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その転生ちょっと待ったぁぁ!  作者: 葉山輝翔
第一章 『絶望の幕開け』
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プロローグ2 『天使の呟き』

ーー俺の名前は羽村優希(はむらゆうき)。17歳。進級してたら高校3年生。

趣味はアニメとラノベを見ること。彼女いない歴=年齢のチェリーボーイである。

座右の銘は『他力本願最高!!』 特技は自宅警備だ。

まあ訳あって俺は死んだはずなんだ。はずなんだが…


「あのー聞いてます?」


「あ、え、ひゃいっ」


「ひゃいっってなんですか、それでどうするんですか?行くんですか、異世界」


そう、ユウキは今迫られている、異世界に行くか否か。


少し時遡ること5分


「ん…なんだここは?俺は確か死んだはずだが…まさか天国か!?」


 周りを見渡すと辺り一面が雪景色のような白で覆われ尽くされており目の前には玉座のような物があった。

俺にはなにがなんだか分からず頭をフル回転させ過ぎて混乱状態になっていると、


「ようこそ死後の世界へ、ハムラ・ユウキさん。」


「ーーっ!」


「まあ驚かれるのも当然ですよね。死後の世界があるなんて考えもしないですから」


そう言って空から降りてきたのは、真っ黒な翼が生え、それに加勢するように全身真っ黒なドレスで覆われている。しかし、その黒さを打ち消すような真っ白な髪を揺らし青い瞳でこちらを見てくる女性だった。


「こんにちは、ハムラ・ユウキさん。私の名前はプリシラと申します。いわゆる天使のようなものです」


いや、その見た目天使っていうか、どっちかとういうと堕天使だよね!と思わず心の中で突っ込んでしまった。まあ、それは置いといて… この美人の方はプリシラさんと言って自称天使らしい。


「こ、こんにちは。あのーえーっと、すいません今かなり混乱してまして状況が上手く把握出来ないのですが…俺は死んだんですよね?」


「はい。あなたは無惨な死を遂げました。だからこうして死後の世界に召喚されたのです。」


「ああ、やっぱ無惨な死に様だったんか。それはともかく、死後の世界なんて実在していたんだなぁ。なんかラノベによくある展開みたいだけど、これってもしかして…」


「実はハムラ・ユウキさんには二つの選択肢があります。一つ目はこのまま地獄に行く事です、そ…


「えっ!地獄ってあるんですか!?」


「はい、あります。ちなみに天国はありません。というか、貴方には行く権利がないというか…まあ、とりあえずないんで期待しないで下さい」


そう言いながら自称天使は微笑む


「ええ!俺には天国行く権利ないの!?そこんとこ詳しく!」


「行けないものは行けないのです。大人しく黙って聞いてればいいんだよ」


「なんか口悪くなってない!?それにしても地獄かぁ… 地獄とか俺のっていうか世間一般だと死よりも辛い場所っていうイメージだしもう苦しい思いはあれで最後にしたいしな。それにしても、てっきり二つ目が天国だと思ってたけどそれが潰れたって事は…」


「そして二つ目は異世界に行って世界を魔の手から救う事です!」


「おおー!キタコレ!異世界!ロマン!最高!」


「ラノベやアニメの見過ぎで夢にまで出てきた異世界に本当に行けるようになるとは。これはあの様な酷い目にあった見返りなのか、神様、プリシラ様、ありがとうございます!」


「プリシラ様!是非!行きます!行かせてください!」


「本当ですか!実は魔の手によりあと一歩である国が滅びそうなんですね。そこで、ハムラ・ユウキさんには、取り敢えずその国を救って貰いたいのです」


「ええっ、そんなに危険な状態なんですか、大丈夫かなぁ…」


 ハムラ・ユウキは他力本願が当たり前だと思っており、自分から行動する事が基本ない。中学生まではそうやって普通に日常生活を送れた。しかし高校に入ってから他力本願の羽村優希は周りからよく思われずいじめられ、高校2年生の途中から学校に行かなくなってしまい、引きこもりとなってしまったのだ。だが、家でもあらゆる事を親に任せ、自分はアニメやラノベを見てるだけと他力本願ぶりは相変わらずなのであった。


「大丈夫。貴方ならきっと国を救ってくれると信じてます。」


「うーん」


と、この様な事があり今に至っている訳である。


地獄など想像しただけで寒気がする。そうなると残された選択肢は、


「プリシラ様、俺決めました。行きます、異世界」


「やはり貴方ならそう言ってくれると思ってました。では異世界に転生する準備をします、なにか思い残した事はありますか?こっちの世界の1分はあっちの世界の1週間分に相当するからおおよそのことはわかりますが」


「思い残した事かぁ…あのー、結局火事の原因はなんだったんでしょうか?」


「火事の原因は放火魔の仕業でした。こればかりは残念としか言い様がありません」


「原因は放火魔だったのか、ほんと運が悪かったんだなぁ。後は… 親っ、俺の両親って大丈夫ですか?」


 こんな自分を今日まで育ててくれた親だ。実は2日前、些細なことで母と喧嘩をして羽村優希は自室に篭りっぱなしだった。だが、それでも母はご飯を作ってくれたりと色々面倒を見てくれたのだ。なのでそんな親と仲直りが出来ないままお別れになったのは、少し心苦しいところがある。


「勿論貴方の両親は悲しんでましたね、特に母親の方は一時期ショックで寝込んでましたが回復したみたいですね」


「そうか…それはよかった。後は…特にないな。よし!俺は決めた!異世界に行きます!」


「待ってろ異世界、俺が絶対に救って見せる!」


「ではあと10秒で異世界に転生させますね。あ、そうだ、言い忘れてましたが私は貴方になにも与える事ができません。なので、チート能力などはないので自分の持てる力だけで頑張って下さい」


「はえ?」


 ふと呟いた。何故ならユウキにとってプリシラの放った言葉はあまりにも予想外なものだったからだ。異世界転生におけるチート能力は、マク◯ナルドのハ◯ピーセットに付いてくる玩具と同じぐらい当たり前なものだ。ユウキは自分が持つチート能力で無双しようと内心ワクワクしていたのだ。それがどうした?ただでさえ人を超えた生物が異世界にはわんさかいるはずだし魔法など当たり前にあるだろう、しかも国の大ピンチときた、それなのにチート能力がないユウキが行ってもなにが出来る?否、なにも出来ない。むしろ一瞬で朽ち果てるだけである。


「えっ、えっ、嘘、チート能力とかないの!?嘘、そんなの聞いてない!これじゃあただ死に行くようなものじゃん、それだけはやだ」


「その転生ちょっと待ったぁぁ!」


そう言った瞬間羽村優希はその場から消えた。


「行ってらっしゃいハムラ・ユウキさん」


そして、


「もがき、苦しみ、抗え、それが貴方への戒めだ」











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