコクと頷いた。


「‥‥‥よ、よし! こっち!」


 月島先輩は私が頷くと、問答無用で私の手を引っ掴み、第二体育館奥のステージへと私を連れて行った。

 私は引っ張られるままに移動しながら、彼女こそが、先日の部活動紹介集会のプレゼン『ガン・ブレイド』で、バッタバッタと人を斬りまくったポニテ女子先輩であることを確信した。







「やった! 追加女子お一人様ゲットだぜ!」

「良かったあぁぁ‥‥‥でかしたツッキー!」


 ステージに上がるなり、すでにそこにいた三年生を示すあずき色にレッドのストライプの入った男女の先輩二人が歓喜した。

 ツッキーと呼ばれているらしい月島先輩は、ほんのり顔を赤くしながら「こっち‥‥‥」と、私をややつっけんどんにステージ上に集まったのブルーストライプの一年生集団に誘導した。




 斗南高校の部活動は基本16時開始であり、私は10分弱ほど遅刻したわけだが、多くの新入部員候補が、複数の部活に体験入部する今週は、そこいらへんはだいぶユルユルらしかった。

 ‥‥‥‥‥‥ってなことで私は人生初部活で、いきなり遅刻認定にはならずに済んだ。

 私が来た時点で、ステージ上に一年生のジャージの男女は10名程が確認できた。

 それが私の部員仲間候補ということらしい。

 16時20分になり、これ以上体験入部の希望者が来そうにないと判断されたことで〈殺陣部〉の活動は開始となった





「こほん! え~新一年生のみなさん、おはようございます」


 何かしゃべるまでまったくオーラを感じなかった三年の先輩男子の挨拶に、私達一年は「おはようございま~す!」と何となくの流れで挨拶を返し、ついに私の初部活動は始まった。


「え~ボクは〈殺陣部〉部長の貫銅(ぬきどう)シュウイチ。

 え~そういうわけでね、すでに承知の通りっ、これより一年の皆に〈殺陣部〉なる部活動をお試し体験してもらいっ、今後みなが〈殺陣部〉に入部するか否かの判断材料にしてもらいたいと思います~」


 その覇気の無い声音で語る覇気の無い先輩男子こそが、〈殺陣部〉部長だったことに私は若干驚いたが、その事実を飲み込む間もなく、部長の司会進行で部活動は進行していった。

 していったのだけれど‥‥‥。




「‥‥‥体験入部といっても、殺陣はいきなり挑戦してもらうにはヤッパリちょっとなんか結構危険なので、今日のところはまず安全の為の準備と説明を優先して体験してもらいたいと思います」


 という部長の説明により、〈殺陣部〉の最初の20分は、入念なストレッチとウォームアップに当てられた。

 〈殺陣部〉は運動部ではなく文化部にカテゴライズされているが、運動には違いなく、そして木刀という硬くて長いブツを近くに他人がいる状況で高速で分回すという、ある意味運動部以上に危険な部活でもあるので、まず安全の為の準備運動は欠かさないのだ。

 アキレス腱伸ばしだののラジオ体操的な柔軟運動や、バーピーとかいうめっちゃキツいウォームアップ運動その他諸々を、私は目を白黒させながら、言われるがままにひたすらこなした。

 実はもっとキツい運動をやらされることを覚悟していたが、今のところはまだ辛うじて付いていける範囲だった。

 そしてその一方で、私はウォームアップに励みながら〈殺陣部〉の先輩部員の様子を横目で観察した。




 真っ先に気になったのは、『ガン・ブレイド』のポニテにして、ツッキー先輩こと月島カスミ先輩についてだった。

 私が〈殺陣部〉を選んだ理由の半分以上は、部活動紹介集会の彼女の殺陣が目に焼き付いたからだが、間近で見る彼女はm私達と共にただ黙々とウォームアップにはげむ一人の女子にしか見えず、それ以上の情報は観察しただけでは分からなかった。

 一つ付け加えておくならば、近くで見るとカッコイイというよりもカワイイ感じの人に見えたことくらいだ。



 その印象の一部は〈殺陣部〉部長の貫銅先輩も同じであった。

 背が高からず低からず、細からず太からず、イケメンともブサメンともつかない、石ころ帽子でも被ってそうな存在感の希薄な三年男子先輩こそが、〈殺陣部〉の部長ということらしい。

