2.テッドは常識を手に入れた
5歳になって俺は前世の記憶を思い出した。
あっさりと魔力を感じると言う天才的才能の片鱗をみせた俺だが魔法はスキルを手に入れないと使えないと母様に教わった。
しかし、まだあきらめない。
あきらめたらそこで試合終了ですって先生も言ってた。
母様だって全てを知っていうわけではないんだから、もっと情報を集めて検証してからでも遅くは無い。
よし、大丈夫。
折角だから母様ともっとお話して情報を手に入れよう。
まず十才でステータス魔法とスキルを取得する学園について聞いてみよう。
「母様母様、学園って何?」
「学園って言うのはテッドと同じくらいの子達が集まって一緒にお勉強するところよ。」
母様ニコニコ笑いながら答えてくれる。
クッ、自分の母親であることが恨めしい。
学園という名前から予想はできたけどやはり前世の学校と同じようなものらしい。
まさか前世と同じように物理や数学、社会や言語を習うのだろうか?
「お勉強?」
だいぶお子様モードが様になってきた気がする。
母様に怪しまれないのは良いけど、何となく虚しく感じています。
「そうよ、国の歴史や計算、言語、魔法の勉強や戦闘訓練で切磋琢磨するの。」
計算はおそらく前世の記憶でなんとかなる。
ただ言語や歴史は一から覚えないといけないは面倒だ。
疑問に思ったことについていろいろ聞いた。
テッド君の頭がすばらしいのか。
子供だから吸収力が高いのか。
俺が興味を持って積極的に質問したからなのか。
母様の話がドンドン記憶できた。
話の内容を要約するとこんな感じだ。
俺が生まれた国はアーズ王国と言う。現在の王様はアーズ13世で四人の子供がいる。
王太子の名はレオン・アーズ。軍略や政略などの広い知識を持つ知略に秀でた人物である。現在は王の補佐をしながら実務を学んでいるらしい。
第二王子の名はブレッド・アーズ。武術と軍略に秀でたスキの無い、まさに軍を率いるために生まれたような人物である。将来は元帥として王を支えることを期待されている。現在は第一兵団で団長を務めている。
第三王子の名はフレド・アーズ。年は俺と同じ5才らしい。同じ王都の学園に通うことになるだろうから失礼のないようにと言われた。まだ幼いのでどの様な人物なのか母様には分からないらしい。
第一王女の名はフレア・アーズ。去年生まれたばかりの赤ん坊。真っ赤な髪の可愛い女の子と言うこと。
騎士団の話が出てきたのでまとめてみる。
第一兵団は高レベル武術スキルに加えて一種以上の魔法スキルを持つ騎士を中心に構成されている。
第二兵団は複数の高レベル武術スキルを持つ騎士を中心に構成されている。
第三兵団は魔法スキルを持つ騎士を中心に構成されている。
第四兵団は従魔を従えた騎士を中心に構成されている。
ちなみにテッドの父であるガラド・ロックは第四兵団所属の騎士である。
そして母はかつて第三兵団に所属していた。
どんな仕事をしていたのか詳しく聞こうとしたら「え!テッドはガラドとの馴れ初めを聞きたいの。もうおませちゃんね。」っと言われたが掘り起こすと碌なことならない予感がしたのでスルーして他の質問をした。
ここで重要なことだがスルーした俺を頬を膨らませて怒った母様は可愛かった。
アーズ王国の政治体制は中央集権国家ということになるのだろうか?
政治系の知識が乏しいので自身はない。
国王と貴族が中心となって運営をしている。
身分は【 国王->小さな壁->公爵->大きな壁->侯爵->伯爵->子爵->男爵->超えられない壁->平民->奴隷 】のような図式になっている。
奴隷かぁ、正直興味はあるけどどんなものなのか確認したいけど母様に聞くのは憚られる。
今度機会があったら調べてみよう。
ちなみにロック家は男爵家だ。
貴族でラッキーって思うべきなのだろうか?
因みに俺は三男なのでロック家を継ぐことはないだろう。
将来はどうなるんだろ?
これも早く調べて準備しておかないと後々苦労してしまう。
長男のシオンはすでに騎士として働いていて高レベルの武術スキルを持っていて第一兵団に所属している。
次男のクルードは今年から学園生で今は寮生活をしていて将来は文官になるためにもう勉強している。
そして我らがロック家当主である父様は第四兵団の中隊長だ。
「母様、父様はどんなの従魔ってどんな魔物なの?」
すごく気になります。
魔法も憧れますけど自分専用の従魔も定番ですよね。
最弱スライムを最強に育てるか。それとも最強のドラゴン(存在するのか確認してないけどね)を手に入れるか。
「ガラドの従魔はね~。」
「従魔は?」
「ヒ・ミ・ツ。」
そんな可愛い顔で笑いながら言われたら仕方ない・・・わけない。
「教えて!教えて!」
もう自然とお子様言葉が出てしまう。
「ちょっとテッド、そんなに揺らさないで。ガラドが帰って来たら聞きなさい。そのほうがガラドも喜ぶから。ね。」
クッ、そんな顔をするなんて卑怯な。
「・・・父様はいつ帰ってくるの。」
「明後日に帰ってくるわよ。」
仕方ないここは母様の可愛い笑顔に免じて父様に直接行くことにしよう。
「それじゃ、魔法見せて!」
いろんな話が聞けたが体内の魔力を動かす方法はさっぱり分からない。
自分の魔力を感知出来たのだからもう一度魔法を見れば何かヒントを見つけれるかもしれない。
だから何としても魔法をみせてもらうために可愛らしく母様にお願いするのは仕方ないことなのだ。
「そんな可愛い声でお願いされたら断れないわね。よく見ていてね。」
母様の声に頷きながら魔力の流れに意識を集中した。
母様の心臓とおへその間辺りで魔力が渦巻いていたあと右手に集まっているのを感じ取れた。
意識を集中すれば人の魔力の流れも感じ取れたのだ。
そして僅かながら自分の魔力が動いたのだ。
「ライト」
力強い言葉と共に部屋中を魔法の光が照らした。
「すごい!魔法すごい!」
すぐにでも魔力操作をやってみたいのを我慢して魔法を称賛する。
「フフ、そろそろ夕飯の準備をするから暫く一人で遊んでいてね。」
「は~い。」
よし、早速魔力操作の特訓だ。