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汗が止まらない




「おはようございます」


3度目の挨拶だ

なんと私は昨日の昼過ぎに眠りにつき、次の日の朝に目を覚ますという事が出来るらしい

勿論昨日の話なんて一つも覚えてない

嫌な事を忘れられるのが睡眠なのだ

睡眠は素敵だなと1人で考えていたら


「おはようございます」

今日も1番にメイド服を着たルナが笑顔で挨拶を返してくれた


「うん、おはようございますルナ」

私の狭い世界だがルナの笑顔が世界で1番可愛い

そんな笑顔の可愛いルナにつられてまた挨拶をしてしまった


「フフ…さあ、アイラ様

お顔を洗って朝ご飯にしましょう」

そう言ってタオルと洗面器、昨日のほぼお湯なお粥を持ってきた

「ルナ~私はまだお粥じゃないとダメなんですか?」

2回目にして私はお粥が嫌いになっていた

味がしないしお腹も膨れない

お肉が食べたいとルナに上目遣いをするが胸を押さえながらダメですしか言ってくれなかった


私は諦め、ブーブー言いながらお粥を一口ずつ食べている

ほぼお湯なお粥なのに器に口をつけて飲めないのは

今日もルナが食事介助をしているからだ

それに私は多分お嬢様らしい

お嬢様はそんなお行儀の悪い事はしないなって記憶がある

可愛いルナに免じて私は黙ってルナの言う通りにしていた


朝ご飯を食べ終えルナが片付けをはじめている時

「そういえば、今日パパは来ないの?」

なんて事を聞いてしまった

昨日あれだけ泣いてくれたパパが娘に会いに来ないはずがない

会いたいとはあまり思っていないが、記憶もなく誰を信用していいか分からない私にとってはルナとパパだけは今の私にとって安心できる人達だ


「ライル様は早朝アイラ様のお顔を見てからお仕事に行かれましたよ」

ルナが微笑みながら教えてくれた

寂しくはない、私は大人なのだ

パパに会えないからと言って涙なんて流さない

そのつもりだったのに…



視界がボヤける

ポロポロと目から汗が出てきた

慌てて目元を押さえたが汗が止まる事はない

喉が揺れ声が漏れ始める

そんな私の異変を察したのか先程まで片付けをしていたルナがこちらを向き慌てて駆け寄ってきた


「アイラ様!どうされたんですか」

ルナは私の顔を覗き込み声をかけてくれるが

上手く言葉が出ない

鼻水まで出てきてしまった

恥ずかしかったけど、汗も鼻水も止まろうとしない


最後には

「パパぁ」

と大きな声で泣き出してしまった

そんな私をルナが身体を抱き寄せて背中をトントンと叩いてくれた


「大丈夫ですよ、お仕事が終わられたらすぐにアイラ様の元に帰ってこられます」

ルナは優しい声で私に伝えてきた

ルナは勘違いをしている

私はパパに会いたかった訳じゃない

別に会わなくても平気だったのだ




私は1人でも平気なんだよ…




そんな事を思いながら抱き寄せられたルナの身体が温かく私はまた眠りについてしまった



連続投稿終わります


読んで頂けたら幸いです(^^)

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