 私は先日のプレゼンの演舞で、部長がどこで何してたかまったく思い出せなかった。

 まったくオーラというものを感じない人だった。

 部長という立場の人ならもっと覇気とかオーラとかがあるものだと思っていたのだが‥‥‥まぁそれ自体は別に問題ではない。

 ただ‥‥‥私が疑問なのはなんで〈殺陣部〉の部長ともあろうポジションのお方が、先日のプレゼンで斬る側の役をツッキー先輩やユルふわ黄色ドレス先輩に譲り、自分は斬られ役をやったのか? であった。

 だがその答えがウォームアップしながら今すぐ分かるはずも無かった。


 その一方で、〈殺陣部〉プレゼンの曲目の『LA・LA・LA・LAND』で、最後には巨大ナギナタを振るって大活躍したユルふわロングヘア黄色ドレス先輩が“塚本ツバサ”副部長であることをステージ上にいた彼女のジャージの胸の名前と、ウォームアップの最中に行われた恐ろしく雑な部員の自己紹介で知った。

 こっちは貫銅部長とは逆に、陽のオーラを燦々と解き放つお人であった。

 身長は170手前くらいで高すぎず低すぎず、決して太ましいわけでは無いが、なんというかムチムチしてて、柔らかそう、そして常にその表情はにこやかで優しそうだった。

 率先してストレッチやウォームアップ時に『イチニ! イチニ!』と溌溂とした声を出し、部活動の雰囲気作りを行っていた。

 そんな彼女が〈殺陣部〉の副部長なのだという。



 私がウォームアップ中の観察で認識できたのは、そこまでが限界であった。

 まぁジャージの胸に名前が書いてある限り、名前を覚えることには困るまい‥‥‥と私は判断した。

 喘息を克服して以来、自転車移動やらでなるべく普段から運動するよう心掛けていたが、そのお陰で今は〈殺陣部〉のウォームアップについて行けても、ただついていけただけで、私ははやくも汗だくになっていた。

 だがそうなることは先輩方も承知だったようで、ユルふわヘアの塚本ツバサ副部長により、水分補給を兼ねた五分休憩が告げられ、私は思い切り安堵した。

 運動の合間の水分摂取は大事だもんね。



 私がそそくさと体育館外の水場で口を濡らして戻ってくると、次に私達を待ち受けていたメニューは、いよいよ殺陣の実践‥‥‥ではなく、軽い座学であった。







 考えてみれば、殺陣にも当然数々のルールや法則や、覚えねばならない専門用語が多々あり、それを知らずして実践もへったくれもあるわけなかった。

 むしろ事前説明がちゃんとあって安心したくらいだ。


「さて、これから一年に殺陣を体験してもらう前に、殺陣とは何か? とか、この部活の一年間のスケジュールやら何やら、木刀だの鞘袋だのの購入についてだとか、説明すべきことは掃いて捨てる程あるんだけれど……。

 まず、殺陣を行うにあたって、最も優先すべき要素を説明しておきたいと思います。

 それは何をおいても安全!」


 休憩から戻ると、他の先輩方と共にジャージの下を袴に着替えていた貫銅部長が、体育館ステージ上に持って来てあったホワイトボードに“安全”大きくと書きながら言った。

 私達一年は、ステージ上のホワイトボード前に体育座りしてそれに聞き入った。


「殺陣に限ったことじゃないけど、怪我したり、実際に斬っちゃったりしたら、それは殺陣じゃなくモノホンの殺し合いか、事故事件になっちゃうからね!」


 貫銅部長は覇気が無いなりに“安全”に関する説明だけは熱心に語った。

 もっともな事だと私は納得した。

 私は怪我はしたくないし、怪我させて加害者にもなりたくない。

 だいたい殺陣の途中で怪我人をしたら、殺陣を続けるどころじゃなくなるのだから当然の話だ。


「しかしながら殺陣というのは、傍から見て殺し合っているかのように見えるレベルで刀を振るうことが求められ、それはどう足掻いても危険というしかない行いです。

 じゃ、その殺陣でいかに安全を確保したら良いのか? の為の注意事項を説明しておきたいと思います」


 そう言うと、部長はおもむろに木刀を振り上げた。








「まず一つ目は〈攻撃する側は直前に声を出せ〉というルール――テリャ!!!!!」

「ひゃ!!」


 そう語り終える直前、貫銅部長は鋭い掛け声と共に、目にも留まらぬ速さで木刀を振るい、たまたまか必然か、部長のそばで背を向けて立っていたツッキー先輩の頭上に木刀を振り下ろした。

