休日大作戦
ある日曜日の朝のこと。
私は恭弥くんの家に向かっていた。そうというのも実はこんな話をしていた。
「最近の恭弥って少し根詰めすぎな気がするんだよね〜」
星野くんからそんな話を振られた。確かにそう言われてみればそんな気もする。昔から熱中するとずっとのめり込んだままでいるタイプなのだ。近くにいる人が気にかけてあげないと。
「恭弥くんは昔からそうなんだよ。すぐに周りが見えなくなっちゃうんだよね」
「そっかー。なら僕らが一肌脱いであげますか!」
「うん!いっちょやってやりましょう!!」
私たちは恭弥くん息抜き大作戦(作戦名は私が考えた)を実行することにした。
◇
「で、その作戦に僕たちにも手伝ってほしいと」
「は、はい……こういう時に頼れるのって先輩たちしかいなくて」
「うーん、どうする?」
「まあ、やってあげてもいいよ。ちょうど一冊分書き終わったことだし」
「だってさ、じゃあ具体的な内容を教えてくれるかな?」
「は、はい!!」
こうして海原先輩と古鳥先輩の協力を得られた私たちは早速準備に取り掛かった。
◇
次の日曜日、私は恭弥くんの家に向かった。
作戦1〜家から連れ出す〜
私は色々と恭弥くんにケチをつけて外に連れ出すことにした。そうしてなんとか連れ出すことは成功。まだ怪しまれてはいないみたい。
作戦2〜一緒にショッピング〜
どうしても恭弥くんに怪しまれずに連れ出すには私のショッピングに付き合ってもらうことしか思い浮かばなかったので、とりあえずはその方向で作戦を進めることにした。
ひとまず恭弥くんに小説を書かせることをやめさせることはできたので万事オッケー。
ショッピングモールに着いた時にスタンバイしている3人に連絡を入れる。
『到着しましたー』
『こっちも姿を確認したよー』
『じゃあ作戦通りに行こうか』
『りょーー』
作戦といっても他のみんなにはただただ恭弥くんが小説のことを考えないように意識を逸らしてもらう仕事しかないんだよな〜。でもこれが重要になってくるし。
「どうした、奈々美」
「ううん、なんでもないよー」
よーし、今からが本番だ!頑張るぞー!!