第四十四話:いざ京都へ
なろうに初投稿しますよろしくお願いします!
「ちなみにこの二人だけじゃないぜェ? 他にも同行を願う子らがいてねェ」
平さんがそう言った瞬間、真緒と蘆屋に続いて三人の者たちが現れた。
って、この人たちは……!
「立花神」
「ってだからなんやその呼び方は!?」
一人目は立花神先輩だ。
つい数日前に戦った糸目のお兄さんだな。
「まさか神が来てくれるとは」
「神て……どうしてそんな扱いになったのか、おんしの心の中めちゃ見たいわ……」
「ぬ」
心の中が見たいとは……!
俺に興味深々すぎるだろう。どうやら神は俺のことがすごく好きになったらしい。照れる。
「まぁワイが同行するのは他でもない。口調でわかるとおり、ワイは元々関西のほうの出身やねん」
神は語る。地元にいるとどうしても過去の“虐殺体験”を思い出してしまうため、東京に身を移させてもらったのだと。
「ま、ワイも今年で二十歳やしな。ええ加減にトラウマなんざ乗り越えて、一度は関西に戻ろ思ってたんや」
「それでちょうど、平さんの京都行きの話があったと」
「そゆことや。おんしと一緒なのはちょっとアレやが、まぁよろしく頼むわ」
ん、アレってなんだろう? 嬉しいってことかな?
そう九尾に小声で聞いてみると『貴様無敵か?』と言われた。褒められちゃったぜ。
「なんでおんし嬉しそうにしとんねん……。まぁええわ。で、こっちは」
視線を横に下げる立花神。
彼の隣には、長い髪を片房に括った女の子――に見えるけどどうせきっと男な、『高橋銀』さんがいた。
たしか立花神の舎弟的存在だったな。だからついてきたのか。おひさー。
「っ、出たっスねシオンさん……! あの日はよくも兄貴のことを……っ!」
「ってこら銀っ、やめぇや!」
ぬぬぬ、睨まれてしまった。
まぁ俺は寛大な心で許すんですけどね。なにせ高橋さんは年下の女の子に見えるけど、俺の人生経験上だと年上のオッサンで間違いなしだ。
オッサンということは色々な経験を踏まえているということで、その上で俺のことを気に入らない様子なのだから、きっと俺に省みるべき点があるのだろう。俺は勉強中の身なのでそのへん謙虚に受け止めますよ。今回は何を反省するのかよくわからんけど。
「すまないな、高橋さん。どうやら不快な思いをさせてしまったようだ」
「ふぇっ!? いっ、いやまぁ、わかってくれるならいいんすよ……!」
おお、なんもわかってないけど許してくれたぞ高橋さん。心が広いな。
どうやら、困った時はとりあえず謝っておけばいいようだ。よし学んだ。俺もまた一つ真っ当な人間に近づけたな。
そう誇らしくなる俺に、立花神はなぜか微妙な表情だ。「なんで銀には礼儀正しいねん……九尾といい、ちっちゃいのが好きなんか?」とぼやいている。
お、その言葉に真緒が「えッ!?」と傷付いた表情で胸に手を当てた。どうしたどうした?
「どうかしたのか真緒?」
「な、なんでもないよシオン……! いやほんと、なんで僕ってば今ココロがズキッと……」
何かわからないが体調が悪いようだ。真緒はそういうところあるからな、友としてもっと気遣っていこうと思う。
というわけで真緒さんの手を取ってと。
「お前は俺が支えるからな」
「ぶぇッッッッ!?!?!?!?」
なんかドえらいビックリされた。
親友なんだから当然と思うんだが、どうしてだ?
そんな思いを込めて立花神のほうを見たら、チッと舌打ちされた。なんでじゃ。
「ワイが女日照りなのに見せつけんなッつの……。あぁーほいじゃあ三人目を紹介するでぇー」
そう言って、高橋さんの時よりもさらに視線を下げて横を見る神。
そこには、ちっちゃい女の子が……って、
「長谷川さんじゃないか。この前ぶりだな」
「や、やぁシオンくん。先日はどうも……」
丁寧に会釈してくれたのは、童女に見えて実は三十六歳妻子持ちオッサンな長谷川さんだった。
この人には大きなことを学ばせてもらったものだ。
彼曰く、“自分は平凡で地味な人間。社会には自分のような者が当たり前にいる”とのこと。
つまりこの世の童女の大半はオッサンなわけだな。やばいぜ。彼と出会わなければ俺は高橋さんを女の子だと思っていただろう。
「なんやおんし、長谷川さんと顔見知りなんか? ……じゃあ正体は知ってそうやな。マジビビッたで、ワイ」
「あぁ、流石の俺も動揺したな。色々あってそういう感情は思い出せなくなってたんだが、心が溶かされた気分だった」
「クソみたいな衝撃で人間性取り戻したなぁおんし……」
そんな会話をする俺たちに、長谷川さんは「?」とよくわからなそうな表情をしていた。
……てか長谷川さん、なんか目に隈があるぞ。どうした?
「元気なさそうだが、何かあったのか?」
「ん、あぁー実はね……。息子に、すごく怒られてしまってね……!」
ああ、たしか十四歳の息子さんがいると言ってたな。なぜかあんまり目を合わせてくれないとか。
「何か悪いことをしてしまったのか?」
「いやぁ、それが皆目見当もつかないんだよ。なんか突然“親父のせいで俺はおかしくなっちまうよ!”と怒鳴られてね……!」
長谷川さんは悲しそうに語る。
以前から避けられていたが、それでも自分はよき父親であろうと努めていたと。
「親子仲を深めようと背中を洗いに行ってあげてたし、男同士の秘密の会話でもしようと夜中によく部屋に行ったりしたさ。でもどちらも拒否されてしまったね。それでもせめて最低限の絆は紡ごうと、仕事を頑張ってお金を稼いで、好きなものを買ってあげようとしたんだ! あ、陰陽師であることは口外禁止だから、“キミのために『秘密の仕事』をして、いっぱい稼いだよ……!”と言ったんだっけ。あぁあの日はとても疲れていたから息が上がってたなぁ。そしたら息子くん、そんな私が気持ち悪かったのか脳が壊れたような顔で逃げて行ってしまって……あぁどうしてなのか……!」
堰を切ったように嘆く長谷川さん。
そんな彼の語りに、俺以外の六名が「「「「「「そりゃダメだわー……」」」」」」とぼやいた。
え、ダメなのか?
「……なぁ九尾、何がダメなんだ? 聞く限り、長谷川さんは頑張っていたようだが」
『あー……思春期の男子というのは、複雑なのだ。それをこんな乳臭い父親に掻き回されたら、そりゃもう性癖の一つや二つはおしまいになるというか……』
「そうなのか」
思春期というのはよくわからんが複雑、よし覚えた。
『おぬしにも情操教育が必要みたいだなぁ。ともかくそこなチンチクリンは、それがきっかけで京都遠征に加わろうと思ったわけか』
「え、えぇ。息子とは一旦、距離を置こうと思いまして。……いやここはやはり男らしくッ、息子を組み敷いてでもお前を愛していると伝えるべきですかねぇ!?」
『やめろ変なところでオスになるな! 間違いが生まれるッッッ!』
ギャーギャー騒ぐ長谷川さんと愛しの九尾。
こうして京都への左遷旅行は、思ったよりも楽しそうになるのだった。
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