 私は思わず、突然の部長の掛け声に悲鳴をあげてしまった。

 しかし、突然振り下ろされた木刀によって、ツッキー先輩の頭が勝ち割られることは無かった。


「‥‥‥このように背後から攻撃しても、掛け声があれば対処可能だからね!」


 部長は悪びれる素振りも見せずに言った。

 貫銅部長の振り下ろした木刀は、頭上に水平に構えたツッキー先輩の木刀に受け止められ、彼女の頭は無事であったからだ。


「今彼女は、ボクが先に掛け声を出してから攻撃したので、背後にいて見えなくても防御できたってわけ。

 しかしぃ~??」


 貫銅部長はツッキー先輩が防御できた種明かしをしつつ、ステージ上を静々と移動しながら、今度は無言で背後から一人の男子先輩部員に木刀を振り下ろした。


「ひゃぁっ!」


 振り下ろされた木刀は男子先輩の顔の真横でピタリと止まり、男子先輩はさっきの私以上の悲鳴を上げて固まった。


「このように、超能力者でも気配だの殺気を感じる達人でも無い我々は、音による合図が無ければ、背後だの死角からの攻撃には対処できないわけ。

 だから殺陣中は、攻撃する側は必ず声を出すこと。

 もちろん殺意のこもった気迫ある掛け声が理想だけれど、ともかく攻撃対象の耳に届く声を出してから攻撃すること!

 分かったかな?」


 私達一年は、元気よく「ハイ!」と答えた。







「二つ目の注意事項〈大上段は45度〉というルール〉。

 大上段てのは、このようにまっすぐ真上に刀を構えた状態のこと。

 目の前の敵を真上から真下に垂直に斬り下ろしたい時の構え」


 そう言うと部長は私達に対して真横を向き、刀を頭上に構えた。


「この時の真横から見た時の刀の角度が、地面に対して45度にしなさい‥‥‥というルールね。

 そうは教えない殺陣や剣術の流派も多々あるけど、我が校の〈殺陣部〉では45度にしろということにしてるんだ」


 そう言うと部長は、ステージ下手側(向かって左側)を向いた状態で、木刀の先っちょが時計の針の1時半を示す位置でピタリと止めた。


「何故なら、目の前にいるカラミに攻撃しようとした時に~?」


 そう続けると、真横を向いた部長の前後に一人ずつ先輩部員が移動し、一旦刀を眼前に木刀を降ろした部長は、一呼吸おくと前方下手側にいる部員に向かって攻撃しようと刀を振り上げ、大上段となった刀の先っちょを、横から見て水平より下、時計で言う4時の位置まで勢いよく振りかぶった。

 だがその位置には、部長の背後に立っていたもう一人の先輩部員の頭があった。


「!」


 私は思わず目を瞑ったが、部長の振りかぶった木刀の先端は、カンッとばありに部長背後の先輩が水平構えた木刀によって防御され、背後の先輩部員の頭が木刀でかち割られることはなかった。


「このように、大上段という構えは45度以下に下げると、後ろに人がいた場合、と~っても危険なわけ。

 故にこれから君たちが殺陣をやることになった時は〈大上段は45度〉にしてね!」


 私達は返事と共に肝に命じた。







「さらに覚えて欲しい安全上のルールは〈指定されない限り、切っ先を進行方向に向けて移動しない〉ってやつ。

 たとえば、舞台演劇なんかでステージ上で殺陣をやって、袖にはける‥‥‥退場することになっていたとする‥‥‥」


そういうと貫銅部は、ステージの真ん中で木刀を振るい、見えない誰かを斬った芝居をすると、舞台袖に退場しようと走り出した。 

 ただし木刀の先っちょを前に向けたままで‥‥‥。

 そして貫銅部長が向かった舞台袖の奥には、次の出番を待っていたかのように先輩部員が待っていた。

 そしてその先輩部員の元に貫銅部長が駆けこんでいった結果、貫銅部長が前に向けていた木刀の先っちょがブスリ! と先輩部員のお腹に‥‥‥ささることが無かったのは例えで見せたのだから当然だった。

