3.テッドは魔力操作方法を手に入れた
母様に魔法を見せてもらって魔力操作のヒントを掴めたので早速練習だ。
前世の記憶を取り戻してすぐに魔力を感知するという天才的才能(自画自賛)に胡坐をかくことなく確実に魔法の才能を伸ばすためには弛まぬ研鑽が必須だ。
さっき母様が魔法を発動したときに感じた感覚を忘れないうちに魔力操作をものにするぞ。
「よし、まず心臓と臍の中間にある魔力を動かすぞ。」
イメージし易いように言葉に出してみる。
言霊って言葉があるくらいだから多少は意味があるだろう・・・・たぶん。
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おっ!なんか体の中で僅かに動いた気がする。
母様の手本を見ながら一度動かせたからかテッド君が天才過ぎるからなのかあっさり自分の意思だけで動かせたぞ。
俺の知識(ラノベ知識とも言う)によれば魔力を全身に巡らせば身体強化的なことができるはずだ。
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「ウヌヌ。」
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「ハァ!」
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「トゥ!」
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何故出来ぬ!
きっかけを掴めば天才的才能を持って容易く達成できると言うのがお決まりではないのか。
ハッ!
まさか俺って天才じゃねって思ったけど違うのか・・・いや、まだそうだと決まったわけではない。
少なくともテッド君は前世の俺よりスペックは高い気がする。
「スゥーハァー、スゥーハァー、スゥーハァー。」
ちょっと気張りすぎたので呼吸を整える。
よし落ち着いて考えよう。
とりあえず全身に魔力を巡らすことは出来ないけど魔力を多少なりとも動かすことはできた。
いきなり全身に巡らせようとするからいけないんだ。
自転車も最初は補助輪つけるし、自動車も最初は教習所で教官が隣にいる。
一歩づつ前進するんだ(全身にかけているわけではない)。
【初心忘れるべからず】だな。
とりあえず右手に魔力を巡らせてみよう。
うん、うん。
ゆっくりだけど魔力が集まっているのを感じる。
これをグルグル廻せば身体強化になるの・・・か?
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出来てるッポイけど違いが分からん。
椅子でも持ち上げて違いがあるか確認してみるか。
まずは魔力操作をしてない状態で椅子を・・・持ち上がらん。
5歳児が片手で椅子を持ち上げられるわけないわな。俺がひ弱なわけじゃないはず。
次は魔力を右手に巡らせた状態で椅子を・持ち・持ち・・・ちょっと浮いた・・・かな。
フム。
きっと右手だけだから実感がないんだ。
右腕全体に魔力を巡らせるようになれば身体強化を実感できるはず・・・きっと。
そうだ、腕では実感できなくても足ならどうだ。
足の筋力は腕の6倍あるって聞いたことがある。
手の筋力が1と考えた場合1×1.1=1.1で0.1しか上がらないけど足の筋力は6×1.1=6.6で0.6も上がる。
手と違って大きく上昇するはずだからきっと身体強化の実感が持てるはず。
右手に魔力を巡らせたように右足に魔力を巡らせてる。
お、さっきよりスムーズに魔力が動いている気がするぞ。
フ、たった一回で能力の向上がみられるとはやはりテッド君は天才だな。
だから右手の魔力を巡らせても身体強化の実感が得られなかったのは些細な事だ。そう些細な事・・・
過去を振り返るのは止めてよう。
魔力を巡らせた右足が強化されているか確認しよう。
確認・・・確認・・・どうやって確認しようか。
物を蹴って破壊力を確認するわけにはいかないよな。
そんなことしたら母様が飛んできて面倒なことになる。
片足でジャンプしてみるしかないか。
「とぉ!」
・・・・・魔力を巡らしてない状態でもジャンプするぞ!
「とぉ!」
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魔力を巡らした状態のほうがほんのちょっと高く跳んだ・・・跳んだと言ったら跳んだんだ。
よし魔力を巡らしたら身体強化される・・・可能性があることは分かった。
身体強化については可能性を感じることはできた。
このまま魔力操作の練習すればテッド君の天才的才能ならば近いうちに結果だでるだろう。
今度は目や鼻、耳に魔力を巡らせたらどうなるか試してみよう。
まずは鼻に魔力を巡らして見る。
「スン、スン。今日の晩御飯は母様特性ソースで焼いたドード鳥のようですね。」
嗅覚が鋭くなっているのかな。
ただ、ドード鳥を焼く香ばしい匂いはさっきからしていた。
ドード鳥にはいつも母様特性ソースをかけている。
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予想はできたけど確信を持てたのは嗅覚が良くなったからだ!
決して魔力操作の可能性を否定したくないと言う俺の願望から来る思い込みではない・・・はずです。
こうなったら一番最後に試そうと思っていたとっておきを見せてやる。
体の全てのコントロールを司るもの。
そう!脳を強化するのだ!
魔力を巡らせることで何らかの不調をきたしたら廃人になってしまうから用心のためにも一番最後にするつもりだったが手も足も鼻も特に異常はないので大丈夫だろ。
決してフリではないぞ。
俺はDチョウクラブには所属してないから大丈夫なはず。
ええ~い、オトコは度胸だ。
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・・・特に効果なし。
「バ、バカな。(ガクッ)」
おかしい、高速思考や並列思考などに覚醒する予定だったのに・・・
いや、きっと魔力の量が少ないからだ。
魔力を鍛えてれば大丈夫だ。
テッド君の天才的才能を持ってすれば容易いことに違いない。
先生、俺はまだ諦めていませんよ。
耳に魔力を巡らせると何となく母様が料理をしている音が良く聞こえる気がした。
目に魔力を巡らせると空中の埃が良く見える気がした。
今日の収穫は魔力操作がちょっとスムーズにできるようになったことぐらいか。
身体強化の可能性に期待。
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・・・
「そういえば脳に魔力を巡らせたまま?」
うん。
間違いない。
おお!やった!はっきりとした効果がでたぞ!
これは並列思考に近いのでは!
やはり俺の考えに間違いはなかった!
「テッド~、ゴハンになるわよ~」
「は~い!」
【腹が減っては戦は出来ぬ】だ。
よし、飯を食ったら魔力操作の特訓だ。