おそようは面白くないです
目が覚めると窓から月明かりが差していた
私は半日寝ていたらしい
最近寝過ぎている私の身体に感心しながら起き上がった
「おはよう」
起き上がると男の人のが挨拶をしてきた
私から挨拶をしない珍しいこともあるのだと思いながら声の方を向く
そこには椅子に腰掛けサイドテーブルに置かれた資料に目を通すパパがいた
「もう"おはよう"の時間ではないか。
うーん、もう夜遅いから"おそよう"かな?」
そんなくだらない話をしながらパパは私に笑い掛けてくれた
私はそんなパパの話など耳に入ってこない
朝まで何とも思わなかったのに、今こうして会ってしまったら懐かしい気持ちが込み上げてくる
誰の記憶? …分からない
でも今はパパに抱きしめてほしい気持ちだった
何も返事をしない私を見てパパは慌てている
「これはダメだったか…他に」
なんて事を言っている
まだくだらない話をするみたいだ
そんなパパを見て私は顔がニヤけてしまう
「パパ…」
慌てるパパに私は両手を広げた
「アイラ?」
パパは私の行動をよく分かっていないみたいだ
だけど私は何も言ってあげない
両手を上下に振りパパから来てくれるのを待った
悩み抜いた末やっと私のして欲しい事を理解したみたいだ
ゆっくりと私に歩み寄りベッドに腰掛けると
私よりも大きな身体が私の身体を包み込み温めてくれる
その温かさを心地よく思いながら
「…ずっと会いたかった」
なんて言葉を口にしてしまった
誰の言葉か分からない
でも素直に出た言葉だった
「でも、"おそよう"は面白くなかったかな」
なんて事を笑いながら最後に教えてあげた
パパは少し悲しんでいたが、私は気にしてあげない
懐かしい気持ちに浸りながらしばらくパパから離れられなかった
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ごめんな、早く帰ってこれなくて」
パパはスプーンを動かしながら謝ってきた
私は変わらずほぼお湯なお粥がご飯だった
そして今回はルナじゃなくパパに食事介助をされている
自分で出来るって伝えたのに
『ルナはいいのに、パパはダメなの』
なんて事を言われてしまった
何故かパパはルナに対抗心を抱いているみたいだ
懐かしい気持ちなんてすぐ飛んでってしまった
これ以上面倒臭いパパにさせないよう
私は大人しくパパにお粥を食べさせられている訳だ
「ルナが居たから大丈夫だよ」
意地悪でなく本当の事を言ったのだが
パパは口をへの字にしている
イケメンなのに性格が残念だ
黙々とお粥を食べ終えると
「明日は仕事が休みだから一緒に話をしないか?」
なんて事をパパに言われた
私ももっと色んなことを知りたかったため
快く了承した
と思ったけど、中途半端はイヤですね
すみませんもう一話だけ…