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好きな人ができたよ  作者: 白崎 仁
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リベンジスタート!


 

 俺は家に帰った後、早速考えた。

 俺が今書きたいものは何なのか。そして書くべきものは何なのか。


 そして俺は一つの答えに辿り着いた。その答えを明日柊人さんに伝えにいこうと思う。俺はもう諦めない。



 翌日、家を出ると奈々美がいた。彼女の家の方が学校に近いのに、わざわざ俺の家まで来てくれたみたいだ。ほんと頭が上がらないな。


「ありがとな、奈々美」


「別に私は何もしてないよ。それに恭弥くんには返しきれない恩があるからね」


 奈々美はそう言って少し上を向いた。過去のことを思い出しているみたいだ。7年前のあの事件のことを。


「そのことはもう何も話さないって決めたろ?それにあれは俺が勝手にやったんだ。お前が気にすることじゃないさ」


「う、うん、そうだったね」


 奈々美は優しく微笑む。その笑顔には少し陰があるように見えた。


「とりあえず学校に行くか」


 俺たちは歩いて学校に向かった。


 道中、俺は奈々美に新作の小説の内容を伝えた。奈々美は静かに俺の話を聞いてくれた。そして聞き終わった後、


「やっと書きたいものが見つかったんだね」


「ああ、楽しみにしててくれ」


 そうこう話していると学校に着いた。教室に入り、それぞれの席につく。勝負は放課後だ。それまでは…仮眠だな。



「もう大丈夫なの?」


「ああ、覚悟は決まった」


 放課後になって俺は優一と一緒に文学部の部室へと向かった。優一も心配してくれていたみたいで、休み時間に何度か話しかけてくれた。優一には「大丈夫だ」としか言ってないので、新作のことは知らない。


「失礼しまーす」


 文学部の部室に入ると、そこには柊人さんと彩葉さんがいた。二人ともパソコンを操作している。


「やあ、いらっしゃい。それで今日は新作の話かな?」


 彼は俺の要件を言い当ててきた。この人はエスパーか?


「え、なんで分かったんですか?」


「なんとなくだよ。まあ、まずはどんなのを作るか話してみて」


 気を取り直して、俺は一枚の紙を鞄から取り出す。そこには小説の概要が書かれている。昨夜、俺が考えた小説だ。 


「これは…ミステリーか。また難しいものを選んだね」


 そう、俺が次に書くのはミステリーだ。俺が一番好きなジャンルであり、柊カイトが書いているジャンルでもある。


「俺はミステリーが一番好きなんです。緻密なトリックに重厚なストーリー、そして最高の名探偵。俺はこの全てが大好きです。だからこそ俺はミステリーを書きたい。自分の手で作りたいんです」


 俺は今の想いを伝えた。書けるかは分からないけど、好きなら出来るはずだ。


「なるほど…。で、理由は本当にそれだけかい?」


「え?どういうことですか?」


 優一は俺の話を時に頷きながら聞いてくれていた。だから柊人さんの問いかけに疑問を抱いたのだ。俺の理由が納得できるものだったから。


 それにしても本当にこの人はすごいな。まさか裏の意味まで気づかれるなんて。


「さすがですね、柊人さん。もちろん理由の大部分はさっき言ったことですけど、少しは別の理由もあります。それは」


「柊人を見返すためでしょ」


 俺が言おうとした時、彩葉さんが先に答えを言ってしまった。そう、俺は昨日がっかりしていたが、同時に少し頭にもきていたのだ。なぜ初対面の人にあんなに言われなければいけないのかと。まあ、聞いたのはこっちからだけど。


「よ、よく分かりましたね」


「ちょっと考えたら分かるよ。昨日の今日で来れる奴なんてよほどのバカか負けず嫌いかの二択だ。今言ってたことに嘘はないって分かったからね。そうなりゃ、答えは自ずと後者になるってこと」


 彩葉さんはこっちの話を聞いてないようで実は聞いていたらしい。凄いというか、なんかよく分からない人だと思った。


「あっはっはっ!!!いいね、すごく面白いよ」


 柊人さんは爆笑している。そんなに面白かったのだろうか。


「うん、合格だ。明日から君に教えてあげるよ。小説の書き方をね」


「ほ、本当ですか…?よ、よっしゃぁぁ!!」


 俺は思わずはしゃいでしまった。すぐ我に帰って黙る。


「まあ、教えるからには厳しくいくから覚悟しておいてくれ」


「はいっ!!」


 こうして俺は柊人さんの助手(?)を務めることになった。


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