24.テッドは魔力操作を伝授する
あの後、ボアのほかに緑色の羽根を持つ鳥グリーンバードを仕留めた。
ゴブリンも出た。ここでグミオウのもう一つの能力を発見。
水魔法が使えるのだ。水を勢いよく発射してゴブリンを穴だらけにしたのだ。
強いぞグミオウ!
「ハァハァハァ。」
オランドが地面に倒れている。
現状どの程度戦えるのか確認するために模擬戦をしてみた。恐らくゴブリンなら一対一に限れば勝てるかな。
「テッド強いね。全く当たる気がしないよ。やっぱり小さい頃からお父さんに鍛えられてたの。」
「毎日剣は振っていたし、父様やシオン兄さんがいるときは模擬戦もしてもってたよ。」
「そっか~。」
オランドも戦闘用スキルがないにしては良く動けているほうじゃないかな。
そうじゃないとアーズ学園には入学できないか。
「それじゃ、魔力操作の練習をはじめよう。」
「強くなれるんだよね?」
オランドはまだ魔力操作で強くなれるのかと疑っているらしい。
まぁ、それが普通だから仕方ない。
「とにかくやってみてくれ。」
「分かった。」
オランドが目を閉じて魔力を全身に巡らしている。
魔力視で見る限り全身には巡っていない。両手を中心に魔力が巡っている。
まずは思考強化を習得してもらおう。身体能力は上がらないが劇的に効果を実感できるはずだ。
「それじゃ、頭に魔力を巡らして。」
「どうやるの?」
どうやるのって今やっている魔力操作で魔力を頭に集めてるんだけど出来ないのか?
「魔力を頭に集めるんだよ。」
「だからソレをどうやるの。」
どういうことだ?魔力操作をやっているんだから同じように魔力を操って頭に集めるだけだよな。
なんでそれが出来ない?
「今どうやって魔力を操っているんだ。」
「え?魔力は操ってないよ。」
どういうことだ?魔力操作を行なっているのに魔力を操っていない。俺が思う魔力操作とオランドが思っている魔力操作は根本的に違うらしい。
もしかして自分の意思で自由に魔力を操作できないのか?
「魔力操作で自由に魔力を操れないのか?」
「何言ってるの?魔力操作で魔力を自由に操れるわけないじゃん。」
オ~ノ~。
どうしよ。う~ん、俺の魔力操作でオランドの魔力を操ってみようか。たぶん出来ると思うんだよな。感覚的にだけど。
う~ん、このままだと埒が明かないからやってみよう。
「ちょっと力を抜いてくれ。俺が魔力を操るから抵抗するなよ。」
「え!え!」
オランドは混乱して言葉が出ないようだ。
冷静になると逆に面倒かもしれないからこのままやってしまう。
「なにこれ?テッド俺に何してんの?」
想像以上に魔力の流れが悪い。もう少し力を込めてみよう。
「イ、痛い!テッド辞めてぇ!!」
「ゴ、ゴメン。」
オランドの様子を見るに無理やり動かすとかなりの激痛がはしるらしい。
ただお蔭でいくつか分かったことがある。
人の体中には極々細い魔力の通り道が多数存在する。
そしてスキルを取得することでその細い道が広くなることでスキル発動に必要な魔力が供給出来るようになるみたいだ。
ならば俺のやることは決まっているオランドに無理がない程度に抑えて魔力の通り道を広げるだけだ。
「オランド、次は痛くしないから。」
人体改造みたいでちょっとワクワクするな。
「そんなニコニコ笑いながら言われても説得力がないよ。」
ムム、久しぶりに魔力操作の新しい可能性に興奮してしまったようだ。
「痛かったらすぐ止めるから。な。」
オランドが何故か一歩後ずさった。
俺が右足を前に出すとオランドはまた一歩下がる。
「何故逃げる!痛くしないと言っているだろうが!」
身体強化して一気にオランドに飛びかかる。
「捕まえたぞ。大人しくしろ。大丈夫痛くしないから。」
「ヒィ!」
ヨシヨシ、使えてしまえばコッチのものだ。
さっそく作業を始めよう。
思考強化を覚えてほしいのだが脳に向かう魔力の道が全くない。仕方ないので次策の魔力視を取得してもらう。
眼球に続く細い魔力路にゆっくり流す。
オランドの様子を見るに問題ないみたいだ。観念して大人しくしているだけかもしれないけど。
「オランド、異常はないか?」
「今のところ大丈夫かな。」
問題はここからだ。今のままだとただ今ある魔力回路に魔力を流しているだけだ。
ここから魔力路を広げる作業だ。これが成功すればオランドが自分で魔力を巡らすことができるはず。
魔力路を少しだけ広げるように魔力を流す。
「目の周りが痒い。」
「痒いくらい我慢しろ。」
これで問題ない魔力の流し方が分かった。後は魔力路が安定したら魔力を流す量を増やすことを繰り返すだけだ。
「凄いよ、テッド。さっきと比べてテッドの動きが良く分かる。」
オランドを使った実験は大成功だ。オランドは魔力視を獲得した。
「フンフン、テッドそんなんじゃ。今の僕には当てられないよ。」
オランドが調子に乗っているのが何かイラっとくるな。
「そっか、良かった。それじゃ遠慮なく行くよ。一振り事に早くなるから存分に楽しんでくれ。」
「え!もっと早くなるの?」
「ああ、オランドには退屈だろうけど我慢してくれ。」
本当に徐々に木剣を振るスピードを上げてゆく。
「ちょ、ムリ、止めて。」
少し早くなっただけだ。まだまだオランドなら大丈夫。
それに魔力視による強化具合も確認しとかないと。




