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第四十五話:京都への道のり

なろうに初投稿しますよろしくお願いします!



 ――夜闇を前照灯(ライト)で切り開き、京都に向かって車輪を回す。


 本部を出た後のこと。

 俺、平さん、真緒(マオ)、立花神、高橋さん、長谷川さん、ついでに蘆屋(あしや)の七人は、バイクに跨り雑木林の中を駆けていた。


 俺はまだまだ運転に慣れていないが平気だ。

 清明さんより預かった意思持つ機体『騰虵(とうだ)』。こいつは俺がぐらつきそうになると、自動で体勢を立て直してくれる。すごく便利なやつだなー。

 

「よォシオンの坊ちゃん、そのバイクすごいじゃねーの。清明の旦那の新作だったかい?」


「平さん」


 京都の特等陰陽師・平さんが横に並走してきた。

 黒く尖った俺の機体を見て、「旦那ってば好き放題にデザインしたなぁ」と笑っていた。


「口ぶりからするに、平さんは清明さんと仲がいいのか?」


「んあっ、それは――」


 なんとなく聞いた時だ。後ろを走る立花神が「コラおんしッ!」と怒鳴ってきた。おんしじゃなくてシオンだが。


「おんし噂はきいとらんのか? 確かに平さんと清明さんは仲良かったわ。せやけど、今回の件で仲違いすることになったねん」


「どういうことだ?」


 訊ねる俺に、立花神は気まずげに平さんを見た後、話を続ける。


「ほれ、三日前に『首都防衛計画』ってのが発表されたやろ? 特等陰陽師を関東近辺に集中させるっちゅーやつ」


「それは知ってる」


「で、ソイツは元々土御門統括が推してた計画なんやが、ずっと却下されてきたねん。地方を見捨てる気かってな。――せやけど今回、なんや汚い圧を掛けられたみたいでなぁ。清明さんを始めとした特等たちは、渋々計画に賛同することになったんやと」


 そうなのか……?

 うーん。『汚い圧』というのが何かは知らないが、清明さんが他人に流されるようには見えないが。

 それに土御門さんは良い人だし。無理やり他者を従わせるものか?


「んでまぁ、その計画にめっちゃ怒ったのが平さんってワケやな。土御門統括にはもちろん、清明さんとも大喧嘩になったって話や」


「なるほど……」


 平さんのほうを見ると、困り顔で「まぁそういうこったねェ」と頷いた。


「感情的になっちまって恥ずかしい限りさね。土御門統括が戻ったら脅してでも交渉して京都に戻ってやるって息巻いてたっけねェ。立花くん、そのへんももしかして伝わっちゃってる?」


「あー……ハイ。飄々とした平さんがキレてるっちゅことで、みんな騒いでて……」


「うへぇはっず」


 苦笑する平さん。恥じらいを誤魔化すように緑の髪をガシガシと掻いた。


「いやだねェ。こりゃ、あちこち駆け回ってる『鴉天狗』クンたち伝いに、もうそこら中に知れてるかもなァ。年甲斐もなくキレちまった件が漏れるとか、ちょい恥ずかしいわ」


「いやっ、恥ずかしくないっすわ平さん! 京都を守ろうっちゅーその気持ち、ジブンは立派や思います!」


「へへ、そりゃどーも」


 ――こうして俺たちは話しながら、京都への道を駆けて行った。


 そして数時間後。月が中天に昇ったあたりで、平さんが「今日はこのへんで休もうかねェ」と言い出した。


「ここらへんって、雑木林の中でか? 別に構わんが」


「違うし構えよ。そうじゃなく、ここらには確か――ああ、見えた」


 木々の先を指差す平さん。そちらを見ると、夜闇の中にうっすら光るものがあることに気付いた。

 全員で近づいていくと……、


「これは、屋敷か」


 雑木林の中に現れたのは、入口に灯篭(とうろう)を輝かせた古風な屋敷だった。

 そこの門前でバイクを止める平さん。俺たちもそれに続く。


「『八咫烏(ヤタガラス)』関係者専用の隠れ宿さね。支部以外にも、こうした施設が日本中にあるのさ」


「そりゃすごい」


 八咫烏ってお金あるんだなーって思った。どうやら俺は、思った以上にすごい会社に就職してしまったようだ。


「こんな宿をそこら中に用意してくれるなんて、八咫烏は優しいな。お金もかかるだろうに」


「……あぁ。かつて、現場のことをよく考えてくれる優しい陰陽師が、どうしてもって建てさせたモノでねェ」


「そんな人がいるのか。それは挨拶してみたいものだが」


「そいつぁ無理だ」


 バイクから降りる平さん。彼は屋敷の門をくぐりながら、一言。


「あの人はもう、腐っちまったからね」



 ◆ ◇ ◆



 ――真夜中の訪問にも拘らず、宿の女将さんは俺たちを温かく迎えてくれた。

 他に利用者はいないらしく、一人一人に個室まで用意してくれるそうだ。

 ただ、


「すみませんがウチの宿、昔ながらの混浴ということになっていまして……!」


「「「混浴ッッッ!?」」」


 女将さんの言葉に、立花神と高橋さんと真緒が驚いた。

 ウヘェーマジかと気まずげにする立花神。そんな神のことを高橋さんはなぜかジッと見ていて、そして真緒は――なんか俺のほうを顔真っ赤にして見てきた。どうしたんだ?

 そして、


「ケッ、ンなことでいちいち騒いでんじゃねぇよ。童貞処女連中はこれだからダメなんだよ」


 驚く三人を小馬鹿にしたのは、なんか柱にもたれかかりながら腕を組んでいる蘆屋だ。

 謎の恰好で「落ち着けよテメェら」と言い諭す。


「気になるんなら、時間分けすりゃいいだろうがよ。最初はオンナ、後半はオトコってことでよ」


 お~蘆屋が頭のいいこと言ってる。普段はギャーギャーうるさいくせに、なんか冷静だなコイツ。


 ――そう感心したところで、平さんが蘆屋の肩にポンと手を置いた。


「ってなんだよ!?」


「なァなァ蘆屋の坊ちゃんよ。実は――お前さんも、恥ずかしがったりしてんじゃないかい?」


「は、はぁああああ!?!?!?」


 あっ、今度は蘆屋の顔も赤くなった。


「あと蘆屋一族の子供って、当主が嫁を用意するまでは女人接触禁止だったろ? だったらお前さんも童貞じゃ――」


「うるせぇボケーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!」


 ブチキレながら駆け出す蘆屋。

 やつは「もういい寝るッ!」と叫ぶと、そのまま客室のほうへ向かってしまったのだった。

 風呂入れよー。


・ちなみにあと24時間で蘆屋くんは死にます。


ここまでありがとうございました!

↓『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』

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― 新着の感想 ―
[良い点] “昔ながらの混浴” そう言えば江戸時代は混浴だったな 背中流して絆深めてけ “普段はギャーギャーうるさいくせに、なんか冷静だなコイツ” テンパってただけでしたか、「さては覗くつも…
[一言] 残り24時間か…!
[一言] あと24時間か、蘆屋君 いい奴だったのに(´;ω;`)ウッ
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