 先輩部員のお腹に木刀の先っちょがぶち当たる前に、貫銅部長が止まったからだ。

 だが私はそれでも充分見ていてヒヤヒヤした。


「このように、木刀の先っちょを進行方向に向けて移動すると、自動的に攻撃技となって、進路上にいる人を傷つけるかもしれないので、指定が無い限りは必ず木刀の切っ先は、後ろに向けていどうするように!」


 もちろん私達は返事と共に大きく頷いた。





「あとの二つはちょっと曖昧なルールで申し訳ないが、一つは〈獲物を持ってる人間の死角から無暗に近づくな〉っヤツ。

 これは木刀を持ってる側ではなく、それを見ている側が気をつけるべきルールなんだけれど……。

 その理由は、さっきの〈大上段は45度〉を守らないと危険なのと同じで、木刀を持った人の死角から何の気なしに近づいて、木刀持った人が急に素振りだの納刀だのはじめたら危険だからね!」


 例によって貫銅部長は、いつの間にか背後から近づいていた先輩部員のお腹に、腰に収めようとした木刀の先っちょをブチ当てそうになりながら語った。


「そしてもう一つは、今のパターンの木刀を持った側が気をつけるべきこと。

〈常に死角に人がいる可能性を懸念し、木刀の切っ先に気をつけるべし〉ってやつね!

 ともかく殺陣でおきる怪我の8割は木刀の先端‥‥‥切っ先関係で起きるから!」


 貫銅部長は彼の第一印象を覆す勢いで力説した。


「もちろん本気で木刀や小道具の刀をブチ当てない、刺さないってのもあるけどね‥‥‥特に小道具の竹光は折れるとお高いから……その‥‥‥お値段がさ」


 最後に部長は、実に切実そうな顔で付け加えた。

 そこまでの設営の間に、塚本ツバサ副部長がホワイトボードに今部長が語った安全の為の五つのルールを書き記しておいてくれた。


〈攻撃する側は直前に声を出せ〉

〈大上段は45度〉

〈指定されない限り、切っ先を進行方向に向けて移動しない〉

〈獲物を持ってる人間の死角から無暗に近づくな〉

〈常に死角に人がいる可能性を懸念し、木刀の切っ先に気をつけるべし〉


 私はふむふむ大いにと納得しながら、今すぐ暗記しようと集中した。

 今手元に無いけどスマフォでホワイトボード撮らせてもらうか、ノートにメモを取らせて欲しかった。


「ああ、今日は用意してないけど、今言ったこの五つの安全ルール他の基礎知識を書いたプリントは、正式入部したら渡すから」


 私は貫銅部長のその言葉に、「スマホ取ってきていいですか」と言おうとして挙手した手を慌ててひっこめた。








「さてと諸君、いよいよ木刀を持ってもらおうかな!

 待たせてごめんね。

 正式入部したら自分好みの木刀を自費購入しても良いけど、とりあえず今は、ウチの予備木刀と部員の私物で我慢してってことでヨロシク」


 そう言って貫銅部長はパチンと合わせた手と手をスリスリすると、立ち上がった私達に先輩部員達から木刀が配られた。

 私に黒ずんでボコボコになった古びた木刀を渡したのはツッキー先輩だった。

 私はそのおよそ1m弱の木で作られた刀の模造物を手に取った瞬間、ちょっとした感動を覚えた。

 思ったよりも‥‥‥重い。

 そう感じた瞬間、プレゼンで見た〈殺陣部〉部員たちの刀さばきを、自分でもできるのか自信が無くなってきた。

 それと同時に、早くこいつを分回したいという原始の本能めいたものも感じる。

 とうとう、ついに、私がこいつを振るうときが来たのだ!

 私は慎重に、周囲の邪魔にならないように確認しながら、右手で握った木刀を高く掲げ、心の中で(ドェ~ハッハッハ)と高笑いした。


「ああ‥‥‥でもこの木刀で殺陣はじめる前に、共通言語としての木刀‥‥‥というか日本刀の各部の名称と、刀の正しい握り方をまず説明するね!」

「‥‥‥」


 部長のその言葉に、私は高く掲げた木刀をゆっくりと下ろした。




                                           つづく




(※本作は作者の実際に体験した殺陣に関する知見を元に執筆されておりますが、世の殺陣の全てに適用されるとは限らない可能性があることをご了承ください)

 なお本話で語った〈大上段は45度〉というルールは、他の殺陣の流派では見かけたことがありません。


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